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2022年7月に読んだ本

1. 虫眼とアニ眼

養老孟司さんと宮崎駿さんの、人と自然をめぐる対談。感性とは?からはじまった「蝶道」の話、体臭の話、養老さんの唱える「脳化社会」にもつながる「トトロ観せすぎだよ」話。ディテールを感知する能力、視線の矛先、人間嫌い・・・とにかく面白い。現代社会が抱える問題を見つめ、憂い、だからといって悲観的にならず、手を動かし、足を運び、語られる言葉の数々に、何度もうなずいたりクスリと笑ったり。
冒頭22ページにわたって掲載されている、宮崎駿さんのカラーイラストも必見です。巻末の「文庫版あとがき」も。あ、つまり全部です。

2. くらしのアナキズム

先月読んだ『うしろめたさの人類学』で、ずっと引っかかっていた言葉。

もしかしたら、ぼくら自身が他人の「正常」や「異常」をつくりだすのに深く関わっているのではないか。
松村圭一郎『うしろめたさの人類学』ミシマ社  p10

その後大学時代の恩師と話しているときに言われた、「開かれた身体から『閉じざる身体』への移行が、現代に求められていると思います」という言葉。
自分の姿勢や関わり方が存在の一端や社会をつくっているとしたら、「閉じざる身体」とは、その姿勢のことも指すのだろうか。フラットでありたいと思いながら、すでにさまざまな偏見を持ってしまっているだろう自分が、「閉じざる」をどう体現できるのか、考える。『くらしのアナキズム』はそのヒントになりそうな本だった。一度では理解できなかった部分も多いので、また読む。

3. 圏外編集者

珍スポット、◯畳一間の部屋でのリアルな東京暮らし、地方発のヒップホップ、最近ではおかんアート。その発想や視点はどこから?と思ってしまうけど、都築さんはそれを、「僕が取材してきたのは『スキマ』じゃなくて『大多数』だから」と言い切る。この本でも紹介されている都築さんの多数の著書のなかから、近所の本屋さんに取り寄せてもらったのは『ヒップホップの詩人たち』。ほんの少しだけ触れられていた、取材の動機に惹かれました。

4. 魔法をかける編集

「編集」について考える機会があり、再び手に取った本。個人的には昨年10月に東京から長野に引っ越したことで、ローカルメディアをより感じやすくなったというか、自分ごとにしやすくなったというか。面白いことを能動的に小さく始めるチャンスは東京よりもあるのかも?と思いはじめています。

5. 現代アート、超入門!

現代アート。コンテンポラリーアート。まったくもってどう受け止めればいいのかわからない・・・と、ある展覧会をきっかけに心のシャッターを降ろしかけていたのですが、そのまま離れていくのも悔しい。ということで「さっぱりわからん」の気持ちを両手でやさしく受け止めてくれそうな、こちらの本を読んでみることに。結論、とても気が楽になりました(笑)構えすぎなくてもいいんだなぁ。いまはむしろ、いろんな展覧会に足を運びたい。アートへの興味が増幅中なので、この機会を逃さず育んでみたいと思います。

6. 腸と森の「土」を育てる

再読。この本を読んで、我が家の食卓に小さな変化がありました。
記事も書きました。

7. クラバート

小学生の頃に読んだ『大どろぼうホッツェンプロッツ』の著者、オトフリート・プロイスラーの作品。児童文学とされているけど、大人でも楽しめる。物語の世界にぐいぐい引き込まれ、一気に読んだ。
子どもの頃はエッセイって何が面白いんだろう?と思っていて、小説ばかり読んでいたけど、大人になるにつれてエッセイや対談を好んで読むようになった。けど、やっぱり小説もいい。どっちも読もう。

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あんなに心にグッときたはずなのに、読んだはしから忘れていってしまう悲しき現実。少しでも抗ってみたいと、備忘録を残しておくことにしました。


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