朱権物語〜野球界の英雄〜(後編)
こんちわ、MTMです。
今回は後編なのでまだ前編見てない人はそっち先に見てくれるとありがたいです。
前回までのあらすじ
KBOで活躍をしていた中国系韓国人の朱権。そんなある日、中国棒球協会からのアツいラブコールを受け中国代表としてプレーすることに。ただ本人はそんなに乗り気じゃなさそう…。
日本戦を終えていよいよ運命のチェコ戦へ!
World Baseball Classic Pool B CHINA🇨🇳-🇨🇿CZECH
スタメン
チェコ🇨🇿
1 遊 V.メンシク
2 二 E.ソガード
3 中 M.フルプ
4 捕 M.チェルベンカ
5 右 M.メンシク
6 指 M.ムジーク
7 左 W.エスカラ
8 一 P.ジーマ
9 三 F.スモラ
先発 D.パディサク
中国 🇨🇳
1 右 梁培
2 遊 楊晋
3 中 真砂勇介
4 三 陳晨
5 指 レイ・チャン(張宝樹)
6 一 曹傑
7 左 寇永康
8 二 羅錦駿
9 捕 欒臣臣
先発 趙富陽
(中国は昨日の日本戦から捕手が李寧→欒臣臣になった以外の変更は無し。)
試合序盤
試合は一回表から動きます。
先頭のV.メンシクが趙富陽の初球をレフトへ運び、記念すべきチェコ代表大会初安打を放つと、続くMLB通算815試合出場のE.ソガードも一二塁間を抜けるゴロでいきなり無死1,2塁のチャンスを作ります。そして3番フルプの打球をライト梁培が痛恨のエラー。3塁ランナーが帰ってきてチェコが先制。
その後趙富陽は一死満塁のピンチを作った所で降板。変わった鄭超群がなんとか1点だけに抑えますが3回にM.メンシクが高めのボール球を捉え追加点となるソロホームラン。結果として中国は3回3失点と中々に重いスタートとなってしまいました。
一方チェコは米チャールストン・サザン大学に所属するD.パディサクが先発(ちなみに彼はサバンナ・バナナズにてプレー経験あり)、中国打線は彼の93〜95マイルのボールを捉えることができず、4回まで無得点に抑えられます。
試合中盤
中国はここで秘密兵器・アランカーターに継投。流石はアメリカで鍛えた右腕、常に94マイル越え≒150キロ越えを記録し変化量の大きいスライダーもあり、他の投手とは頭一つ、いや二つほど抜けていました。
ロングリリーフで3回1失点(自責0)と役割を果たしたカーター。一方打線の方は5回裏、🇨🇿先発のパディサクから交代したシュナイダーを攻め一死満塁のチャンスを作り、バッター羅錦駿。
低めの球を上手く捉えた打球はセンターへ……
抜けない!
ショートV.メンシクが飛びつきセカンドベースを踏んでアウト。なんとか一点は返せたもののその後追加点を取ることはできず大量得点とはなりません。
6回現在🇨🇳1-4🇨🇿
反撃開始!!
7回表、カーターから交代した林強がピンチを招くもすぐさまPIT傘下での経験がある宮海成へと交代、見事無失点に抑えたその裏の回、中国打線は反撃開始!!
レイ・チャンのツーベースを皮切りに暴投、犠牲フライでまず1点を返し、四球・相手のエラーやヒットなどで2点目も追加、尚も1死1,2塁のチャンスでバッターは梁培。
エラーのお返しと言わんばかりに弾き返した打球はセンターへ!これで同点に追いつきます。
同点に追いつかれたチェコはこちらもマイナーでの経験があるM.ミナリクに交代。
1,3塁の大チャンスで迎えるバッターは楊晋。
ボテボテのピッチャーゴロをミナリクがエラー。その間に3塁ランナーが生還しこの回一挙4点を追加した中国代表。遂に逆転に成功です!!
8回は宮海成・ミナリク両者無失点に抑え、🇨🇳5-4🇨🇿のまま勝負は運命の9回に。いよいよ彼の出番です。
運命の9回
上位打線からチェコの攻撃が始まるこの回、中国代表のトレーナー監督は何をトチ狂ったのか宮海成を続投させます。
先頭のフルプこそ三振に取りましたが、続くチェルベンカを歩かせ、M.メンシクに三塁線を破るツーベースヒットを打たれ1アウト2,3塁の大ピンチを迎えます。
たまらずピッチャーは交代、遂にあの男が登場します。
「ピッチャー、宮海成に変わりまして 朱権」
かつてKTwizの未来として期待され、苦しみながらも韓国No.1の中継ぎの座を掴んだ朱権。WBCでは数々の失言こそあれどその実力はカーターと並ぶリリーフエース。
中国代表で1番の実績を誇る朱権は一体どんな投球をするんだ!?
