本当に豊かで実りあるアイデアを出すには「枠の外から考える」「制限をキーに考える」

会社員をやっていると、時短や生産性向上が推し進められているのもあって、
「なるべく手戻りがないように」とか「方法論から逆算すべき」などの考え方が横行する。
それももちろんその通りな部分もあると思う。だけど建築の意匠設計という仕事については、難しい。
建築を豊かにすることについては際限が無い。明日思いつくかもしれないし、1週間後、1ヶ月後かもかもしれない。
だからと言って、構造、設備、メーカーなどいろんな人を巻き込む仕事なのだから、途中でひっくり返せるものでもない。
だけどそんなことも引っくるめて、建築として譲れないことなら、必要なタイミングではひっくり返す度量が必要な仕事だ。
なりふり構わずに、建築が最高の出来栄えになることを考える力が必要なんだ。
そこを見失わないことが一番大事な力だと思う。

今回は、効率、効率、でぐぐぐぐっと凝り固まりがちな脳みそを解放して、
豊かな建築をつくることを見失わない考え方をメモしておく。

①枠の外から考える

コンペ案件など、基本的な決まりについては記載されている場合がほとんどである。

ある程度のルールが無いと、他の案と比較できないという面もあると思うが、

これを真正面に受け止めて、裏側を考えずに案をつくるとだいたい響かない。それに価格のみの勝負になる(つまらない)。

なぜ、広場が必要なのか?路地の方が良いのでは?
なぜ、建物を残す必要があるのか?
なぜ、予算を守るのか?(裏予算はない?)
(真相が分からなくても、できればオプションや2案作るくらいの技量がほしいところ)
なぜ、なぜ...

その前提を覆したり、裏側を読んで使い方を深く考えるにはスピードと知識、経験が必要不可欠ではあるが、
まずは、脳みそリミッターを外す。
使い手を想像する。
時には、普通の案を想像して真逆を考えてみる。
まじめに考えるより新しい案は生まれやすい。

会社では、ターゲットが誰かを推測、その人にとって一番大事な部分は何か(お金なのか案の内容なのか外観なのか)と言われるが、
それに縛られないことも大事かと。
結構間違ってたりする。

②「制限」をキーに考える 

これは①とは真逆の発想。
これはメンタリストだいごが、なにかの動画で言っていたこと。

「人は制限がある方がアイディアが生まれやすい」

制限がある=具体性がでる

のでアイディアが生まれやすいらしい。

さらに、制限の数は少なければ少ないほどアイディアがでやすいらしい。

掃除機のパーツひとつでなにかを作ってください。

は具体的かつ、自由度が高い。

①を使って広く考えたり、自由になりすぎて漂流しそうになったら②を使って何かひとつにフォーカスして考える。
これらを行ったり来たりして、難題をクリアしていきたい。

最近、このような頭の回路を失いかけていたので言葉にしてみた。
以下では、今までの課題や学校の中で、自分がどんなことをアイデアにしてたのか、記録として列記して分析してみる。

・学生時代 図書館提案
図書館=閉じているのイメージとは真逆の大きく開いて広場を取り込む図書館をつくった。
これは、ありがちな案だけど、考え方的には分かりやすい。既存概念を覆す、案の考え方。
(建築家はだいたい開きたがるよね)

・某製薬会社オフィスコンセプト提案
既存の変化できないオフィスに対して、
大まかな3つのゾーンを仕切る軽いパーティションによって、フレキシブルに空間を使える案。
真ん中のエリアは時にはオープンで自由に使える、時には会議室として閉じれる。
そもそも、閉じていて会議室にしか使えない、とか一つの用途しか内包していない空間にとても疑問があることがよくわかる。
なににでも変化できる、が理想というのが根底にあるのかもしれない。

・某技術研究所ショールーム
とても狭いフロアに対して、謎の円形展示台など、スペースを無駄にしている使い方をしていた既存展示ルーム。
解体して、レセプションと展示空間をどう作るかの提案。
ここでは狭いという制限を逆手にとって、
入ったら、レセプションと展示空間が一体というつくりに。
ワンルーム大好き人間笑

・某tオフィス
これも多機能部屋をつくる。
狭い空間に入れなければいけない機能が多すぎて、1部屋が2役、3役をやらざるを得なかった。
移動パーティションだらけの空間に。

・某研究所 大改修
これについてはそこまで画期的な案は思いついてないかも。

ここまでみてみると、自分の手札が限りなく少ないことに気づく。
基本的には、なにかをする空間と決められている場所が嫌いなだけだ笑


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?