心理学と映像論で見る 映画『羅小黒戦記』①
はじめに
この記事は、中国のwebアニメ『羅小黒戦記』の映画についての記事です。
未鑑賞の方には推奨できません。
また、何度も鑑賞された方向けでもあります。
シーンの説明は入れますが、それでも思い出しにくい方はもう一度見に行って下さいw
では、まずタイトルの説明をしていきますね。
心理学とは、心と行動の学問です。心理的な「見えない何か」を研究します。
映像論とは、製作者の映す意図を映像から読み取り、表現技法などから「見えない何か」を見出す学問です。
筆者は、大学で社会心理学を中心に色々やってました。
映画『羅小黒戦記』は1月に初見を済ませた後、現在まで月1ペースで鑑賞しています。webアニメや藍渓鎮などもみています。
この“心理学と映像論で見る 映画『羅小黒戦記』”はシリーズ化する予定です。
認知や人気がなかろうと、私が書きまとめたいので作りますよw
そして全編において主役は風息です。
離島組のこと、風息の心の限界、小黒との対立を表象する箇所、他キャラと風息の比較など、
心理学と映像論で読み解けるものをピックアップして書いていきます。
まず①は【離島組】について。
離島組という集まり
物語冒頭、居場所を探していた小黒は都会で風息に連れられ、森を訪れます。船出してから、この森が離島であったことが判明します。
どうやらこの界隈では、この森の風息の仲間を【離島組】と呼んでいます。風息、虚淮、洛竹、天虎の4名です。詳しい過去編がないので、この4名がどれほど親しいのかわかりません。
しかし、筆者は、そんなに親しいわけでもないのかなと考えています。
あの4人は見た目や価値観がバラバラですよね。
一人だけツノを生やした虚淮、見たまんま虎の天虎、子どもを頬ずりして可愛がる洛竹など。
実にみんな特徴的で、逆に言えば統一感のないチームです。デコボコフレンズです(わかるかな…)。
作戦には協調的ですが、それが仲良しの証拠とは言えません。
筆者は「虚淮と諦聴は友達です」という回答を見た時、すごく納得しました。だって二人は雰囲気が似ているから、仲良くできるだろうなと思ったのです。
しかし、離島組はそれを感じません。
単純に……雰囲気が似ていないから！
「は？」と思いましたか？でも心理学的には、大事な感覚なんですよ。
全く共通点のない、あっても自身の本質とは遠いところで似ていても、仲良くなろうとは思いません。
同じ人間だから、同じ出身地だからといって、どんな人とも趣味や失敗談を語れるほど仲良くはできないでしょう？
しかし、価値観や波長、趣味が自分と似ている相手であれば、ちょっと好きになれますよね。
虚淮と諦聴にはそれがありますが、【離島組】には少し足りないなと思います。
あのチームは、「人間を追い出して、故郷を取り戻す」という目的(共通点)ありきで形成されたチームという風に感じます。
【離島組】の破綻
しかし、チームには破綻があります。
なぜか？
風息が独りであるからです。
まず、洛竹は風息から作戦の全貌を知らされていません。
洛竹の心優しい性格を悟ってか、“いざとなったら無理やりでも領界を奪って、所持者が死んでも良しとする”という裏作戦を伝えていません。
また、無限から逃げる際に使用した霊道の繋がっている先を虚淮は知りませんでした。
場所を知っていれば、作戦はもっと円滑に進むでしょう。
作戦の全貌を理解している虚淮(アイコンタクトで「まさか…」と予感するくらいですから、風息と密かに話すくらいにはなっているかもしれない)には言っても良かったんじゃないかと思います。
とにかく、同じ目的を持つ仲間にしては、風息が共有をしなさすぎだと思いました。
あのチームにおいて風息はリーダー格ですが、チームを指揮するというよりかは、「自分にはやることがあるから、他はみんなでやってくれ」というような、一線引いた立ち位置です。
事実、本編で風息は殆ど単独行動をしています。自分一人だけ力を蓄える様子は、もうチームを頼っていない、最悪一人で戦うことを想定しているくらいまでありますね。
共有をしなかったのはこれが原因でしょうか。
このあたりから既に、風息が孤独に戦っている、一人で何でもやってしまえるようにというところから、彼の心の限界を感じます。必死な感じ。
本編では「もう我慢できない」などと、優しい言葉で表現しています。
洛竹や天虎の前ですから、「森を破壊されて傷ついている」より「故郷を早く取り戻したい」の意味合いが大きいでしょう。
ですが、実際はそれじゃ済まされないほど、追い込まれて疲れてしまっているでしょう。
仲間の前では感情的にならないのが、風息の特徴です。
①はこんなところで、終わりです。
以降に更新される記事を読むにあたって、
・風息と他3名には溝がある
・風息は仲間の前で感情的になるのを、避けている
の2点が重要かなと、思います。
ここまで、閲覧ありがとうございました。
あまり映像論要素無かったねw
次回から！！期待！！
