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SonicBoom Vol.9 AIでエンターテイメントはどう変わる?

ざっくりまとめ
AIの活用が進んでいるエンタメ業界。
生成AIの登場で、エンターテイメントは変わつつあります。今回は生成AIによりエンターテイメントがどう変わるかを考えてみます。
特に、「エンタメ制作でのAI活用」と「バーチャル・ヒューマンという新しいタレントの登場」について考えます。
今回はゲストに3名の方に来ていただきました。
皆さんからの伺ったお話を、そのムードをできるだけ再現してお伝えできればと思っています。

尚、この勉強会のダイジェスト版のビデオをYoutubeのコンテンツにもしております。そちらもご参考にしていただければと思います。
(https://youtu.be/yhUrP_dT510)


ゲスト紹介

司会は勉強の主催でもある、村田が行っています。

議題

1-「ワールドエコミックフォーラム」の記事紹介
2-(生成)AIによって進化するエンタメ制作
3-ロボットに人は感動するのか。
4-既に登場しているバーチャル・ヒューマン的なエンタメ事例
5-「ぴにょきお」が考えるAIタレント(バーチャル・ヒューマン)
6-デジタル・ヒューマンが創る新しいサービス

1-「ワールドエコミックフォーラム」記事紹介

AIがエンターテインメント業界に与える、6つの破壊的影響(23年8月)

AIが エンターテインメント業界に与える6つの破壊的影響というタイトルで、2023年の8月に掲載された記事です。
そもそも、ワールド・エコノミック・フォーラムは世界のリーダーたちが集まって地球規模の課題について話し合うイベントです。そのイベントの公式サイトにこのような記事が掲載されること自体が、AIが世の中にかなり浸透していることの象徴だろうということで取り上げました。

次に、記事の内容について。
1~6までの項目があげられており、それぞれの記事を読んで頂ければわかるのですが、
いろんな形でのAI利用の例が出ています。
例えば、上記のスライドの1,2の項目のアバター・合成音声であれば、実際の映画制作において、ある俳優の声が病気により出なくなったので、AIが生成した音声が使われたとかです。

3,4の項目では脚本だけでなく、映画セット自体も生成AIで作り、俳優の演技と合成して映像化するなどが紹介されています。

また、5,6の項目では、翻訳が取り上げられており、K-POPのミュージシャンが韓国語は自分で歌うが、他の言語はAIが歌うことで、世界中で同時デビューしているとか。

これらのことが紹介されており、すでに大きなムーブメントになっているとされています。


2-(生成)AIによって進化するエンタメ制作

ここからは、会話形式で進めます。

村田
生成AIによるエンタメ開発のシンボリックな例は、生成AIによる動画制作の品質向上ですね。
テキストから動画生成を可能にしたRunwayや、最近ではgoogleによるSoraの動画のクオリティが高いということで話題になりました。
※3/26時点では、Soraのオープンソースも発表されているようです。

そして、「制作」という観点で、もっとも過激(?)に進んでいる業界の一つがゲーム業界です。
ソーシャルゲームの登場以来、ゲーム開発は開発費がだんだんと高騰し、数億や数十億は当り前という時代になってきました。つまり、大人数・長期間・高予算で開発する流れを作ってきました。
しかし、これが生成AIの登場によって変わるかもしれないという話題です。
それがモリカトロンによるゲーム開発です。
モリカトロンというのはゲーム開発会社の名前ですが、この会社がRedRamというゲームを4名で、生成AIを活用して開発したということがレポートされています。

モリカトロンのゲーム「Red Ram」開発のケース
・上のスライド
 ほぼすべてのビジュアル関連を生成AIで作成した。
・下のスライド
 ストーリーやキャラクター設定も生成AIで作成した。

