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2021年10月の記事一覧
かるく、かるく、生きている。
たたく先祖のはかを たたく 愛するきみの 子をつくるところを たたく 天から投げられた影の芯を たたく かなしみのまんなかを たたく 殺意のまわりの青を 今朝 わたしは夢のなか 殺意のぶつかり合いのまんなかを はしった 妻が銃弾で下半身を失った 子がキャタピラの かたちで ピカソを描いた わたしは 肉体がない 銀河系をすべりいく ねぇ、こんなに
もっとみるTomoPoetry、天からの果実をひろう。
部屋は漆黒 扉のそとも 世界のスタート あるいは きみのあたらしいいのち スーパーのシーツに かたちをつくっている 地図をちぎりしめると その陰を 野獣がはしり クリームソーダがこぼれる 星空へ しずかにかおりがのぼる きみの呼吸の波 記憶と わすれゆく 海月が浮かんでいる宇宙 目が覚めると 文字にしかならない果実と かおりだけの 宇宙の 海
もっとみるTomo Poetry、本の隙間をすりぬけていくもの。
戦国時代 死者と生きているものがすれちがう 靖国通り 白山通り いつかの記憶があるいている 磁石がまわっている 神は 風の方向を保たない カレー屋と中華蕎麦屋が点々と 東京に穴をぽつぽつと 言葉の苑 映像の黒い穴 ぴょんぴょん飛びながら 時間の川をとび 自分の 人生の織り目を のぼりくだり 生きていく とうめいな蛇のように 地下鉄 そのしたの闇
もっとみるTomo Poetry、夜をすごす、いろいろな。
かなしいだろう みんな同じさ おんなじ夜をすごしてる 吉田拓郎は 二十代で歌った わたしは還暦を超えて だれもが違う夜を過ごすことを ふかくあじあう レーンコートの女も 短パンの青年も ちがう色の夜の 波をたて ちがうかたさと 温度の底に やすみにいく きみは 今 ウルトラマリーンのゼリーのなか 手はたかく なにかをつかもうとしている ねえ きみ
もっとみる星は眠りつづける、濡れたまま
きみの指は 太平洋を ふかくなぞりつづける ふくらはぎは 赤道を巻きとっている コーヒーカップに 水葬の音 まだ眠りつづけよ 地はびっしょり濡れている 青い瞳のように 砂漠に降るあかい雨のように 氷河におおわれた額 しろい波が 痩せている太腿 溶けていくつまさき 空に悲鳴がひびく それでも眠りつづける
きみはどこにむかうのか 河