Tomo Poetry、少年の涙を見ると。
少年の涙のなかを
かれは滴りおちる
女の黒い眼のなかを
箒星がゆっくりめぐる
老いた背に沿って
星は墳墓の静けさに戻っていく
このまま忘れさられ
だれも思いださない
かびと埃だらけ そして
虫穴だらけの半ページ
数年前から
願いはかわらない
いびつな足跡に光がたまっている
夜
とてつもないやさしさが
わたしの背をながれおちる
きみはあの眼を忘れただろうか
世界をすべて映した黒く流れいく眼
今夜 きみの眼をめぐる
スカートのすその箒星
忘れたはずの時と
これから起こるはずの映画の場面
銀河といっしょにながれ
きみはきみの中の宇宙で
くるくるまわりつづける
少女の涙の
わき出るところまで
男が石のまま
掘り出されるところまで
指先から滴る宇宙が
かれの手のひらから
あふれるまで
もう もう一度出発する知らせが
夜空をきりさき
新しい光を溢れさせる
きみはあたらしい眼をもって
あたらしい自分を確認する
ほら 眼から
きみは足を伸ばしている
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