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TomoPoetry、世界のほつれ目をぬって。

コカコーラと寿司
そしてチップスの間を通って
レゲエのリズムで
忘れていた葬儀に
むかう
地下鉄への階段をおり
バビロンの塔に
よじ登り
地下水道を這って
宇治羊羹を目の前に
首か
腹を
出せと要求される
泡立つ欲望
割れる遺産
揺れる肉体
黙った祖先
赤いヒール
紙細工の塔
隠れた墓地
目の前の死まで来てしまった
這って
走って
歩いて
蒸気機関車で
縫いあげた星

まだほつれたいたるところから
時間と
かなしみが
縒り合わされた糸が
垂れている
なかは見ない方がいい

うつくしいものは
わたしたちの手で
触れることができないところにある
わたしたちが縫いつくろった世界は
わたしたちの
過去と唾液がついている

インド洋の東の端で
海の端をめくると
海賊船と青いペチコートが
緩やかに揺れている
今期のビジネスに頭が揺れている
鉄骨の建物と
青いスーツのように
東京の端をめくり
一歩足を入れると江戸に出る
水面では
爆撃で炎になっている
炎の下に見えるのは
青く氷る時代の
人魚 それとも
沈みゆく
炎のようなフランス人形
身を真っ直ぐにして潜っていく
いや 沈んでいく

あなたが
針をはしらせる
星は
沸騰したフラスコ
いつか罅がはしる
かなしみのつぶやきのように
星がくだける夜
あなたは
ほつれ目を重ねて
糊をぬり
糸をとおす
死の川から
江戸川から
地下鉄にしたたる水路
枕にしみこむ
あなたのほつれ目

あなたはあなたの方向へむかう
川に沿いながら
人類の裂け目に沿いながら
びっしょり
濡れながら
わたしはわたしの方向へむかう
わたしたちの
歩みがどこかで出会い
星を完全な姿で見れたらいいのに
それまで
さよなら

涙となって川になり
地図からしみでる
世界の
輪郭からこぼれる
わたしたちの
絶望で満ちたあかるい歩み
まだ一日は
行ける
世界の隙間を
肩でこじあけながら
あと一日歩く

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