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TomoPoetry、どこへ向かうか、きみは。

白鳥の嘴は
天をつつく 
向こうには群青の壁
拍手で背は
まっすぐになる
二、三個川の向こうに落ちる

支えていたもの
人参なような鋭利なもの あるいは
鈍い饅頭の
おもさをもつもの
すべてを
朝 まな板に立てる
向こうへ行くならば
同じだ
後悔も
かなしみも
笑いもない

股間へ滑り落ちるものがあるなら
ゴム製の地球儀
錆びた包丁
もう観察の意味はない
上にのるのは
白髪や化石のひまわり
安いけれど止まらない時計
巡るものがなくても
洗濯機は
撹拌する
きみの記憶と希望と今日を
魚は三枚
性器は塩漬け
きみの舌は
生命の形式を感じとれるだろうか

きみは
だれも見ていない午後
球状の水切りに
キスをする そして
つぶやく
猿の脳と象の脚がほしかった

具体的な存在は
きみの視界にはとどまったことはない

きみは窓枠を引きのばし
肋骨をさらす
星座が
あいだをとおりゆく
窓には生命がこぼれ
金属の魚が
ブローチのように落ちる

きみは
股で
無意識のほころびをかくす
脚ですべての川をまたぎ
涙と雨を降らせる
そのあと 鳥の咽喉の
鮮やかな色で
一日を始める
地をカラフルな原色に濡らしながら

夜 命を
ひとつひとつの時間の籠にいれながら
きみはもどる
眠り
あるいは
覚醒した狂気

ほら きみのあとを
猿と象が追って
靴をひきずって
どこかへむかっていく

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