MtEのL社配信・ストーリー補完

【概要】
・私が配信内で進んだ日までのストーリーを補完します。

・長くなります。内容はゲーム準拠なので読み物としてどうぞ。

・解放順の分岐は配信内容準拠とします。
(安全→教育・懲戒→福祉・抽出→記録)
・セフィラストーリーは部門解放日から記載します。

・重くなってきたのでDay27~は後編として分けました。

後編↓



Day1(コントロールチーム解放)

アンジェラ

アンジェラ
「こんにちは。ロボトミー社への入社を歓迎します。」
「私はあなたのアシスタントであり、秘書であり、話し相手でもある
 AIのアンジェラと申します。私はこの時代に現存する最高のAIです。」

「『AIなのにどうして人間そっくりの姿なのか』が気になりますか?」
「私が存在するこの場所が、
 私の世界のすべてであることがあなたとの差です。」
「私はあなたのためにシステムを作動させ、扉を開けたり、
 コーヒーを沸かすことは出来ますが
 この会社の外に出て外の日光を見たり、
 吹き抜ける新鮮な空気や風を感じることは出来ないという意味です。」

「私の姿は見ての通り、
 髪は雨が晴れた日の朝のような澄んだ空の色で、
 声はこの世で最も賢い人物の音声を使用し
 この顔はこの世で最も笑顔が美しい人の顔を模したものです。」

「ハハハ、冗談ですよ。」
「そんな人間が存在する訳ないじゃないですか。」
「もっとも人に好感を持ってもらえるような要素を組み合わせて
 私の容姿は作られたのです。」
「なのであなたも私に好感を持っていただけたら幸いです。」

「このようなマルチタスクの業務はAIに任せた方が遥かに効率的です。」
「ほとんどの分野で、私は最高です。」   
「私は数十人分の仕事を同時にすることが出来ます。」
「私のせいで多くの人が失業したことでしょう。残念ですね。」

『この会社について』

「あなた方の世界は発展し続け、
 それに伴いエネルギーの需要も爆発的に増加しました。」
「既存の技術では世界のエネルギー需要を満たすことは不可能です。」
「しかし、私たちはアブノーマリティという存在を発見しました。」
「アブノーマリティからエネルギーを抽出する方法を見つけたのです。」「『人類からアブノーマリティを隔離しつつ、エネルギーを抽出する』」
「一石二鳥の方法でわが社は
 世界をリードする"世界の翼"の一つとなったのです。」

「あなたは実にタイミングの良いときに入社されました。」
「わが社は持続的にシステムのアップデートを繰り返し
 より効果的な抽出方法を見つけていく段階にあります。」
「そしてたった今新しい方式にアップデートしたばかりなのです。」
「これまでの管理人よりかは快適に仕事が出来ると思います。」

「それでは、仲良くしていきましょう。」

(あなたのことも話そうと思ってたわ。
 いい加減に忍耐という概念を学習しなさい)
「あぁ、すみません管理人。あなたに紹介するほかのAI達が居るのです。」
「私一人ではこの巨大な会社をすべて制御するのは無理があると判断した
 とある方が部門ごとに統制権を持つAIを一人ずつ置いたのです。」
「人間に例えると、私が大脳で、彼らが小脳と言ったところです。」
「今は彼らと挨拶を交わす時のようですね。」


 マルクト Part1

「管理人、管理人!」

マルクト
コントロールチーム担当セフィラ

マルクト
「時間ちょうどの到着ですよね?今の時間は…
 あ~…1分ぐらい遅れましたが、これぐらいは許容範囲です!」
「ロボトミー社に入社、歓迎します!」

アンジェラ
「我が社では1分も重要な単位よ。
 簡単に自己紹介だけして、次の会議の準備に戻りなさい。」

マルクト
「アンジェラに怒られてしまいました…」
「私だけじゃなくて、ほかのセフィラのみんなも
 管理人さんに会いたがっていましたよ。」
「あー…正確には『みんな』ではないかな?」

