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TomoPoetryー友野雅志の詩

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日々書きためた詩の中から、noteスタートしてしばらくしてからの最近のものをのせています。それ以前は、下をご覧下さい。   …
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2020年5月の記事一覧

安らぎの日

安らぎの日

霞にかくれたビルから少年は飛んだ
かれの手には
向こうへの通行手形が彫られていた
今日のように雲が沈み国を覆った日
青年は緑の迷路に入った
かれの骨から若葉と蔓が伸びた
血でつながる家族の
網の危うさに横たわり
娘は海流が身体をからっぽにするにまかせた
かのじょの寝床に
青い液体が広がった
骨から肉が干された糸のように
絡み合いながら布に織られたおとこは
地球をめぐるミサイルを見ていた
枕に後頭部

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見えない手を差しだして

見えない手を差しだして

歴史は螺旋状にのぼったり
言葉の塵を巻きあげながら
くだったり
あなたは名前で呼ばれない
紙魚がひろがる記録の中
今日は風呂を沸かす日
捻られた時間に
ライターで火をつける

今日は泣き叫ぶ日 
木蔭にこもるうめき声が
あなたの証し

道は右に左に曲がる
異様な服装の見張りが立つ
ドラム缶のスーツ
蔓を編んだパレード服
布巾をまとった剣
道になにも残してはならない
過ぎるものは
きれぎれの声
ブリ

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