ゲームに登場するキャラクターも背景画像もすべて生成Aで作ったとのことです。さらに、ゲームの想定ユーザー の設定をした後は、全部生成AIに考えさせたとのことです。

このようなゲーム制作の変化について、尾形さんに話を聞いてみたいと思います。

尾形さん

ゲームが3~4名で創られているということですが、小人数が制作するゲームがヒットするっていうのは、以前からあって、
アマングアスとかは実は4名で最初 スタートしたと言われています。
PUBGはFPSの1番有名なゲームですけど、開発した最初は17名でスタートしたらしいです。
このように、マクロトレンドの中で見ると、小人数制作のゲームがヒットするというトレンドがあって、それを生成AIが後押しするというのは 結構順当な進化なのかなって思います。

村田
なるほど、そうなんですね。
この少人数開発が生成AIの活用で、当たり前になるとモリカトロンのwebサイトに記載され、将来は
「ひとりの作家が一つのゲームをつくる」時代がくる
と記載されています。
最近のゲーム開発のスタイルからするとかなり過激な印象ですね。

尾形さん
そうですね。
ただ、ここで大事なのが、
「ゲーム作家が1つのゲームを作る」って言ってんですね。
一般人ではないんです。
やっぱりエンタメって割と難しくって
素人の方がAIで開発できるという技術を手に入れ たから、じゃあ作って見ようと、開発したものがいきなりバズルとかって、ほぼないと思うんですよ。
 映画制作1つとってもすごくクリエイティブって難しいですし。
そういう意味で、ここで書いてるのはすごく的を得てるなと思ってて。
「ゲーム作家」と言ってるんですよね。
ゲームにコンテキストとか経験がある人が、生成AIによってゲームが作れるようになるっていうのはまさにその通りだなと思う んですけど、
じゃどれぐらい民主化(誰でも作れるか)する かって言うと、話はちょっと 違うかなと、個人的には思って ますね。

村田
ありがとうございます。
実はくりえみさんの取り組んでいる「バーチャル・ヒューマン」がそのうちにゲームの主役になって登場するのも近いのではと思っていたのですが、くりえみさんはこう いうゲーム業界の変化はご存知でしたか?

くりえみ
そうですねゲームや、生成AIの技術用いたりとかっていうのは、色々拝見はさせていただいていたんですが、そこまでは知りませんでした。
私たちのは、バーチャル・ヒューマンのアニメ風の女の子をどうやってエンターテインメントで活用していくかみたいなはいところなので、まさに、これからそういったことにもチャレンジする機会があればいいなという印象ですね。

村田
なるほど、バーチャル・ヒューマンのキャラクターが生成AIで創られたゲームに登場するのはこれからということですね。

これからは生成AIの活用で、ゲーム開発が小人数チームでできるようになる。そうなると数多くのゲームがリリースされるだろう。
そうすればいろんなキャラクターが必要になる。そこではバーチャル・ヒューマンが沢山登場するようになるかも知れませんね。
そうなると、バーチャル・ヒューマンから出発したタレントがゲームに出たり、逆にゲームでキャラクターづけされた登場人物がバーチャル・ヒューマン化し、メディアに登場したりインフルエンサー化することもありそうですね。

そういう議論の延長なのですが、バーチャル・ヒューマンと少し関係がありそうなテーマです。

3-ロボットに人は感動するのか

村田
私だけの疑問かもしれないのですが、「ロボットに人は感動するのか」っていう疑問があります。
次の映像を見ていただけますか。


これフェイク映像じゃ ないかと思うんですけど、卓球の世界大会決勝で、中国代表のロボット選手が日本人選手に勝ったと。そこで優勝した中国代表のロボットを応援する中国人らしき人たちが、喜んでいるという映像ですね。
これは、ロボットが国の代表なので応援するのも当り前かも知れませんが、単にロボットが卓球の試合をしているだけでは、なかなか応援する気になれないだろうなと思いました。

どういうことかと言いますと将棋について考えてみます。
将棋もですね、コンピューター対戦の将棋は、あまり人気ないんですけど、藤井名人の将棋 は人気があるんですね。つまり皆さん興味があるということです。
で、これはやっぱり藤井さんが人間だから、興味があるっていうことだと思うんです。
このことについて、鴨志田さんどう思われますか。

