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産まれてこなければよかった

母に一度だけ言ってしまった言葉
母の瞳から一筋の涙が流れた光景が
今でも忘れられない
私が母親の立場なった今
この言葉がどれだけ母を苦しめてしまったか
取り消せない出来事をずっと後悔している

理学療法士になるために親元を離れ
一人暮らし3年目の冬

病院実習も終え、国家試験に向けて
気持ちを切り替えるタイミング

遠距離恋愛していた彼から突然
『好きなのかわからない、別れたい』

これから試験もあるのに支えてくれるんじゃなかったの…。
『えっ?何で?私の何がいけなかったの?』
『わからないってどう言うこと?』
彼からは一方的に言われ
その後電話をかけるが音信不通が続いた

徐々に心のバランスが崩れ
学校にも行けず、不眠と食欲低下
気付けば生き苦しい生活に変化していた

母からは定期的に電話があったが
私の異変に気付き始めた母に
大丈夫?と言われても
『大丈夫だよ』返答し
『助けて』と言えなかった

電話越しでも母には分かったようで
すぐに家まで訪ねて来てくれた

『どうしてここまで一人で悩んでいたの?』

『心配かけたくなかった…ごめんなさい』

幼少期からこれまで
祖母の躾が原因で自分を責めてしまうこと
しっかりしないといけないと
甘えたり頼ったり出来なかったこと

これまでの蓄積されていた想いが溢れ出し
涙が止まらなくなった私を
母はずっと抱きしめてくれた

夜中眠れなくて苦しくなった時も
ずっと抱きしめてくれた

こんなに辛くて苦しいなら
産まれてこなければこなければよかった
もう生きていても何も良いことがない

そんな母に感情的にぶつけてしまった

『そんなに頑張らないでいいから』
母は否定もせず私の言葉を受け止めてくれた

後日、父から
『こんな風に育ててしまってごめんね』
『いつでもお父さんもお母さんも味方だからね』
『一人じゃないよ、頼ってね』
と電話があった

私はこんな素敵な両親がいるのに
悲しませる事は出来ない
私に出来る事は
国家試験に合格し理学療法士になること

失恋の傷を抱えながら
目標に向けて必死で勉強し無事に合格
地元へ戻り社会人としてスタートした

#産まれてこなければ
#母との絆
#両親からの愛情

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