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TomoPoetry、ことこと鼓動する天空。

マゼランが踏み外した太平洋
海面がとぎれるところの
ため息の青さ
マルコポーロが跨げなかった裏路地
映像が吸いこまれる先の
闇の湿り
肉体が鼓動する
あたらしい生命が
あたらしい視界を
這っていくように
地をびっしょりに

海の深みにキスしながら
歴史の闇の奥に
鼻をつけながら
道をたどる
ことことコトコト
骨がなる
骨は空の光で
満たされている
深夜に散乱する銀のこまかさ
早朝の爬虫類のつめたさ
午後
海や都市の闇を
刃物でけずるしずけさ
粉になり海底へ滑りゆくのは誰?
骨がなる
星雲とほうき星の隙間に
舌を伸ばしながら
歴史の乾いた味がする
赤い砂漠の
月あかりと過去の言葉を
舐めながら
見あげると
月が砕け降ってくる
さらさらサラサラ
地に沁みいった血
空の川にながれた
ことばのかけら
のかわき

駆け抜けた刀が裂いたもの
裂かれてひゅうひゅうなるもの黙って
天空の皿にと
パイはオレンジ色
白い手がフォークを刺す
あの大陸の丸い背
この沼地の硬い背
数世紀すると
ことばは音になる

きみの奥底へのかえりみち
今日という時間から
滴りおち地にしみ
空にしみ
乾いたきみの骨のかけらにしみ
きみは聞く
きみの鼓動を
鼓動する天空を

帰りには
裸で地下道をくぐる
コツコツ
骨コツコツ
見えない肉体で
地球を回す
赤いヒールの先で
コツコツと

星が浮いた水で
すきとおった骨のまわりをあらう
天の胸がおおきく呼吸している
耳をすますと
鼓動がきこえる
銀河系が楕円をたどり
透きとおった下着をとり
ほそい列島を
見えない指で
なぞっていくように

宇宙で骨がなる
地がまわるリズムで
月夜の散歩のように
死にゆく鼓動のように
かわいた音で
弱くよわく

わたしは鼓動する天空の
胸をやわらかく手の平でつつむ
わたしのなかで
ことこと
響いている

わたしは音になる
天空に満ちる音になる

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