鴨志田さん
私も藤井さんのはたまに見たりはしますけど、コンピューター対戦の将棋は見ないでね。
多分、それを見てもハラハラしないとか応援したい気にならないからですかね。

尾形さん
(くりえみさんの意見も後で聞きたいんですけど…)
明確なデータはないのですが、ナラティブ(物語性)がすごいエンタメには 大事かなと思っています。
スポーツも将棋も、基本的にエンターテイメントですよね。
ロボットが表面的にはいい感じに卓球やったり、とか将棋やったりできるんですけど、そこに「その人がどういう人なのか 」とか「なんでこの将棋をこんなにやってるの か」とかいう物語性がないじゃないですか。
だから、興味を持てないんじゃないかなって いう風に思います。
vtuberは見た目はあの2次元ですけど裏に人間がいてナラティブが基本的にあると思うんです。
ただその辺をその AIアイドルがどういう風に作ってくの かってのは非常にあの興味があるポイントですね。

くりえみさん
そうですね 、本当におっしゃる通りですね。
ストーリー性がないと人は感情移入をし ないしそこに対して応援もしないですね。
どうして地下アイドルのライブにはこんなに熱狂するおタクの人がいて、特典会にも何回も並ぶのかって言うと、やっぱり苦労をしているところをあえて表で見せているからだと思います。
ただライブだけ して、綺麗なところだけ見せてても人はあまり熱狂しないと思うんです。その場合はそのアイドルにハイクオリティを求めるようになってしまうと思うんです。
だけど、地下アイドルに完璧な歌唱力とか完璧なパフォーマンスを期待してないじゃないですか。
だけど、応援したくとなるっていう所があって、その理由はその裏側の苦労も含めて全て見せているからっていうのが大きくあると思うんです。
なので、バーチャル・ヒューマンをエンターテイメント化していくっていう ことに関して言うと、バーチャルではあるものの、「 なぜその子が生み出されたのか」とかで「その 子がどういう子なのか」っていう背景をしっかりあの作り上げ作り上げて、ファンが思い入れを持ちしやすい環境をしっかりと構築するっていうのが、人気になる大前提かなと思ってます。

村田
ということは、バーチャル・ヒューマンについても、完成されてない状態で、努力する過程がファンの方々にも開示されていいった方がいいって ことですかね。

くりえみさん
あえて、バーチャル・ヒューマンだけど、モーニングルーティンを見せたりをした方がいいと思います。
かっこよくアートに見せるっていうのも最先端の テクノロジーとしては、すごく美しいんですけど、そこをやっぱり応援してもらうっていう観点で考えるとそれが正しいわけでもない。
その逆に、AIでできるところを一部人間に補って もらうとか、そういう抜け感みたいなのを人が「応援したくなる」、「知りたくなる」みたいなきっかけになるのかなと思ってます。

村田
あありがとうございます。
これらの考え方にはアライモノさんもお考えがあると思うんですが。
アライモノさんはどうお考えなんです か。

アライモノさん(特別ゲスト)
まさにくりえみさんのおっしゃった通りですね。
「ナラティブ」と「ストーリー」の2種類あると思うのですが、
「ストーリー」はどちらかというと、プロデュースする側が作ったものを
紡いでいくみたいな、予定調和的なものをよくストーリーと言ったりします。
「ナラティブ」っていうのは物語りっていうことでボトムアップでいろんなことが起こっていく。
ゲームともちょっと似てるかもしれない ですけど、ゲーム スタートしていきなりカンストしてレベル999のキャラクターでボス戦をやって終わりだとゲームってちっとも楽しくないと思うので、やっぱり、あー負けちゃったとか、あー装備欲しいなとか、成長する過程が楽しくて、でそれがより自発的と言いますか、(あのプロデューサーさんやあのゲームの運営者によって作られた世界ではあるん ですけれどもその中で)ユーザーが自ら苦労してボスバトルにたどり着くから面白いのであって。
同じように、バーチャルヒューマンが 自ら作っていくえ物語ですかね、そういう中の物語にみんな感動するの かなっていう、そんな気がしてます。

