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浮腫の見方
本日も先日に引き続き高齢化に伴い出現しやすくなる「廃用性浮腫」についてのお話になります。
廃用性浮腫とは何かについては過去記事をご覧ください。
今回はこの廃用性浮腫とそうではない浮腫の鑑別方法についてPT視点で学習していきたいと思います。
廃用性浮腫の診断基準
参考文献
武田 亮二:廃用性浮腫について 洛和会病院医学雑誌Vol32:5-10,2021
URL:http://hdl.handle.net/11665/2653
より抜粋し要約
廃用性浮腫は下肢筋ポンプ作用の低下に伴う静脈還流不全の結果が一因と考えられているが、単体の要因で発症するわけではなく、低栄養や麻痺など複合的な要因が混在して発生していることが多く体系的な診断基準は確立されていない。したがって、診断は「除外診断」が重要。
とあることから、浮腫が発生する原因疾患の可能性がないかを診断することで初めて廃用性浮腫と診断することができる。
理学療法士は診断をすることができないため、どんな浮腫も決めつけで「廃用性浮腫」ということはできない。
この点に注意して、対象者の浮腫と向き合い、何が原因で発生しているのか思考を巡らせる必要がある。
浮腫の見方
浮腫の見方については下記の参考文献にわかりやすく記載されています。
参考文献
診察を極める!Dr古谷のあすなろ塾(2008年6月)
https://www.igaku.co.jp/pdf/resident0806-3.pdf
浮腫を見るための3つのポイントは
①浮腫の分布の確認
②皮膚の状態の確認
③全身状態の確認
です。これらを上図に当てはめて考えることで原因の推定できるとのことです。
①浮腫の分布の確認
浮腫には「全身性浮腫」と「局所性浮腫」があります。
全身性浮腫は心不全が代表的でイメージしやすいところかと思います。
この場合は全身性は「全身に一律の浮腫が出現するのではない」ということを念頭に置く必要があります。
浮腫の程度は重力の影響を受けますので、全身性浮腫は背臥位の場合は背側に貯留し、座位や立位の場合は下肢に顕著に見られます。目に見えやすい足の浮腫だけで判断しがちですが、大腿部や背中にも浮腫がないか確認しましょう。
局所性浮腫は蜂窩織炎等の炎症部位に出現したり、リンパ管や静脈の閉塞であれば閉塞部位より抹消の浮腫が生じます。この場合片側に出現することが多く見られます。
②皮膚の状態を確認する
皮膚の状態は
・「pitting edema」か「non pitting edema」か
・「fast edema」か「slow edema」か
・皮膚の色調
・局所の熱感の有無 を確認します。
「pitting edema」か「non pitting edema」か
母指で浮腫の部位を圧迫した際に圧痕が残る場合(pitting edema)、残らない場合(non pitting edema)があります。
圧痕が残らない場合は甲状腺機能亢進症やリンパ性浮腫に代表されるほか、蜂窩織炎や血腫でも同様の所見を呈します。
「fast edema」か「slow edema」か
圧痕を残してからの回復時間によってfast edema(40秒未満)、slow edema(40秒以上)に分類されます。
fast edemaの場合は低アルブミン性浮腫が疑われます(2.5g/dl以下)。
皮膚の色調
慢性化したリンパ性浮腫や下肢静脈瘤では皮膚が全体に褐色調となります。蜂窩織炎や壊死性筋膜炎では暗赤色を呈します。さらに,血管炎では軽度の隆起した紫斑(palpable purpura)が多数認められることが特徴的です。
局所の熱感
蜂窩織炎や壊死性筋膜炎では局所感染を伴うため,局所の発熱と疼痛を伴います。
③全身状態の確認
浮腫の状態だけでなく、全身状態も合わせて見ることが重要です。
例えば心不全であれば浮腫だけでなく運動時の疲労感や不整脈、血圧の変動等を確認すると思います。
腎不全であれば排尿の状況や極度の疲労感がないか、血液検査の数値などを確認するようにしましょう。
まとめ
今回は浮腫の見方について学習してみました。
廃用性浮腫と判断する前に上記を参考に特定の疾患の疑いがないかをフィジカルアセスメントするようにし、医師への上申に繋げましょう。
本日もありがとうございました。
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