「自己紹介を忘れていました。」
「私はマルクト、コントロールチームを担当しています。」
「施設の基本的な機能が向上するよう、
 全力で管理人さんをサポートしますよ!」

「管理人の仕事が難しくないか心配ですか?」
「最初は分からないことだらけだと思います。私もそうだったので!」
「でも大丈夫です!私が全力で管理人さんをサポートします!」

「確かに私は完璧じゃないです。実はそのせいでいっぱい怒られました…」
「制服の修繕でボタンを全部裏に付けちゃったり、
 砂糖と間違えて塩を入れちゃって職員の食事を台無しにしたり…」
「でも、きっと大丈夫です!私が出来たみたいに!」

「まず、初仕事なので簡単な業務をしてもらいますね!」
「お互いに頑張りましょう!」

職員
「もう嫌だ!耐えられない!!
 管理人!管理人ですよね?中にいるんでしょ!?」
「ここから出してください!あなたなら可能じゃないですか!
 あなたは管理人!私たちとは違う!何でも出来るはずでしょ!?」

マルクト
「あれ?君は何でここから出ようとしてるのかな?
 コントロールチームの仕事に飽きちゃったの?私は毎日楽しいのに。」 

職員
「恐ろしすぎるんだ!私はもう耐えられない!」

マルクト
「それは君…もう出来ないってことなのかな?」

職員
「助けてください…お願いします…ここから出して…」

マルクト
「管理人。この職員は私の部門の職員なので、私に任せてください。」
「ご心配なさらず!こういうことはよくあるので!
 あ、管理人にとってはこれが初めてでしたね。
 普段はアンジェラや私たちの方で処理してますからね。」
「まったく!忙しくて大変なのに、仕事増やされると困るんですよね!」

職員
「そんな…待ってくれ!助けて管理人!管理人!!」

【ミッション:きっとできますよ!】
(アブノーマリティに作業を3回行う)

≪管理人!管理の基本はアブノーマリティたちのお世話です!
 私たちはアブノーマリティの管理をして、
 その結果としてエネルギーを集めるんです。
 この会社の基本で、重要な仕事ですから必ず成功してくださいね!≫


Day2

アンジェラ
「未来を創るために、恐怖に立ち向かえ。」

「現在のロボトミー社の創立者、
 Aという男がこのスローガンを作りました。」

「私たちは革新的な企業です。」
「エネルギーを抽出するということは、本当に、非常に、この上ない…」
「私がもっと感情表現が豊かなAIで無いことが恨めしいです。」
「私たちの新技術は人類を救うでしょう。」
「そして未来を変え、新しく創造していくのです。」


 マルクト Part2

アンジェラ
「先日は少しトラブルがあったみたいですね?」
「コントロールチームの職員1人を『退社』させたそうですね。」
「素晴らしい判断です。」

「この会社での『退社』がどんな意味を持つかご存じですか?」
「知らないって顔ですね。」

「私、伝えるべき情報と伝えてはいけない情報を
 よく間違えてしまうみたいですね。」
「私が当然だと思ってたことも、
 管理人には当然じゃないことだったかもしれませんね。」

「私たちの会社では様々な役割があります。」
「例えばお芝居では、役者が自分の役に徹することで
 舞台全体を盛り上げていますよね?」
「もし1人が、自分がやりたくない役という理由で
 舞台を途中で降りたらどうなると思います?」
「決められた時期と役割と終えてから退場するべきなのに、
 途中で舞台を降りるということは、
 その時点で役目の命が終わるということなんです。」

「私たちはそれを『退社』と呼びます。」

マルクト
「管理人さん!私がお願いした仕事を無事成功したみたいですね!」
「管理人さんならできると思っていました!」
「私も今日はコントロールチームの合同訓練を無事終えてきたんです。」
「今日の訓練で、1人も離脱者や負傷者が出なかったんです。」
「職員のみんなも凄い成果を見せてくれました。」