村田
ありがとうございます。
僕も実は、ロボットに人は感動すると思ってる派なんです。
なんでかと言うと、テレビや映画のヒーローであるスーパーマンやウルトラマンのことみんな好きですよね。彼らはドラマの中で、ストーリーもナラティブもあって、そして悪者と戦う時に、いつも必ずピンチになるわけですね。そして、もしかしたら負けるかも~。と思わせるシーンがある。そこにハラハラどきどきして負けないで~と感情移入するので、ロボットもそのようなキャラ設定と物語の設定があればいいのではと思っていました。


4-既に登場している
バーチャル・ヒューマン的なエンタメ事例

村田
次はすでにバーチャル・ヒューマン的な事例があるのでそれをご紹介します。
特にK-POPが進んでいるようですね。
K-POP界でいくつか有名なバーチャル・ヒューマンのアーチストが既にデビューしていますが、そのうちいくつかをご紹介します。

SuperKIND 
2022年6月にデビュー AIメンバーと人間メンバーが共にデビューしたグループとして、バーチャルK-POPアーティストの中でも異色を放つSUPERKIND! https://www.hmv.co.jp/news/article/231208130/
※ youtube登録27万人
aespa 
2020年11月デビュー
「自分のもう一人の自我であるアバターに出会い、新しい世界を経験する」
という世界観をベースにしているK-POPグループ
https://x.gd/amQsn
youtube登録420万人程度

村田
この2グループを取り上げたのはたまたまで、他にももっと最新のデジタル・ヒューマン的なアーチストはいるようです。
そこで、デジタルヒューマンはタレントとして成立(人気)するのか的な話です。
もちろん、まだ成長過程なので、今後はどうなるかわからないのですが、まずはエンタメ業界的な評価というか、業界的にどのような見方をされてるかをお聞きしたいと思いました。エンタメ業界では「これからバーチャル・ヒューマンのタレントの時代がくるぞ」などの語られ方で、みんなが注力している分野なんでしょうか。

尾形さん
うーん、どうでしょうか。質問へのストレートな回答ではないのですが。
未来の話なので確定的なことはなかなか言えないんですけど、そのエンタメ業界ってすごいテクノロジーのとれ入れが激しいので、新しい技術が出るとそれが全てをひっくり返すみたいな言い方をされるんですけど、冷静に数字を見るとそうでもないんですよね。
この数字を見るとそうでもないという観点の例が、日本のアニメです。
日本のアニメは海外ですごいみたいによく言うんですけど 、冷静に数字見ると全然そんなことなくって、日本のアニメはそんなに海外で流行ってないんですよ。

村田
つまり、話題先行でイメージで思い込むとよくないってことですね。

尾形さん
はい。そのようにある種冷静に考える方がいいと思います。
なんですが、エスパはなかなかすごい。
どういう意味かと言うと、エスパは曲もダンスも相当質が高いので、ガチでプロモーションしたらYouTube登録者420万というは、それぐらい行くだろうなっていうところでしょうか。
つまり、メタバースとかAI連携みたいなところでのファンづくりということではなく、そもそものポテンシャルから来ていると思うべきかなと思います。

スーパーカインドについても、さっき調べたんですけど大体 1年半前ぐらいに立ち上がって今 YouTubeで30万フォロワーですね。これって数字的にすごくないですね。
例えば、キズナアイとかで1年で100万とか日本だけで行ってる ので、それと比べると、今の時点で消費者に受け入れられてるかっていうと、そうでもないかなと。
もちろん、その30万人がすごく熱狂的なんですって ことあるかもしれないですけど。
をむしろ AIえヒーローを成り立たせるっていうのが1つイノベーションの大事なところだと思うんで全然そこについて 否定は全くしないんですけど。

