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一人目情シスの心構え

はじめに

最近、IT系のキャリアを経験してきた方の中で、一人目情シス担当者として情シス部門の立ち上げをやってみたいと思う方が増えてきているという実感があります。

経験した立場からお伝えすると、今まで触ったことのない技術を使ったり、自分の判断で会社に(良くも悪くも)影響を与えることができる刺激的な環境なので、興味のある方はぜひチャレンジして頂きたいと思っています。

ただ、一人目情シスはかなり特殊な役回りのため、想定していた働き方ができず短期間で退職してしまうという話も聞きます。

一人目情シスになるということは転職という大きな判断をすることになります。

一人目情シスの経験を元に、個人的に入社直後に必要だと思う心構えを挙げてみたいと思いますので、自分が向いているかの判断材料や、現在一人目情シスとして課題がある方にとっての参考にしてもらえると幸いです。

1. 「基本的に上司は社内ITに関心がない」と理解する

最初から少しパンチの効いたワードかもしれませんが、一人目情シスとして入社したのであれば、あなたより社内ITに詳しい人がいることは稀です。特にスタートアップであれば情シス業務に精通したマネージャー層がいることはほぼありません。

そうなると、情シス内部の業務効率化/品質向上や統制・セキュリティに関する支出に関してはなかなか理解を得られないことが多いです。

「なんで上司は社内ITに関心を持ってくれないんだ」と思うかもしれませんが、逆です。上司が社内ITのことを考えなくてもよくなるために一人目情シスを採用するのです。

もちろん上司・役員が情シス業務に関心を持っているというパターンもありますが稀です。

基本的に関心が無いという前提で立ち回る必要がありますので、上司・役員とはこれを念頭に置いたコミュニケーションを欠かさないようにしてください。

目標・評価についても非常に難しい部分があるので上記を前提として考えていただくと解決の糸口が見えるかもしれません。(一人目情シスの目標・評価についてはここで書ききれないのでまた別の機会に)

追記:私の今までの上司が社内ITに理解がなかったというわけではなく、どちらにせよこういうマインドのほうがうまくいくよ、という風に捉えて頂けると幸いです。

2. 前任者にはリスペクトを

入社後、さて現状はどうなっているかなと調べてみると、ドキュメントが無い・不足している・間違っている、アカウントやIT資産の利用状況は誰も分からず、よくわからないサービスにお金を払い続けている、といったカオスな状況を目の当たりにする場合が多いです。

前任者はなにをやっていたんだと思うかもしれませんが、そもそもその状態を解決するためにあなたが採用されたのです。むしろいい経験だとポジティブに考えるくらいがいいと思います。

更にいうと、前任者はメインの担当業務がありながらも兼務で情シス業務を回してくれていたということが多いです。手探りの中よくここまで頑張ってくれたとリスペクトの気持ちを持って引き継ぎを行いましょう。

3. まずバケツの穴を塞ごう

さて念願の情シス立ち上げだ、まずはIdPを入れて次はMDMを入れて…と、モダンなITサービスの導入に前のめりになりがちですが、まずは引き継いだ業務の品質を上げることが大事です。

例えば入社準備や退職手続きに伴うデバイス・アカウント管理業務について、短い時間で終わらせることができて・ミス漏れなどによる手戻りがなく・トラブルが発生しづらい状態になっていることが理想です。
あとは利用中のSaaSの設定を見直して、従業員によるトラブルを事前に防止するといったことも効果的です。(トラブルの問い合わせはかなり時間を使います)

新しい仕組みを導入することで効率的に社内ITを運用できるようになる(バケツに注ぐ水が増える)かもしれませんが、その分トラブル対応が増えてしまうと穴が空いたバケツに水を注ぐがごとく、使える時間がなかなか増えないといった状態になることがあります。

まずはバケツの穴を塞ぐことを優先してください。

たまに「バケツの穴を塞ぎながら水を汲む」ことができるスーパーマンがいますが、凡人が真似するとメンタル的にきついので一つ一つ地道に対応していきましょう。

上司からは「専任の情シスが採用できたらやってもらいたいと思っていたことがこんなにあるんだ」と言われるかもしれませんが、まずは土台固めが優先と伝えてスケジュールについて合意を取っておきましょう。

迂闊に安請け合いすると色々しんどいです。。

4. とりあえずやる

前述の通り土台固めをしてバケツの穴を塞いでからということになりますが、誰にも迷惑をかけないような施策だったらとりあえずやりましょう。
厳しい言い方になりますが、上司にいちいちお伺いを立てるようなマインドだともったいないです。

まずは打席に立たないと成長できないですし、やっただけ会社への理解が深まるので、ひたすら手を動かしましょう。失敗も増えますがそれだけ成長すると思います。

もちろんただ手を動かすだけではなく、わからないことは社内の関係者に話を聞きに行ってください。致命的な失敗を避けることにも繋がります。

逆に言うと、自分にプレッシャーをかけてまで成長したくはないという方は一人目情シスには向いていないかもしれません。

5. 手を広げすぎない

情シス人材はバックオフィス業務に親和性が高いので、巻き取ろうと思えば落ちているボール(誰もアサインされていないタスク)を無限に拾うことができますので、しっかり見極めてボールを拾いましょう。

労働時間を無限に増やせるわけではないので、むやみに拾うと社内で一人しか居ない情シスの業務時間が減るということに繋がります。

戦略的にボールを拾うことで情シスの担当領域を広げて、情シスメンバーの増員につなげるという考え方もできますが、「情シスとしてどの業務に時間を使うことが最終的に会社に一番価値を提供できるのか」ということを予め上司と合意しておくことをおすすめします。
(「あいつは雑務ばかりしている」「あいつは決められた仕事以外はしないのか」などの評価をされないためにも)

もし落ちているボールが多すぎるのであれば、新しいポジションを採用するタイミングかも知れません。そのタイミングはボールを拾う当事者が一番理解していると思いますので、すぐに相談してみましょう。

我慢してボールを拾い続けるというのは最終的に誰も幸せにならないので、何度も言いますが上司とのコミュニケーションは欠かさないようにしましょう。

さいごに

ということで私が必要だとおもう心構えをいくつか挙げてみました

ただ、私個人の経験ということもあり当てはまらない環境もあると思います。中には「こんなこと考える必要ないよ」「これは違う」と思う方もいると思いますが、是非あなたが思う必要な心構えをアウトプットしてみてください。

正直にいうと、一人目情シスはハードです。
やることが多すぎるし、やったこと無いことばかりで疲れるし、一人しかいないので休暇のタイミングの調整も難しいです。

でもそれ以上にワクワクしたり達成感を感じることが多いポジションですので、興味がある方はぜひチャレンジしてもらえると嬉しいです。

また、これまで挙げてきたのは入社直後に持っていてほしい心構えなので、入社から時間が経ったりメンバーが増えてくるとまた違うマインドセットが必要になったりします。

その際はまた自分またはチームで考えて情シス部門が大事にする価値観をアップデートしてください。

追記

心構えから分かる通り、一人目情シスはめちゃくちゃ忙しいです。
土台固めの時期なんかはやりたいことがあるのにできないストレスとも戦う必要があります。

最近は情シスのコンサルやアウトソーシングサービスを提供する会社も増えてきましたので、外部のリソースを利用して効率よく情シス部門を立ち上げるというのも選択肢の一つだと思います。

ちなみにですが、私も副業情シスとして活動していますので、外部の支援が必要な場合は「なにか手伝ってもらえそうな領域はないか」という温度感でもかまいませんのでTwitterのDMにてご連絡いただければ幸いです。(PR)
https://twitter.com/mit0k5

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