微睡む

夢の中の友人の背中には大きな傷があって今日の夢に限らず前もその前もあったから本当にあるのではないかと思うけれど実はそれが羽を毟り取られてしまった天使なのではないかと傷をさらりと撫でた、あまりにも大きな傷肩甲骨の傷だから痛々しい現実の君の背中はどうなんだろう綺麗でも傷があっても丸ごと愛するから何だっていいけれど現実では触れることなんて許されないからよく思いを馳せています、脊椎がオパールになる頃あなたは何をしていますかの言葉の愛おしさ何年も何年も何年も自分の脊椎か君の脊椎か全世界の脊椎かみんなが生きる未来か世界が滅亡したあとの未来か人間だけが排除された未来か私の微睡みがたったの2時間であることを考慮すると3時間後の未来かもしれないそれくらい永遠に君を思うことが許されていたら  脊椎のうちから輝く緑青紫ピンク黄色が混ざった鈍い光美しく光る宝石が君の背中を貫くことを想像したら美しさに惚れ惚れとするだろう圧倒されるだろう優しく強く抱き締めるだろう  もし背中の傷がオパールを抜いた後だったら抜き去ってしまった誰かを死んだ後も呪い続けるだろう神様であってもただの人間であっても幽霊でも絶対に許さない  時計を見たら4が並んでいて呪うとか言った罰なのかもとぼんやり考えるけれど数字なんかで人を殺せたら世界にはもう人間なんて残されていないけれど稀に4が並ぶ60秒の間に死んでしまったらを想像する死にたくない死にたくない殺さないでまだ生きていたいんです君を残して死ねないんですと願うけれど4は5に変わらずそのうち視界の端からぼろぼろ世界が崩れてポップに終わるアニメみたいにぷつんと視界がなくなる世界を想像している間に気づいたら7に変わる表示もしかして5も6も世界には存在しないのかも  扉の鈍く鋭く開く音  くが並んでいる  鈍<鋭<開<音何の大小関係なのか分からないけど漢字の世界にも人間みたいなしがらみがあるのかもしれない自分たちが知らないだけでそこには楽しく愚かであたたかくてグロい世界があるのかもしれない  脳裏に浮かぶ光景を全て文字に起こすと何の脈絡もない突飛なものになるけれどそんな世界が私は好きでよく微睡んでいた それが大会の日でも授業の日でも意図的に微睡んでいた 世界が終わるまで微睡み続けたいぬるい羊水に揺蕩う時間が死ぬまで続けばいいと本気で願う頃には夜も更けていて窓は白く淡く光り鳥は歌い始め不気味な静けさを挟みながらやはり鳥の声が聞こえる 私の意識が空気に溶けそうになる度に全身の緊張で目が覚める 今日も夜と一緒になることが許されず朝になってしまった 今は誰かが乗り物に乗って私の目の前に現れた何かを言って去っていったこういうのを繋ぎ合わせた脳内しか持ち合わせていないので人間の世界に馴染めないのなんて当たり前だと正当化  せいとうかってなんだ?響きが可愛いねくちゅんのくしゃみ 脳裏に浮かぶ映像を何も媒介させず打ち込む言葉しか本物の言葉ではない 思考を巡らせた瞬間に言葉は記号としての役割しか果たさなくなる そろそろ世界がはじまる そうこうしている間にも誰かの問いかけそれをあしらう自分エレベーターの音がどんどん湧き上がり消えていくもう何のことか覚えていないけれどそれもこれもどれも全部私だけの世界

この物語はフィクションでありノンフィクションである 微睡みの時間の私の記憶であって狂った訳でも幻覚を見ているわけでもありo(oo  ませんと打とうとしたらなんだか自然とパーミルが現れてきました  本当のパーミルもこれくらい柔らかかったらいいのにね

草々

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