村田
ちなみに尾形さんにもうちょっとお聞きたいんですけど、こういうAIによって作られたキャラクターっていうのをタレント化していこうっ て動きは韓国のK-POPみたいな感じでこれアメリカとかでもされてるんですか。

尾形さん
アメリカでもありますし、中国でもAIインフルエンサーみたいなのはいますね。
あくまでインフルエンサーで、音楽まではメインでやってないイメージではあります。
私が知らんないだけかもしれないですけど…。

村田
鴨志田さんにも少し聞いてみたいのですが、こいうったバーチャル・キャラクター的な展開は芸能事務所さんというのは前向きに考えるものなんですか。
その思考の方向性というか体質的な感じでは…。

鴨志田さん
はい。実は日本の業界でも全然ありました。実際に5年前とか10年前とかでもキャラクターをアニメ化したのスマホで登場させてみたいな ことが実際ありました。

村田
へー、そうなんですね。
ちなみに、当時そういうことをやった時の反応とか印象っていうのは、いい感じだったんですか、それとも、ちょっとイマイチかなみたいな感じだったんですか 。

鴨志田さん
なかなか難しい問ですね。
これはそのバーチャルなキャラクターの出来栄えにもよりますし、タレントの好みや事務所の方針などもあるので一概にどうかとは言えないと思います。
ただ、現在のタレントさんは割と前向きだと思いますね。

アライモノさん
鴨志田さんの事務所ではなかったかも知れませんが、「タレントさんとバスツアーに行く」みたいなバスツアーがあって、本人のバーチャル・ヒューマンがなんかバスのモニターに映ってファンと 一緒に旅行するみたいなイベントが人気だったような記憶がありますね。

村田
なるほど、そういう使い方というかマネタイズがあるのですね。

アライモノさん
そういえば、あのイギリスのロンドンでABBAが復活するというステージ・ショーがあります。それはルーカス・アーツ(スター・ウォーズのジョージ・ルーカスがオーナーのスタジオ)が作ったホログラムとCGを組み合わせたような新しいライブステージ・パフォーマンで、ABBAを復活させたステージという形で、1年で140億円ぐらい売り上げて、かなり人気だったと思います。

村田
確かABBA VOYAGEとかいう常設のシアターをロンドンに作ってしまったやつですね。何かのメディアで200億かけて作ったのが1 年で回収できたという記事を見たことがあります。
これは世界中からファンが来てるらしいですが、ある意味もう観光資源ですよね。

アライモノさん
これは1分作るのに2億円かかったと言われています。
このショーの制作に200億円以上かかったと言われており、ハリウッド的な技術で作ってるんです。
ここで、現在の生成AIのテクノロジーの進化が凄いところなのですが、
このABBA VOYAGEのレベルのショーが1/100のコストで作れるようになっています。 

村田
ABBA VOYAGEが 200億かかったものが、今は2億円でできるってことですか。

アライモノさん
もっと安いかもしれません。
もしかすると何千万円でできるかもしれません。
これが意味することは、ごく一部の世界的な超スーパーとハリウッドのプロダクションがビッグプロジェクトとして やらなければ収益がでなかったようなことも、今なら、収益が出せる可能性があるということです。
技術革新で3DCGやバーチャル・ヒューマンが実現して、生成AIが空間を作り出すので、コストが下がってるのです。

村田
言い方はアレですが、ABBAのような超がつく世界的な大スターでなくても
こういうことができるようになるよってことですね。

アライモノさん
そうですね、誰かを復活さ せるためにいきなりアイドルプロジェクト 100億円はかけれないんですけど、 何千万や1億円だったら採算がとれるアーチストがいて、それだとできるということですね。

村田
わかりましたありがとうござい ます。

5-「ぴにょきお」が考えるAIタレント(バーチャル・ヒューマン)

