TomoPoetry、ねぇ、おとうさん カニカマって。
ねぇ おとうさん
カニカマって蟹でできているんだよね
蟹 と
かまぼこといろいろなものでできているんだよ
ひとって命でできているんだよね
むつかしいことを言うね ううん
それとも魂でできているの
だって ヒトダマって言うじゃない
すると 死んだらひとではなくなるの
おじいちゃんが死んじゃたとき
もう 向こうへ行きなされと
おばあちゃんが言っていたけれど
向こうにいるのは
ひとではないんだ
もしかするとタマだけかなぁ
ひとはこちらに残って
ひとでなくなったら何になるのかなぁ
おとうさんはモグラだね
すぐ穴にかくれるから
でも ひとがひとでなくなるとき
命はどこにいくの
消しゴムで消すように消えるの それとも
なにか別のになるのかなぁ
蟹が
カニカマになるとき
蟹でなくなってカニカマになるんだもんね
でも蟹はいいね
カニという名前が残っているもの
ひとがひとでなくなるとき
ヒトカマ
ヒトウィッチ
ヒトビカリ
ヒトダマ
やはりヒトダマのなかにひとはすこし入っているんだ
ホタルみたいなものかなぁ
わたしは父の骨を壷に入れた
父はどこに行ったのだろうと
地と空を見た
地は濡れて
空は晴れている
壷がすこし濡れた
わたしは
なにが入っているかわからない壷を抱いて
娘の手を引いた
カニカマ
カニマタ
ガニマタ
あれっ カニってガニマタだったっけ
道も娘の肩も揺れていた
海の波のしたを歩いているように
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