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TomoPoetryー友野雅志の詩

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日々書きためた詩の中から、noteスタートしてしばらくしてからの最近のものをのせています。それ以前は、下をご覧下さい。   …
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2022年7月の記事一覧

TomoPoetry、見えないもの。

TomoPoetry、見えないもの。

**湿った地から 垂直にのぼっていく 砂の都市から 根を伸ばすように 潜っていく 地下水と 溶岩のあいだを 掘りすすむ きみは見たことがあるか 裸足であゆみ 影のなかによこたわった 祖先は 見たという 死を呼びよせる 手のひら あなたを貫く ペンのさびしさ 言葉は すきとおった肉体に 彫物をもつ 秤がかたむくとき こぼれるかものがある 天

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TomoPoetry、ひとりになりつつ。

TomoPoetry、ひとりになりつつ。

**海を渡る 四つ 昼に ひとつ 夜に その度に 真実をうすめていく からだは 透きとおり 風が通りぬける 孤独は そのようにしてつくられる 昼に色をうしない 夜に磨かれ 海にみだれる夜空のように わたしたちは 海に溶け 沈殿していく 捨てる 失う きらきらとした 羽の種 指からすべりおち 記憶のむこうで 揺れている 愛される 愛する

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TomoPoetry、夢を散歩する。

TomoPoetry、夢を散歩する。

**光子でできている きみの自転車を 追いかける 裸足のわたし 太陽系に組みたてた メリーゴーランドまで 散歩すると 言ったきみは そこにはいない わたしの全身を 星型の あおい時間がめぐる 肌から落ちるのは そのまま星になる わたしの過去 死んだ記憶 水晶が 空に散っていく 銀河をわたるために 北極海を攪拌し 地球の自転を 狂わしてしまった

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TomoPoetry、風が鳴らす笛。

TomoPoetry、風が鳴らす笛。

**頭に穴がある 聞くためではない 考えるためではない 夏は蝉が みじかい命をかくす 嘴が 記憶をくだく 炎が 時を灰にする 生まれたのは きみの花嫁 死んだのは きみの恋人 飛びたったのは きみの記憶 きみは見ただろうか 風を感じただろうか きみの宇宙に ひびく音 やぶれた鼓のように 破裂する砲弾のように 星は ふるえる 空がくだけ 塵

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TomoPoetry、きみのなかを歩く。きみのなかを歩く

TomoPoetry、きみのなかを歩く。きみのなかを歩く

**あれは霧雨のように 星の粉末のように 海底に 沈んだ あれは言葉のように 乾いた熱風のように 成層圏の隙間から こぼれた 金色の きみの呼気 今日の夜空に 散っていく 堆積しつづける きみの血と 名前の記憶が 星にもどっていく きみはあれもこれも 光にかえす 夜に広がっていく カラフルな夢のように ブルーの画面が くだけていく軌跡のように

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TomoPoetry、濡れつづける夜。

TomoPoetry、濡れつづける夜。

### **夜**### **閉じた扉から**### **漏れてくる埃**### **そして青い滲み**### **廃墟からはじまる**### **わたしたちの過去**### **あかいかなしみ**### **しろい絶望**### **濡れつづける**### **記憶**### **そこにきみは生きている**### **きみの呼吸が**### **まだ聞こえる**### **骨の笛**### **

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TomoPoetry、わたしのために。

TomoPoetry、わたしのために。

### **わたしのために**### **一行の**### **言葉でないおもいを**### **一分の**### **くだけた空の時雨を**### **一本の**### **だれも歩かない道を**### **そこにわたしは立ち**### **崩れおち**### **踏まれ**### **道になるのだから**### **わたしは楡の樹**### **山鳩の卵**### **かわいたクマゼミ**##

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TomoPoetry、凍えた瞳の列。

TomoPoetry、凍えた瞳の列。

### **国境**### **血と嘆きで書かれた言葉とともに**### **国はうまれる**### **国境にそって川がながれる**### **花とスパゲティと棺桶を**### **川沿いにならべる**### **わたしの宇宙**### **ラムの骨**### **始皇帝の家臣**### **ファラオの乾杯**### **いくつもの国がならぶ**### **まわりに**### **何枚ものペイン

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