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天に向かってうたう

きみの肉体は やぶれた皮膚ともろい骨 のびきったロープのような管でできている 小包み紐のような 四肢とかわいた内臓には 化石のような 蛇がかわいて 絡みついている あるき始めて数千年 鳥を食べた 鼠を齧った 雪をしゃぶった 風を舐めた 低い音やビブラートで あれは何年まえだ 背に女がぶら下がっている 乾いたまま 首には小さな腕が巻きついている ときに光がまっすぐに 口から地へと通りぬける そのとき ガラスが共鳴する音がする 全身が震え 生きていることを思いだす きみの足跡は濡れている だれのかなしみが 滴り落ちているのか 眠りのなか きみは長い記憶を摩り 涙がながれる 目のない顔をいくつも思いだす それらはすでにきみの顔になっている

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