村田
次に、 AIタレント(バーチャル・ヒューマン)についてお聞きしたいです。
これからのエンタメを考える上でバーチャル・ヒューマンとかAIタレントと言われる、姿はデジタル的に成型されていて、思考・発言・パフォーマンスはAIが考えて行うというタレントが出てくると言われています。
そして、それらのAIタレント(バーチャル・ヒューマン)が人間のタレント以上に活躍するかも知れないと期待されています。
先ほどのK-POPの事例がイメージしやすいと思います。
そのAIタレント(バーチャル・ヒューマン)専門の芸能事務所を立ち上げたのがくりえみさんですね。
まずはくりえみさんに、どのようにバーチャル・ヒューマンをプロデュースしようとしているかをお聞きしたいと思います。
ちなみに、「ぴにょきお」が考えるデジタルヒューマンはどのようなものなのでしょうか。例えば歴史上の人物のような何かモチーフがあるものか、オリジナルのタレント的なものなのか、みたいなことですが。

くりえみさん
 それで言うと オリジナルで作ったバーチャル・ヒューマンのタレントをスターにしたいというのは、最終的に実現させたいことです。
でも、そのゼロイチの作業ってかなり大変なのと、もちろんコストもかかってきますね。
 何もないバーチャル・ヒューマンをスターにさせるまでのコスト感っていうのは、かなりかかってくるので、なかなか難しいかと思っています。
それで、目先のことで言うと、まず自分自身がバーチャルヒューマンに なって、目の前でやれるマネタイズをしていく、そしてそこから うまくいったケースを元に、ゼロイチで作っていくみたいなことを考えています。
 なので、これしかやらないっていうのは別に考えてなくてどっちもや
るっていうのが、答えです。
でもそのやるタイミングであったりとかは、いろんなユースケースを作りつつ、今はどっちをやるべきで、どこにどれぐらいお金をかけるべきかっていうのを考えながら進めていく形になると思います。

村田
なるほど、ありがとうございます。
ちなみに、具体的に「ぴにょきお」のバーチャル・ヒューマンはどんな活動をすると考えていますか?
タレントなのか、歌手なのか俳優なのか、またはVtuberみたいなことでしょうか。 

くりえみさん
そうですね、私が今思っているのは、私は日本語とちょっとした英語ぐらいしか喋れないですけど、バーチャルの私だったら、中国語や韓国語など、言語の壁を超えて色々な発言をすることができ るっていうのは結構大きいことだなと思ってます。
言い換えると、バーチャルにする意味みたいなところを考えると「リアルの私では成し得ないことができて、初めて意味があると思ってるんですね」。
バーチャルヒューマンの領域とかで言うと、アメリカや中国の方が圧倒的に進んでいたり、市場規模も大きいと思うんですけど、そういうところに対しても色々と 発信することができるっていうのが大きい点だと思います。

また、自分も含めてタレントの多くがセカンドキャリアを考えているんです。だけど、ほぼうまくいかないんですよね。
その セカンドキャリアを考えた時に、その人の全盛期を維持しているバーチャル・ヒューマンを活用しながら、活動することができるのはいいなと思うんです。
例えば、全盛期に出てた音域が、30代になって出づらくなったみたいなところがあっても、その部分をAIで補填するとかですね。
表に100%見えるものではなくてもAIの技術を用いてそこをうまく補って活動を維持し続けることも可能になると思うので。
そういうセカンドキャリアの 形成だったり、タレントの活動の幅を広げるみたいな領域AIがいろいろと活用できるんじゃない かと思ってます。