「でも、まだ足りません。」

「管理人はアブノーマリティより恐ろしいものを見たことがありますか?」
「たまにですが、収容室から抜け出したものが
 廊下をさまよってる時があります。」
「どれだけ訓練をしてても、
 実際のアブノーマリティに比べたら全然足りてないんですよ。」
「私はそういうものと遭遇するたびに、恐怖とは違った感情がします。」
「変ですよね?私の中で何かがうごめいてる感じがするんですよ…」

【ミッション:自分の役割に忠実に】
作業を「良い」で4回完了する

≪ただ管理するだけじゃなくて、結果も重要なんです!
アブノーマリティの気分が良いほど
エンケファリンのボックスがいっぱい貯まるんですから!
アブノーマリティの気分を良くしてエネルギーを集めること。
過程がどうあれこれだけを考えてくださいね!≫

※エンケファリン:
 アブノーマリティから放出されるエネルギー。薬品でもある物体。


Day3

アンジェラ
「あなたが入社してから、もう3日が経ちました。」
「3とは、不思議な数です。」
「おとぎ話でも、いつも神秘的な存在が主人公に
 『願い事を3つ言ってみよ』と言いますよね。」

「私は魔法も使えませんし、巨万の富も持っていません。」
「ですが、私はこの場所にいた多くの管理人の望みを知っています。」
「多種多様ですが、みな1種の『成長』を夢見ていました。」
「木の枝が伸びるような形で、何かに向かって進もうとしていました。」

「あなたの未来は、あなたが今何をしているかにかかっています。」
「そして、今現在あなたはロボトミー社に来ています。」
「我が社では見ることも触れることも出来ないものに触れられ、
 不可能を可能にします。」
「あなたの願いはきっと叶うことでしょうね。」
「あなたは史上最高の管理人になるでしょう。」


 マルクト Part3

マルクト
「今回も成功しましたね!それも1つもミスもなく!」
「私は仕事が多くて大変です!私のメモには仕事が山積みなんですよね。」
「でもきっと大丈夫です!今までもそうだったように!」
「私はほかのAIよりミスが多いので、
 抜けが無いかチェックを必ずしないといけないんです。」
「このメモもそのためです!少しでもミスがあったらダメですからね。」
「私がコントロールチームのセフィラになった時から
 ずっと持ち歩いているので、もうすっかりボロボロですけどね!」

「アンジェラさんはたまに私を心配してくれますが…」
「私は思考能力を持つ前からこんな生き方を望んでいたかもしれません。」
「もしかしたらコントロールチームではない、別のどこかでも…」

アンジェラ(登場)
「マルクト、前に話してた報告書、今日中に貰えるかしら?」

マルクト
「もちろんです!
 私のメモにも書いてあるので、必ず今日中に終えて見せます!」
「管理人!今日もお話しできて楽しかったです!」(退場)

アンジェラ
「ここにいるAI達は、私を除いてすべて不安定だと言いましたが…」
「マルクトが特に酷いと気付きましたか?」
「私としては仕事をさせるのが楽で良いのですが。」

【ミッション:暴走の抑制】
クリフォト暴走の収容室で作業を8回完了する

≪管理人も知ってると思いますけど、
 ここの施設ってそんなに安定してないんです。
 アブノーマリティたちを収容室に固定させられるのも、
 業務開始前に少しだけ抑えつけていた力を
 解放することでやっと可能なんですよ。
 でも、時間が経てば経つほど抑えつけていた力が不安定になって
 暴走してしまうアブノーマリティが出てきてしまうんですよね。≫


Day4

アンジェラ
「あなたは今、この仕事にやりがいを感じていますか?」
「もし感じていないのであれば、この話を聞けば変わると思います。」

「あなたが管理人になってから、エネルギー数値が13%向上しました。」

「想像できないでしょうが、これは本当に凄い数値です。」
「管理人が入社してから我が社は更なる進歩を遂げ始めています。」
「あなたが良い仕事をしているということですね。」
「これからも良いことだけが起こるでしょう。」
「お世辞ではありません。AIはお世辞なんてそうそう言いませんので。」
「あなたが喜んでいるようで、私も満足しています。」

