【フィギュア】世界選手権 男子FS

すごすぎるのでは?というのが率直な感想。興奮冷めやらぬ状態だが書いておきたい。

全てを出し尽くした羽生結弦

手痛いミスがあり自分に対する怒りを滲ませたSPから2日後、羽生さんは途轍もない演技をやってのけた。怪我をする前のGPヘルシンキ大会と同じ構成で、クオリティを数段上げてきた。この時点でルール改正後初となるフリー200点と総合300点の大台を超えた。怪我明けの試合で、誰もが望む演技を見せつけた。

今大会の鬼門はやはり4回転サルコウだった。普段のように高く飛び上がることができず、回転がかなり足りない状態で降りてきた。普通の選手ならあっさり転倒するところだが、極端に膝を曲げて堪えてみせた。転倒を防ぎ回転不足を軽度に抑え、失点を最小限にした。シットの体勢(腿が氷面と平行)よりも深く屈曲した状態でどうして耐えられるのか全く分からない。

その代償もあり後半はかなり疲れが出ていたが、全ての要素を決めてみせた。ここぞという場面で全てを出し尽くす姿は、やはり羽生結弦だった。

ネイサン・チェンが名実ともに王者に

しかし、それを上回ってきたのがネイサン・チェン選手。羽生さん以上に完璧な演技で総合323.42点を叩き出し、影すら踏ませぬ圧勝。全米選手権の圧勝を世界選手権でも再現した。

4回転なのにまるで3回転かのごとく、全く危なげなく跳んで、降りてきた。見ている人間に4回転ジャンプが大技でないと勘違いさせるあたり、今のネイサン選手は別格だった。また、スピンとステップの得点でも羽生さんを上回ったことも見逃せない。ジャンプで無理をしていないからこそ、高い質を実現できるのだろう。

それでも勝ちたい羽生結弦

この結果で羽生さんの闘志に火がついてしまった。記者会見は文字でしか見れていないが、もう既に「練習したいモード」になっているようだ。全てを手に入れてもなお、勝ちたくて仕方がないのだ、彼は。

勝つための方策は一旦置いておき、とにかく、なにとぞ、なにがなんでも、大きな怪我だけはなされぬよう願っている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?