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朝食はこごえつずける

バナナを一本もぎ取る
東南アジアの 
川沿いで腐敗する 
バナナの幹のように 
パンを二つに割る
新疆の青空のしたで  
生きる意味が 
砕かれ
土にこぼれるように
あたためたミルクに
コーヒーを溶かし  
攪拌する
残されたひとびとが
つめたい手によって
死に沈められるように
スプーンがカップを叩く
銃声が
青空と
穴だらけで立つ歴史に
反響するように


きみはその音と
地にしみこむ生の声を
記憶せよ
それが  
地上の音
きみはまもなく地下で
そのあと
この星を 
はるかから見ながら 
その音を聞き続ける
今朝の食事を
思い出すだろう 
眼を開くたびに  

まだ 聞こえる
泣き声  
それはきみの泣き声だ
星が朝をむかえるたびに
きみは  
顔をあらう
ながれる時間は
一瞬熱くなり
すぐ凍えるので
きみは毎朝  
確認する
時の色とつめたさを

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