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Tomo Poetry、はるの地にいのる。

黒い土に横たわる春
天は銀
流れるのは純白の鳥
青いトゥシューズが地表ではねる
背の下では
プラスチックの球から
やわらかいアオマダラの羽
徐々に
ほそい指のように
なにかを抱くかたちになる

キャベツが洗われる
雫にまぎれて涙が落ちる音
わたしの人生を
かなしんではいけない
あなたはまもなく
風の歌を聴く
とおい歴史から
傷や黴
虫と凍った星
それらの削りおとされる音
最も古い窓を
遠くからの風のために
すこしだけ開けるといい

あなたは幸せでいよ
三千年の風と
爆風と刃をくぐっていった身体で

死の欠片をあつめた祭りの場
焼き捨てる山から
一本の牡丹と
濡れた水晶の手を
持ち帰るといい
まだ花弁は開いていない
まだ指は蕾のまま
あなたは水になる
牡丹の篩管束を湿らす
手の毛細血管に
流れるものになる
命の形をたどる

正確には
あなたはすでに約束されている
はるの理念によって
いのちになる
春の土に
しばらく凍っているが

わたしは
シーツ二枚にくるまって
川を二本巻き込んで
そのまま眠る
あなたが地上に立ち上がり
花を抱えるまで
フラミンゴが飛び立つように
一瞬で
水は波紋をつくり
死の静けさに
将来のあなたが立つ

ときに願う
眠りが何日もさめないことを
はるの眠り あるいは
目覚めると新しい春に
シーツをめくり
窓は大きく開き
祭りの火が消えている
はる
心地よい
あたらしい世界の目覚め
あなたのライラックが香る

眠りの祈り
星に葬列と泣き声がつづく
しかし、約束がある
わたしの右腕は地中海
左腕はカリブ海
右脚が南太平洋をかきまわす
青い珊瑚が
指を伸ばす
カジキの銀の針には
カラフルな星雲が刺さっている

わたしは
はるの海
背は春の地
シーツのうえで
わたしは
星にささやく
目覚めの歌のように
とぎれとぎれに
まったくあたらしい
メロディーの
口笛をいれながら


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