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朱権物語〜野球界の英雄〜(前編)

どうもMTMです。
いやー大変肌寒い季節になりましたね。今年ももうすぐ終わるんだなぁと実感するようになったこの頃。今年も色んな事がありましたね、国際野球関連でもWBCやEurobaseball、APBCが開催されたり中東初のプロ野球リーグであるBaseballUnitedが産声を上げる、そんな年になりました。
さてさて、そんな2023年の野球を振り返るときにこの男の活躍について述べない訳には行きませんね。今日は欧州野球に大きな影響を与えた男、朱権について解説していこうかなと思いまーす。


これまでの朱権

生い立ち〜アマチュアキャリア


むかーしむかし、あるところ(中国吉林省)で中国人の父親と韓国人の母親の間に朱権チュグォン(주권)は生まれました。
小学校の頃に韓国へ移住し帰化。そして彼の野球人生が始まります…。

すくすく成長した朱権は、かつて部員の不祥事により解散し、2008年に復活した清洲チョンジュ高校野球部に入部。そこで2年生エースとして2013年チームを全国大会準優勝へ導きます。(すごい)

namu.wikiより彼の高校時代成績 普通にエグい

2014年は残念ながら優勝できず成績も落としましたがプロからの高い評価は変わらず。その年当時新球団であるKTwizの優先ドラフト2位指名=全体2位の評価で遂にプロ野球選手の夢を叶える事ができました。

衝撃デビュー、低迷


当初は先発として期待された朱権は高卒2年目の2016年5月27日、ネクセン(後のキウム)相手に9回無失点4被安打無四球でプロ初勝利を挙げる素晴らしい投球を披露。

KTwiz初の完封勝利投手、そして初勝利が無四球完封はKBO史上初の出来事。その年は6勝を挙げKTのエース候補としてファンを期待させる一年に。流石は全体2位最高や!
…と言いたいところですが先発朱権は以降伸び悩みます。 
2017年、例の完封勝利によって中国棒球協会から熱い関心を寄せられた朱権はWBC中国代表として出場しオーストラリア戦に先発登板。3回2失点という形で彼は中国代表キャリアを終え、帰国後開幕を直前に控えた3月23日オープン戦(vsネクセン)に先発登板。そこで4回15失点というあまりにも悲惨な投球結果に…。

野球…?

この年は後半戦からリリーフに回り、翌年は再び先発投手に挑戦するも先発時の防御率が10点台になってしまい、以降リリーフピッチャーに転向することになりました。

2015年ドラフト全体2位の帰還

残念ながらリリーフ転向となってしまった朱権、しかし先発時より(比較的)成績が良化。そして2019年、KTの新監督に就任したイ・ガンチョル(後のWBC'23韓国監督)の提言でストレート・チェンジアップのツーピッチで勝負する事に。このアドバイスによって朱権はついに覚醒71試合ERA2.99 ホールド25whip1.04で自身キャリアハイの成績を残すと、2020年には自己最多となる77試合に登板しERA2.70 31ホールドで自身そしてKTwiz初の最優秀中継ぎ賞を獲得。なおFIP4.98 BABIP.225
21年もKTの勝ちパターンとして62試合に出場。チームの初優勝を支え、22年も58試合に登板するまさに鉄腕。KBOの中でも指折りのリリーバーとして活躍するようになりました。
そして2023年春、中国棒球協会からの熱いラブコールを受け再びTeam Chinaのユニフォームを着る事になります。

Team China🇨🇳、始動!

