Tomo Poetry、きみだけの朝。
きみの朝
氷のブルー あるいは
グリーンのフルート
蒼い星が膨らみ縮み
音楽が聞こえる
口笛のように
フールフール
ブルーブルー
フルフィルハーモニー
香ってくる
前世紀フランスのパンケーキ
焦げついた地図を
手にのせて
薄く脆い
記憶
数世紀
脚を失ったきみは
白紙の地図に点描した
透きとおったグリーンとオレンジに
変わりゆく髪の色
軍隊はカメレオンのように
砂漠をジャングルをくねり
きみは見失う
自分の位置を
一本の脚を
ただひとつの
目的地を
手には墨を刷り込んだ天体図
迷ったことに気づく
ひとひどのかなしみ
迷いつつ走る
ひとびとのくるしみ
十字路の水蒸気の
叫びはソプラノ
地球に濁点を打つ
シベリアの純白のウエディングドレスに
長城に並ぶ白紙の歴史書に
カンボジアの稲穂に
アフリカに残る雪に
炭で描く
音にならない
文字にならない
記録を
てんてんと
都市は空を引き裂く音で満ちている
まだ目を覚ますには早すぎる
しずかな思想と尼僧たち
皮表紙を埃の棚にならべている
星が目のなかで自転する
見えない手が摘まむ
ブルーベリーの朝
昨夜の桃が
腐敗している
夜の苺はひび割れている
目を覚ましたきみは
眠りのなかの
だれかの死をくぐり
痩せて透きとおっている
誰の死の朝だろう
モノクロのフイルムが
黒くねじれるような
きみが知らない
あたらしい朝が
手のひらにのせた固い果実
時はすぎるのだから
きみは薄く
色を変えつつある
秘密のプロローグ
光のカーテンの呼吸
摩天楼から下がるネグリジェ
街路を染めるフレッシュジュース
いろいろな意味を
ひとつの
色にする
きみの挨拶
声は聞こえないが
まだ朝だ
存在が無くなる話しはだれも語らない
その先はまだ考えれない
早すぎる
朝だから
やがてパンケーキを作る
月が数回転する
宇宙は
きみのまわりを
一回転する
逆立ちしたきみは
呟く
生きているのはわたしか
それとも宇宙か
光があふれる道
壁はカラフルな波
トランペットがどこまでも届く
きみが駆けていく
あたらしい朝
ようやく見つける
待ち望んでいた
きみの朝
両手で
真っ白な譜面を開き
ハミングしながら
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