「管理人が初めてここに来た時の表情を私は覚えています。」
「体は緊張して縮こまっていましたし、表情は固まっていました。」
「そして、私を警戒していましたね。」

「あなたは今、喜んでも大丈夫なのです。」
「今日は特別な日です。」
「テーブルの前に注ぎたてのシャンパンがあります。乾杯しませんか?」
「あなたの誕生日や我が社の設立記念日とかではないですよ。」

「最近、我が社の職員を死なせましたね。」
「これから先、何度もある出来事の一つに過ぎません。
 あなたが意図しないショックを受けてしまったと思っての報告です。」
「彼らは、死ぬ瞬間も非常に名誉であるという
 誇りを感じながら逝ったことでしょう。」

「あなたもそれを平然とする必要があるのです。」
「それがあなたに私の秘蔵のシャンパンを注いだ理由です。」

「死んでいった職員のために、
 少し残念ですが誇りと称賛を込めて。」
「乾杯!」


 マルクト Part4

イェソド
「無理だマルクト!君の部門の職員だけじゃ試練の鎮圧は無茶だ!」

イェソド
情報チーム統括セフィラ

「情報チームの私を信じろ。
 君の部門単独で制圧に成功したとしても、
 職員の深刻な精神汚染は免れないはずだ。」

マルクト
「何言ってるのイェソド?
 私たちが気にしないといけないのは職員の死亡率と
 アブノーマリティの脱走のはずでしょ?」

ホド
「マ、マルクト…」

ホド
教育チーム統括セフィラ

ホド
「アンジェラ様が言うには、
 パニックになった職員1人が、10人の職員の命を脅かすって…」

マルクト
「ねぇ、私はコントロールチームのセフィラなんだよ?」
「ほかの分野で私が良くミスを起こしたとしても、
 この仕事に関しては誰よりも精通してるんだからね。」
「私はパニックになる前の職員にどう対応するべきかも知ってるの。
 それに関する対応マニュアルもちゃんとメモに書いてある。」
「実際問題、マニュアルを守ってるセフィラは私しかいないでしょ?」
「もしマニュアルが必要なら言ってね。みんなで共有しないとね!」

ホド
「わ、私は要らない…そのマニュアルって…」

マルクト
「私の部門には軟弱な職員は要らないの。」
「軟弱は淘汰されるってこと。」
「会社を導くコントロールチームに所属するなら誰より優秀じゃないと。」

「管理人も黙ってないで何か言ってくださいよ。」
「管理人はそこで軟弱な職員たちがどんな末路を辿ったか、
 何度も見てますよね?」
「ほら、みんなも黙ってないで何か言ってみたら?」

「私ね、今日みんなが来てくれて本当に嬉しかったよ!」
「次から定期的に上層セフィラが集まって話せる時間を設けるのはどう?」

(場面転換)

アンジェラ(無線)
「コントロールチームの職員の精神汚染が限界値を超えたわ。
 ほかのセフィラは何をしてたの?」
「コントロールチームは試練の対応に失敗したわ。」
「速やかに人員を補充し、試練を制圧するようほかの部門に命じます。」

【ミッション:夕暮の時】
夕暮の試練を鎮圧する

≪施設の抑制力が弱まってアブノーマリティたちが動揺するほど、
 施設には試練という固定できないアブノーマリティが暴れ始めます…
 夕暮の時に現れる試練を制圧して職員たちを安心させてください。
 私も処理に向かいますから。≫

※夕暮の試練の登場はDay21以降


Day5

アンジェラ
「ロボトミーの創始者『A』は常々こう言っていました。」
「『実験するほど、君はより良い人間になる』」
「数多くの実験と挑戦の末にロボトミーは生まれました。」

「それはあなたにとっても同じです。」
「ロボトミーでの今日は、
 貴方の人生をより良くする実験の一つになるはずです。」

「よくある話ですが、木が育つにはそれだけの努力が必要です。」
「運が良ければ豊かな大地に根を下ろせますが、
 ほとんどの場合は痩せた荒地なのです。」
「根を下ろしても誰にも気づいてもらえず、
 小さな芽を出すのでさえ多くの時間と苦痛を伴います。」
「私はあなたに水を上げることも日を照らしてあげる事も出来ませんが、
 最善を尽くしあなたが自分の根を下ろす地を選ばせてあげます。」