2023年大会の中国代表は東京ドームで行われるプールBに参戦。(第一回からずっと日本開催の組じゃねーか、というツッコミはさておき) 監督はマイアミ・マーリンズでコーチ経験のあるディーントレーナー氏を招集。国内組ではアマ時代に日本経験のある梁培(リャンペイ)や陸昀(ルーユン)、ベテラン勢のレイモンド・チャン&蘇長龍(スージャンロン)、若手有望株の楊晋(ヤンジン)王唯一(ワンウェイイー)等を呼び、海外組からは元ソフトバンクホークスの真砂勇介、エンゼルス傘下アランカーター、そして朱権という構成。残念ながらパドレス傘下で153キロを記録した18歳秦子墨(チンズーモ)の辞退こそあれども、まぁ中々に悪くはない陣容ではありました。

そして迎えた2023年2月。中国代表は実践経験を多く積むために「薩摩おいどんカップ」というプロ・大学・社会人・独立が多く参戦する大会に参加。エイジェック・ENEOSといった社会人屈指の強豪には大差で負けたものの、試合を重ねるごとにチーム力が向上。最終的には何度か勝利を挙げることに成功しました。前进!

一方、朱権は…


朱権はこの大会には合流せず。彼はアメリカ・アリゾナ州にてKTのキャンプに参加していました。この際、韓国メディアのインタビューに対し、
次回は中国ではなく韓国を代表できるように
WBCよりも公式戦に焦点を合わせて練習をしている
韓国相手には投げない
などと意味不明な供述をしており、明らかにWBCに対してのモチベが低いことががわかります。https://www.chosunonline.com/m/svc/article.html?contid=2023022480080

一応彼の名誉の為に説明すると、前回大会で中国代表として参加した際、ネット上で応援の声が上がる一方で、「裏切り者」「中国に帰れ」「所詮は※※(中国人に対する蔑称)」と言った意見がチラホラあったのも事実であり、中国を代表する事に対してあまり良い思い出は無かったと思われます。しかしそれをメディアの前で公に言ってしまうのはまた別の話
同じ外国人の代表選手という括りでヌートバーなんかはもう「日本大好き!みんなありがとー!」とか言っちゃうぐらい日本loveのスタンスだったし、韓国代表のエドマンも「韓国の代表チームに加わることができて本当にうれしい。」とコメントしているんですよ。2人ともそのチームに対して最低限のリスペクトをしている訳です。ただ朱権にはそういった姿勢は見られなかったし、何よりチームNo.1の実績を持ち中心選手としてプレーするはずなのにあのような事を言ってしまうのは中国代表に対して失礼極まりない。

と色々言いましたが所詮は選手、プレーで挽回すれば良いだけの話です、彼の投球に期待ですね。
そして朱権はチームに合流、運命のWBCがいよいよ始まります…!

https://www.nikkansports.com/m/baseball/samurai/wbc2023/news/202303090000358_m.html より

WBC開幕!

遂に始まったWorld Baseball Classic。
中国代表にとって大事なのは3月10日に行われるチェコ共和国戦。WBCではプールの最下位になると次回予選落ちとなってしまい、プールBの中でも序列が下のチェコ・中国にとってはこの一戦次第で国の野球の運命が変わる絶対に落とせない試合。
これまで中国代表は
・最下位だけどこの時予選が無かったので回避(2006年)
・八百長問題で選手を揃えられなかった台湾に奇跡の勝利(2009年)
・日本、キューバ戦に全てを出し尽くしたブラジル相手に勝利(2013年)
・予選開催後初めて最下位になったけど次回大会で本戦出場枠が拡大されて予選回避(2017年)

…となんだかんだで本戦出場を守ってきた中国。今回も負けられません。

初戦となる日本戦では王唯一が村上大王から三振を奪い、チャイニーズ坂本勇人神こと楊晋は惑星最高の選手大谷翔平の渾身の99マイルストレートを捉え梁培は戸郷からホームランを放ち、李寧はその紳士的な立ち振る舞いで一時「中国のキャッチャー」がツイッターのトレンド入りなんて事も。 

負けはしたものの列島を大いに沸かせたTeam China。カーター・宮海成・朱権らを温存し、明日のチェコ戦に向け万全の状態で臨みます!

前編はここまで!運命のチェコ戦は後編にて!!
再见👋


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