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TomoPoetry、風がはこぶ古いかおり。

語らなかった
子どもたちのうえに降る
花のような焔
木の棒になった
自立を望んだ子どもたち
だれも語らなかった
背をかじる
あかい海老

まるいテーブルで
まわる皿
フォークで刺されるのは
オマール あるいは
アメリカ
あたらしい皿には
しあわせを詰めたという
まるい赤

ならんでいる
あなたが捨てたものが
風がはこんでくる
あなたの記憶からきえたものを
レッドベリーと
ソーダ水で
口をあらう

だれも見なっかった でも
ときに
胸をきざんでいく
かおり

そう そこは歩いたことがある
石をひきづりながら

きみは刻んだのだ
その石の裏に
古いいいつたえを
きみの爪で

まもなく風はおさまるだろう
きみはふかく
ふかく吸いこむだろう
いのちを
きみは夜があけるまで
遠くに聴きつづけるだろう
古い声を

ふるいかなしみと呻き
あたらしい風に
かおる
その終わりのように
だれのものでもない声で
風がはこんでいく






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