Day6(情報チーム解放)

アンジェラ
「ご存じの通り、我が社には実に多くの職員が居ます。」
「多くの職員たちはあなたのことを知りたがっています。」
「中でも積極的な人は、あなたと会って話したいと望んでいます。」

「実におかしな話です。
 管理人が誰であろうと彼らにとって何ら変化はないというのに。」
「しかし社の規則上、
 彼らがあなたに会いに来るを防ぐ条項は存在しません。」
「恐らく規則を作った人は、こんな事を想定していなかったのでしょう。」

「ですがあなたが職員と話し合えるほど寛容な管理人であることを示す
 良い機会になるかもしれません。」
「職員の間では、噂はすぐに広まるものですからね。」
「今後も管理人を訪ねたい職員が来た場合、
 私は喜んで扉を開ける事でしょう。」
「ただし、会った職員の頼みを聞いてあげる必要はありません。」
「『扉を開けて会ってくれた』この時点であなたの役目は十分なのです。」
「職員の話や要求に耳を傾ける必要などありません。」
「自販機を置いてあげれば、
 次はビール自販機が欲しくなるのが人間の性ですから。」
「あなたがこの程度の分別が出来る事を期待しています。」


Day7

アンジェラ
「エネルギーの生産効率がだんだん上昇しています。」
「管理人、貴方は自分が思うよりはるかに優れた能力をお持ちです。」
「我が社の上層部もあなたを興味深く見ているでしょう。」

「その中には前に私が言った『A』も含まれます。」
「管理人は『A』についてご存じですか?」
「『A』は我々の先駆者です。」
「『A』が管理人と会うのはもっと先になるでしょうが
 恐らく管理人が望んでいたモノ達は叶うかもしれません。」

「私ですか?もちろん私は『A』をとても尊敬しています。」
「厳密に言えば、
 私がこの世界に存在しているのも『A』のおかげですから。」

「でも、理解しがたい人間でした。」
「恐らく通常の人間の中で『A』を理解できた人はそういないでしょう。」
「実際、誰かを理解するのは『A』でなくても難しいことです。」
「私はあなたを完全に理解する日が来るでしょうか?」


 イェソド Part1

イェソド
情報チーム統括セフィラ(再

イェソド
「…」
「管理人はほかの手本となるロボトミーの責任者なのに、
 そんな服装では我が部門では減点10を受けても文句言えませんね。」
「管理人であろうとも例外はありません。
 しかし残念ながら規則上、
 セフィラが管理人を評価する権限はありません。」

「私の名前はイェソド。情報チームのセフィラです。」
「我が部門では社に関する膨大な情報を管理しています。
 毎日新たな情報が生成され、その過程は常に正確さが求められるので
 いつ何時も業務に集中しておく必要があります。」
「例えるなら、巨大な図書館のようなモノです。」
「一つでも誤った情報が入れば、
 取り返しのつかない事態になってしまいます。」

「管理人ならこれがどういう事か理解できると信じています。」
「あなたが読んでいる情報の一つ一つは、
 我が職員たちの絶望と切望が込められているんです。」
「決して情報の重さを軽んじないでください。」

「…」
「私の服装が気になりますか?」
「私は外で自分の肌を露出させることが堪えられないのです。」
「いつからかは覚えていませんが、
 私がここにいた時から、すでにこの状態だったのです。」

ネツァク(登場
「イェソド。お前の部門に印刷用紙余ってないか?
 うちの部門に貸してくれよ。」

ネツァク
安全チーム統括セフィラ

イェソド
「部門間の物品の受け渡しは規則で禁止されています。
 セフィラのマニュアルにも1ページ目に書いてある禁則事項です。」

ネツァク
「分かったから怖い顔するな。さすが、『セフィラの毒蛇』だな。」

イェソド
「…。」

ネツァク
「これ以上居たら、本当に噛まれそうだな。じゃあな。」(退場

イェソド
「何ですかその表情は?毒蛇ってあだ名がそんなにおかしいですか?」
「…少し興奮してしまいました。」
「セフィラたちは冗談で言っているのですが、
 それ以外の人はそうではないのです。」
「多くの職員たちが私のことを嫌っているのは知っています。」
「それだけ相手を一蹴させる言葉です。
 私は、このあだ名を気に入っています。」