この大ピンチをどのように切り抜ける!?
さあ、中国を勝利へ導け!朱権!
その初球!!!!!
はい、やりましたー。
完全に失投したチェンジアップをムジークに捉えられ見事なまでの逆転スリーランホームラン。
いやーこれは本当にすごかった、悪い意味で。
ちなみになんですけどこの後朱権は更に一点取られます。スリーランの直後ジーマがツーベース、スモラがタイムリーで普通に点取られてますね。
実はこの試合で朱権は11球投げるのですがこの内10球がチェンジアップです。普通にヤバい。
誰が悪いのかで言えば宮海成を続投させたトレーナー監督も責任がありますし、1球しかストレート投げさせない欒臣臣から交代したキャッチャー李寧に責任がないかと言えばそうではない。ただやはり朱権が抑えなければいけなかった、さらにこれまでのチームに対する失言等を考えると、擁護できるポイントが何一つとして無いですね。
そしてそのまま中国は9回裏ミナリクに0点に抑えられ敗戦。目前まで迫っていた勝利を逃すだけでなく、最下位回避は非常に厳しい展開となってしまいました…。
その後チェコとの死闘に全てを出し尽くした中国代表は奇跡を信じオーストラリア、韓国と戦うも、文字通りウソのようにボロ負けし、プールB最下位が決定。朱権はこの2試合に登板し挽回することも、無く、無事中国棒球球迷界隈から戦犯として祭り上げられることとなった………
(🇦🇺12-2🇨🇳7回コールド,🇨🇳2-22🇰🇷5回コールド、🇰🇷の22得点は大会新記録)
その後ー
歴史的な勝利を飾ったチェコはその後日本と対戦。先発のサトリが老獪なピッチングで大谷から三振を奪ったシーンはWBC2023を語る上で外せない出来事になりましたし、ムジークの好守・エスカラと佐々木朗希とのスポーツマンシップ等名場面を多く残したのは皆さんも覚えていることかと思います。その後の韓国•オーストラリア戦でも格上相手に堂々と戦い、最終順位こそ4位に終わりましたが素晴らしい試合を世界中の野球ファンに見せてくれました。
そして中国戦での勝利•日本との野球を通じた交流は大きくチェコ国内で報道される事となり、チェコにおける「野球」は大きく変わる事となります…。
欧州野球選手権
チェコは9月〜10月に第37回欧州野球選手権(Euro Baseball)の開催国となる事が決まっており、WBCに勝った事で野球の報道が増加。この大会に対するチェコ国民の注目度は上昇し、結果を言うと欧州選手権歴代最高の23,438人の総観客動員数を記録する素晴らしい結果となりました。
また他のデータではチェコ国民の22%が「欧州野球選手権の開催」を認知しているという結果に。
チェコは欧州内でも比較的野球の土壌はそれなりにある国ですが、ここまで広く浸透するとは…。開催前私は想像していませんでした。ただただ驚きです。
来年の3月には京セラドームで欧州代表対侍ジャパンの強化試合が予定されていますし、夏には開催されるプラハ🇨🇿•ベースボールウィークに大学日本代表が参戦するといった様に、今欧州野球には風が吹いています。それは全てチェコが勝ったからこそ。
そしてその勝因は朱権となる訳ですね。
これが欧州野球の英雄たる所以です。
まとめ
まぁ…朱権はめちゃくちゃ酷い成績は残した訳ですがなんだかんだで欧州野球界に非常に貢献してくれたという事実は本当に感謝しています…色々あったけど
彼がいなかったら今の野球界は存在しなかったんじゃないかなって思います。あと個人的な話をすると、俺が中国やチェコなどの海外野球に興味を持ったキッカケは東京五輪なんですけど、本格的に追い出したのは割とガチであのホームランが始まりだったりするんですよね。だからある意味ではめちゃくちゃ感謝しています。
ありがとう朱権、俺に海外野球の素晴らしさを教えてくれて。
ただ感謝してるからといってNPB来てほしいとは一言も言ってねぇぞ!!!!!!!!!!!
おい聞いてるか한승장!!!!!!!
冗談でも言うなボケ!!!!!!!!!!!!!!!
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