見出し画像

Tomo Poetry、春のからだ。

きみはすきとおり
くずれる滴になる
両手では掬いとれない
きみのからだ
春ではない
かなしみではない
絶望ではない

のこる記憶の音
ぽとん ポトン しっとん
きざまれた時の
ひとつひとつ

いくつかとびこしながら
思いだす
存在しない
きみのからだの
痙攣と
なみだ

風がすぎるのはどこだろう
わたしのかなしみ
きみの
存在したはずのからだ

目黒川をあるく
きみの記憶で
びっしょり濡れた
シャツをかわかしながら
川は
きみの春のワンピース

避けている間に
ときに
ひかる春のからだ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?