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TomoPoetry、あなたが去りゆくとき。

あなたが去りゆく時
わたしは飲んだくれていた

あなたともに
ぶら下げた野菜も
底で潰れた希望も
冷凍した絶望も
どろどろに
なっている
多分
あなたの希望と絶望は
誰かが拾いあつめる
躑躅の花弁の
あざやかさ
春雨で
茶色に
溶けはじめ
地にしずむように
顔を
花の色に染めたのは
夢だったのか


ただの夢だったのか
あなたが去っていった空も海も夢だったのか

わたしが目を覚ました時
あたたかい海流が
熟し
腐乱した実を
はこんでいた
しばらくすると
冷たい風が
太平洋へ
死者の記憶を
ちらして過ぎていった

酔いからさめたわたしは集めた
あなたの過去を小さい地図から
白紙の折り紙まで

風がすぎる河の
土手から
排水溝に沿って
帆をあげた軍艦の底まで
宇宙にただよう
歴史の塵まで
呼び寄せるサイレンの岩肌から
黴おおう
死亡証明書保管庫の
奥まで
さらに銀河系から
真っ黒な箱のなかへと
放たれた
人類の希望が
燃え尽きるところ
あなたの
記憶を
灰にする場所まで

わたしは煙草はよした
去りゆくものを見逃してしまうので

あなたの希望は
地図を焼き尽くした
狭い部屋を
暗室にした
あなたは燃え続けているだろうか
あなたの絶望は
星を氷でおおった
青い
宝石のような星に
小さな心は
凍ってふりそそぐ
硬い氷になる
わたしたちは凍え続ける
あなたが燃え
天が燃え
わたしたちが燃え
地が
白い灰になるまで

あなたが去りゆくとき
星は死ぬだろう
星座がちらちら
あなたの死を飾るだろう
わたしは
見たのか 見なかったのか
あなたが
去りゆく姿を

わたしは既に
星のきらめくひかりになって
あなたの三光年あとを
追っている
あなたに確認するために
あたらしいあなたの
姿について

わたしは向かっている
あなたの春へ
多分
春の衣の
あなたのところへ

今夜は
あなたが好きな
箒星色のワインを
ひとりで注ぐ
あなたから
ながれつづける色を
思いだしながら

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