休符という音楽

毎月ボイトレ生徒さんから朗読や歌の音声が届きます。
で一人ひとり、アドバイスや解説などを送り添削します。

自分でセリフを言ってる、歌っている、だけよりも録音したほうが大事なことがはっきりとするのはスポーツのフォームをビデオで撮って確認するのと同じ。客観的に確認するのはとても重要なわけで。

そして例えば声の出し方で、仮に声がくぐもってる、までは自分でわかっても、それはなぜなのか、どうすればいいのか、という点まではわからなかったり。

それを聞いたこちらが

「い行の発音の時、口角があがってないので「い」と「え」が曖昧になってそれで全体が暗く聞こえてます。「い」を発音する際、より姿勢を意識して腰から伸びる感じで上を向くようにだしてみてください」

とかその人に合わせた発声の練習などを伝えたりするんですけど
先月、ある生徒さんで、その人自身のお気に入りの名言、を朗読した音声が届きました。

それを聞いて感動!なにがというと、朗読の音声なのに、後ろでBGMがかかっているかのように聞こえる!

たた柔らかく、自然に話しているだけなのに、とても深みがあって豊かで。

で、なぜそう聞こえるか、それは行間が活きているから。

その人の読み方の、抑揚、イントネーション、しかしそれ以上に「間」がすばらしい。

これは歌でも音楽でも同じ。休符。音のないところ、これは単なる休憩ではなくて休符も音楽の一部。休む意味もあれば上手な休み方っていうのもあるわけで、以前ある高名な書道家の先生に取材した時

書道っていうのはいかに書くか、じゃなくていかに余白を残すか、なんですよ。多くの人は書こう書こうとしちゃうけど、最後に、どう余白が残っているかこそが重要

ってお話を聞いた時も「おんなじなんだー」と思ったことが。

小説でもいかに行間が活きているか、とかいうし、もうなんでもかんでも
本当に大切なポイント、真理は同じなんだろうなー、と思うわけで。

ちなみに今回の朗読の女性は普通に素人なんですけど、以前私の知り合いから「あるゲーム会社のサウンドロゴできる(会社名をナレーションする)人いないか」って言われて

生徒さんに「やりたい人〜」て問いかけて集まった中から最後に選ばれたのが今回の女性(現在いたるところでその会社の動画の最後でその女性の声が入ってます)

休符を活かす、間を活かす。音がないところ、見えないところ、でも

一番大事なのは、そういうところこそ、なんでしょうね。

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