村田
なるほど、ありがとうございます。
「リアルではできないことを実現できるのがバーチャルの価値」
「セカンドキャリア支援などにも役立てたい」ということでしょうか。
音楽アーチストで言うと、例えばエリック・クラプトンというアーチストがいます。1970年代から活躍しているブリティッシュ・ロックのレジェンドです。
当時高校生とか大学生だったファンは、今やおっさんというか、ほぼおじいさんなんですが、今でもファンなんですね。
何がいいたいかと言うと、ファンもアーチストも年をとるけど、ファンはづーっとファンであり続けるということですね。
大人になったからロックは卒業するのではなく、づーっとロック好きということですね。
そういう時にくりえみさんのセカンドキャリアのことを思い出しました。
アーチストが年を取ってステージに立ったり、ホログラムで往年のステージを再現したりしながらLIVEするみたいなことができると先ほどのセカンド・キャリアにもつながるし、新しいエンタメの可能性を拡げるのかなと思いました。考えてみれば、ABBA VOYAGEもそうですね。

村田
鴨志田さんにお聞きしたいのですが、有名なタレントさんのバーチャル・ヒューマンを作ったとして、全国同時100箇所握手会に出ますよとか、こっちのイベントの営業案件とあっちの企業のパーティーに同時に参加して、なおかつテレビ番組の収録にも出てる、みたいなことはがバーチャル・ヒューマンだと可能なのですが、そういう風にこのタレントさんをどんどんデジタル化して稼ごうみたいな考えは芸能事務所としてはあると思いますか?

鴨志田さん
うーん、それはちょっと違うかもって思います。
やはり、ある程度「売り方」や「タレントイメージ」も考えないといけないので、露出もコントロールしないとですね。
最近、24時間の室内ゴルフ練習場とかあると思うのですが、どこの練習場でも「バーチャル・タイガーウッズが教えてくれる」みたいなサービスがあったら、タイガー・ウッズの価値が下がると思うんです。

村田
確かにそうですね。
バーチャル・ヒューマンで、何でもできるからって、分別なくどんどんやるというのも良くないですね。

6-デジタル・ヒューマンが創る新しいサービス

村田
最後のテーマです。
デジタル・ヒューマンだからこそできる、新しいサービスがこれから出てくると思います。その中で、かなりビジネス化の可能性が高いものとして「AI彼女」「AI彼氏」があると思うのです。

アメリカのニュースウィークのweb版に載っていたんですが、女性の方が人間の男性に疲れちゃった。それで、このこのデジタル・ヒューマンの男の人とお付き合い始めたと。それでついに、この男性と結婚式あげたらしいです。この人は生身の人間じゃなくて、バーチャル・ヒューマンの男性の方が私にとっては信頼できるし愛してるって言ってるんです。
こういう関係って成立するのかという疑問がありました。
尾形さんにお聞きしたかったのですが、「人間とデジタルヒューマンの愛」 って成立するのでしょうか。

尾形さん
まあ、成立はもちろんすると思います。
この人が愛してると言っているということは、成立すると思うんですけど。
だけど、スタンダードではないと思っちゃいますよね。
だって、人間は人間を好きですよね。
だから、それがこのAI彼女(彼氏)みたなものがスタンダードになる未来は、私には想像しにくいなっていう感じですね。
もちろん、デジタル・ヒューマンはあると思いますよ。
ただ 、じゃあ、自分のそのパートナーにAIを添えますみたいな人が、本当にメジャーになるのかなっていうと、ちょっと直感的には信じがいとこはありますね。

村田
なるほど…。多分、尾形さんはモテるからそう思だと思うんですよね(笑い)。
実は、僕はこれについて、ものすごい肯定派なんです。
理由は、人間とコミュニケーションするより楽だろうということです。
AI彼女は多分、いつもこちらにとって気持ちいいコミュニケーションをしてくれると思うんです。
常に気持ち良かったら気持ち悪いから、ある一定の距離感 があって、で、それをコントロールしながらお付き合してくれるんじゃないかと思うんですよね。
そして、バーチャル・ヒューマンは絶対裏切らな いですよね。
人間の男女関係に、絶対裏切らないってないですよね。
だって世の中離婚が離婚1/3離婚するわけですから。
まあそんな理由で、僕はかなりの肯定派なんです。
鴨志田さんはいかがですか。

