TomoPoetry、くらい時に。
時がくらい
帯がくらい
あなたのからだを通る時間の管がくらい
そんなことに気づく夜
あなたの欲望はこなごなに消える
顔の傷は平行に
砂時計の目盛りよりすこし斜めに
笑う
語る
泣く
黙る
暗闇で蛍光色の傷
裂けると銀河系が見える
あなたは帯を外しながら
小舟に横たわり
真っ暗な海に出発する
目的地はどこ
知らないあなたは
星をかぞえる
欲望によって星は赤い
だれかの死によってきみの手は赤い
声はきこえる
赤ん坊と子どもの泣き声
太い叫び声
空は万華鏡
地も万華鏡
穴だらけの空間を
あなたは漂う
満ちる
溢れる
滴る
乾く
朝陽がつくる影は
とおい世界の埋葬
夕陽のまぶしさは
まだくぐったことがない扉の
隙間の
とおい時間
マットに立つと
扉の軋む音がきこえる
あなたの影がなくなる
正午
生は一本の管になる
中世の音楽があなたの中を流れる
単音で
和音で
叫びの声
嘆きの声
陽も わたしの口も
高すぎて見ることはできない
夜がまた来る
あなたは闇になる
時になる
闇が深まる その深さを測るために
闇の最も深いところで
あなたは待つ
光になるあなたを あるいは
光になるうず巻く星雲を
あと数世紀だろうか
われわれは待つ
凧をあげながら
ミントティーを飲みながら
背中を鞭打たれながら
ばらばらになった自分を
ひとつと映画のように
見ながら
今夜
わたしは眠らない
憎しみと赦しのあいだをゆれる
時計の振り子のように
音が鳴るまで
振り子は
しずかに ガラスの向こうで
ゆれる
ゆっくりと
銀河系の端から端までゆれるように
いつ 音は鳴るのだろう
まだ
枕のまわりはくらい
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