「ビジネスとしての本屋に関心があるものの、独立系書店には興味を持てない私」(191ページ)で語っているように、著者は本屋全体を考えているわけではない。取次店について特別な意見を持っているわけではない。わたしは、ローソン、ファミリーマートへの雑誌配送が、日販からトーハンに変わった時、大きい変化の可能性があると思う。良い方向へか悪い方向へかはわからないが、その時、日販にもトーハンにも、想定していなかった構造上の、あるいは損益上の軋みがあるように思う。それでも、本屋がそれぞれの努力で生き残ることを祈る。

画像1 『2028年街から書店が消える日』小島俊一 著 四つの部門に分かれている。 本屋をめぐる厳しい現状*注目の個性派書店から見える希望*出版界の三大課題は正味、物流、教育*提言➖生き残る本屋の道、の四つの表題の中に29の出版社、取次店、書店、そして著者やこれまで出版業界に関わっていた人物への短いインタビューが書かれている。29回の週刊誌のルポルタージュと考えるとわかりやすい。が
画像2 著者の視点は次のようにまとめられる。①業界の構造の改革が必要。②出版社、取次店、書店の社員の教育、研修が不足している。③書店の生きる道は、買い切り商品や小売以外のビジネスへの拡大で多様化すること。④物流の問題、である。
画像3 正味、書籍雑誌以外の商品の仕入、講演会等のプロデュース、出版業界の人間教育の必要性が強調される。しかし、正味問題への解決の道は著者にも見えてこない、書店の多様化は書店任せにするしかない、また、教育についてもそれぞれの法人に任せるしかない。日販のローソン、ファミリーマートからの雑誌販売の撤退に至っては、なすすべがない。したがって、インタビューは、現在、売上が伸びている書店、鋭い発言をする書店、かつてそうだった書店経営者へのインタビューになるしかない。

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