ユニットバスの詩

赤色の水栓の寂しい音を合図に、シャワーノズルの温水は止まる。

水浸しの床に浮かぶ月はへらへらと揺れていました。

繰り返す日々の隙間に容赦なく月は割り込んで私を照らした。

現在地が割れたら、到達地点までの距離に気づかなくてはいけない。私を現在地としたときに月までの距離をジョルダンで測る。

どこまでも追ってきてくれ、その距離を保ったままで。

湿った硝子に写るものだけが本物だと教えられることもなく気づくことができた子供だけが、到達地点に行ける。

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