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TomoPoetryー友野雅志の詩

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日々書きためた詩の中から、noteスタートしてしばらくしてからの最近のものをのせています。それ以前は、下をご覧下さい。   …
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2024年2月の記事一覧

TomoPoetry、きみは何を語るのか。

TomoPoetry、きみは何を語るのか。

さあ 言うがいい
きみを槍で刺し
笑う男に
呟くがいい
きみの血がながれるのを
喜びおどった男に
死の扉のむこう
どこまでも落ちていく闇について
一言
語るがいい

おおくの耳が
きみの声を待って
何千年だろう

目が覚めると
星が洗われるような
耳鳴りがする
それは
聞こえないきみの声が
世界から欠けている
せいだ

朝の道に
無意味な耳鳴りが
反響している
バス停で
横断歩道の白を跨ぐとき

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あなたが人であるなら

あなたが人であるなら


あなたが人であるなら
わたしは人でない

かれは口を閉じた
人から発するものを
吐き出した
すべてからになるまで
言葉
のぞみ
糞尿

そして血

乾いた葦になり
数分からからと燃えた

あなたが牛のステーキを切るとき
かれは骨だけになった自分を
削っている

あなたが
頰に風を受けて歩くとき
かれは
風のなかを
かるい種と一緒に
ながれていく

あなたが人であるなら
かれは人ではない
きらき

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よあけの前に

よあけの前に

灰色の空気
色なくくすんだ風
そこを歩く

どこへ向かうのか
背がななめのきみは 
こたえない
灰と水を踏むわたしは
何も
知らない
何も知ろうとしなかった

今朝もきみは
その道を踏んでいる
赤いヒールを捨てようかなと思いつつ
コートと
合成皮革のかばんを
捨て去ろうと思いつつ

わたしは もう
凍えている しかし
はだかだ
風も声もつき刺さる
わたしの
色がするところ
わたしのなかの
かくせな

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ちいさな者へ

ちいさな者へ

目が覚めると
きみは河の向こうから
こちらを見ている

すべてが破壊され
まだ煤が熱をもっている
時を
目覚めるには早すぎると
眠り あるいは
生がはじまる前の
かなしみの笛が鳴る前の
わたしを
きみは水で流しさろうと
あおい眼を
ふくらませ わたしが腰をおろした星を
ぴっしょり濡らす

言葉から言葉へ落ちていく
いのちは
透きとおった卵
時よりも
すこし先で
割れていく

ちいさな者よ
忘れては

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