見出し画像

手のひらのなかで

あおいまるいボール
ガラスは冷たいまま
ひびく足音
もがく手のひら
ガラスのかけらが
ながれる 槍のように
ときには あたたかい外套のように

あの声が聞こえるだろうか
眠りつつあるあなたには
触れていく風を感じるだろうか
氷の透明さのあなたには
もうおろしてしまおう
白い麻の空を
あなたの
呼吸のあたたかさが
あおい星をくもらせる

だれの手のなかで回っているのだろう
あなたの夢と
わたしの
目覚めたばかりのかなしみは

ながれるような
あなたの四肢から
青葉あるいは水草 それとも
そのしたの褐色の記憶

わたしはふたたび丸くなる
あなたのように
手のまるみにそって
空は
あかるく暗く
ときに死布の銀色に
あるいは命のようにかがやく

まだ聞こえるあなたの呼吸
波のようにひろがりゆく
星たちのひかりのように


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?