鴨志田さん
まあ、肯定するかどうかわかんないですけど、(こういうサービスは)出てくるんじゃないかと思い ます。

村田
なんか僕はもうこっちの方がなんか、主流になるんじゃないかと思っています。
くりえみさんはいかがですか。

くりえみさん
こういうAI彼女とかこういうのは、直観的には、スタンダードになるのは、相当難しいと思うんです。
だけど、実際に、初音みくちゃんと結婚式あげてる人も何人かいますし。
それに、vtuberっていうのがやっぱりこれだけ人が熱狂するって最初はほぼ誰も思ってなかったじゃないですか。フォロライブ さんとか2じ3じさんとかも、今となってはこういう状況になっているかもしれないけど、当初は私の周りの経営者の人たちも、あんな風にまで、あそこまでになると思わなかったってみんな言ってるので…。
だからそれで言うと、全然ない話ではないと思いつつも、全体のユーザー数で言うともちろん一部の人だと思いますね。

村田
なるほど、ありがとうございます。
僕はですねこの「AI彼女・AI彼氏」のサービスをする時にすごい重要なポイントが1個あると思ってまし て、それがあのNFT化というか個体識別なんですよね。
バーチャル・ヒューマンなんだからルックスは同じものがいくつも販売されると思うのです。つまり、同じルックスのバーチャル・ヒューマンを複数の人が購入するということですね。
しかし、購入されたバーチャル・ヒューマンはすべて別なんですね。
例えば、番号で識別されているとかそういう意味なんですが。
そうすると、このニューズ・ウィークの女性とこのバーチャル・ヒューマンの男性の関係を考えると、この男性のバーチャル・ヒューマンはこの女性の言動を学習して、変化していくというか成長していくんだと思います。
それで、その学習&変化することによって、このバーチャル・ヒューマンの男性は唯一 無の存在になっていく。唯一無二のデジタルヒューマンになるんじゃないかと思ったんです。そうするとこのこのデジタル ヒューマンはすごいオリジナルの価値を持つようになると思いました。
しかも、このオリジナルのバーチャル・ヒューマンですが、物理的に壊れてもまた元通りになるし、下手するとルックスも変えられるし、嫌なことを忘れさすこともできる。
そう考えてみると理想的な恋人になりそうですよね。

7-おわりに…

村田
最後になったのですが、このAI彼女的なサービスですが、いろんな形態があると思うんです。
今回のテーマの「エンタメ」ではないのでちょっと異なるテーマにはなるのですが。
もっともイメージしやすいのは、ドラえもんのような存在ですね。子供にとって何でも教え てくるお兄さんとかお姉さんていう存在があり得るなと。
次に、部下がAIになるみたいな、仕事においてのアシスタントみたいな存在。そして、最後が「職業ヒューマン」というかですが、専門的なことをなんでもできるデジタル・ヒューマンです。
こういういろんなバーチャル・ヒューマンの在り方の一つが、「ぴにょきお」さんが目指すバーチャル・ヒューマン・タレントだと思います。
ただ、実際の所、ドラえもん替わりのバーチャル・ヒューマンが来月登場するかというと難しいだろうと思います。
そこで、くりえみさんが切り開く「バーチャル・ヒューマンのタレント」の登場です。このような存在から、多くの人に親しみを持たれ、それが将来は人間とバーチャル・ヒューマンの関係を作り出すモデルケースになる。
そう考えると、単にタレントとして人気が出る・出ないの次元から、AI又はAGIと人間の関係みたいなことまでの期待がかかることだと思いました。ぜひ大成功を収めてAGI(バーチャル・ヒューマン)と人間の新しい関係を作り出していただきたいと思いました。

それでは、今日はこれで終了させていただき ます。
今日はどうもあのAIWeb3勉強会ご 参加どうもありがとうございました。

ゲストの皆さん
ありがとうございました。
どうも ありがとうございました。


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