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悪の華



明けない夜はない



醒めない夢はなく、明けない夜がなく、ゴールのないランニングがないように、全ての物事には終わりがくる

終わりがくればまた始まりがきての繰り返し、森羅万象全ての物事はそういう輪廻の中にいる。私もまた然り、世界や宇宙はその螺旋の中にいるものだと、私は心から感じているし疑わない





この1年

振り返れば、ただただ私は惨めだった



今考えれば全てを自虐に変えないとあっさりと壊れてしまいそうな位脆く、儚く、愛のない結婚生活だった

私達の生活は今考えれば半年やそこらで終わっていたのだと思う、最初に触れたくないと言いだした妻の言葉を勝手に冗談と置き換え、暗示のように私の努力が足りないだけだと毎日毎日真っ暗な部屋に帰り続けた。最初は1ヶ月、2ヶ月と数え、次第に怖くなって私は考えることをやめた


喋らなくなったぬいぐるみ達を眺め、開かない寝室を横目にひたすらに考えないように目の前のことでかき消した。私が一緒に走るようになれば、整髪料の匂いが無理なら髪の毛を剃れば、会話がないなら料理ができるようになれば、何かが変わるかもしれないと藁をも縋る思いでなんでもできた

段々と2人の文字やイラストが減っていくカレンダーを誤魔化すため、私のどうでもいい予定を書き込んでいた時の、あの地獄の釜の底で足掻いているような惨めで哀れな気分を、私はもうこれから先味わう事はないだろう


私は精一杯生きた、恥じること等1つもない、文字通りなんでもやったが足りなかった、満たすことができず、理解されず、そして愛されなかった


何本もあげた花も病気になるくらい買ってきたケーキも頭を悩ませた彼岸の絵のすべても残念ながら全て無駄だった、これが現実かと思い知った

世の中には花が好きではない女性もいて音楽が好きではない人間もいて、本人の目の前で結婚しなきゃよかったと平気で言える人間がいるとは思ってもみなかった。


いかに今まで生ぬるい世界にいたのか、いかに自分が愛されて生きてきたのかを、まさかこの年で思い知るとは夢にも思わなかった



しんしんと降る雪が、願わくば思い出だけを綺麗なまま埋めてくれることを願う。

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