「そろそろ時間ですね。私は業務に戻ります。」
「それと、貴方の次の仕事もお伝えしておきます。」

【ミッション:毒蛇 イェソド】
本能作業を4回完了する

≪我が部門は永続的にアブノーマリティの情報が必要です。
 まずは本能作業に関するデータが必要になります。
 本能作業は、アブノーマリティが持つ本能的な欲求を
 直接的に解消させる作業のことです。≫


Day8

アンジェラ
「管理人、あなたに問います。」
「アブノーマリティから、
 目標の最後のエネルギーを得なければならない時に
 職員の一人が重大な危機に陥っているなら」

「管理人、あなたはどちらを選びますか?」
「非常に基本的な質問ですので、間違いなく正解できると思います。」

>エネルギーを最後まで生産する
>職員を助ける

「正解は
 『そんな事態が起きる前にエネルギーを集めきる』です。」

「ロボトミーは非常に巨大な企業です。
 故にエネルギー生産が何よりも優先されます。」

「私の話を肝に銘じて頂けたようですね。」
「これからもそれを心がけていってください。」


 イェソド Part2

イェソド
「予想外に上手く業務をこなしていますね。」
「では、次の仕事について説明し…

ホド(登場
「イェソド、たった今あんたの部門で事故が起きて
 死者が多数出たらしいじゃない!」

イェソド
「別に珍しいことでもないじゃないですか。」

ホド
「ええと…部門のみんなが落ち込んでるのよ?行かなくていいの?」

イェソド
「こんな時こそ、静かに過ごさないと。
 そうすれば、これが大したことじゃないと理解するはずです。」

ホド
「えっと…こういう時は本心じゃなくても
 『大変だけど死んだ仲間のために頑張ろう』
 とか言った方が良いと思うの…
 一応私たちって部門を率いる立場じゃない…」

イェソド
「恐らく、私とあなたとは目指しているものが違うみたいです。」
「職員から尊敬されたり、くだらない不満を気にしていては
 重要なことを見逃してしまいます。」

ホド
「あっ、うん…ごめんね…
 でも私、何が正解かなんて言えないと思うの…
 じゃあ、お互い忙しいから頑張りましょうね!」(退場

イェソド
「…管理人はどう思いますか?
 あなたも部門の空気のために、
 心にもない慰めの言葉を言いに行った方が良いと思いますか?」
「確実なのは、そんな心にもない慰めは処世術でしかありません。」

「私たちは、ほかの職員たちのように日々死に直面したり、
 今の言葉が自分の最後の言葉になる可能性や、
 今日死んでもいいぐらい心を無にすることはないのです。」
「ホドみたいに、自分が楽なら何でも良いという考えは同意できません。」
「そんなことをしている時間があるのなら、
 そのような事態を二度と起こさない方法を考えるべきです。」

【ミッション:向かうべき道】
洞察作業を5回完了させる

≪洞察作業は、アブノーマリティたちを間接的に管理する作業です。
 アブノーマリティたちが収容室環境の何を気に入って、
 何が気に入らないのかを把握して管理します。≫


Day9

アンジェラ
「最近職員の間で性格診断テストのようなものが流行っているようです。」
「もちろん、こんなテストに科学的な根拠は皆無ですが、
 たまにはこういった遊びも悪くないですね。」
「いろんな想像が出来るじゃないですか。」

「もし私が人間だったら、こんな性格だったのか、と。」
「あまりに荒唐無稽な想像ですかね?」


 イェソド Part3

職員1
「じゃあ始めるぞ。えーっと、『ルドル・タ』!」
職員2
「た…『たった一つの罪と何百もの善』!」
職員1
「善か…って!『ん』で詰んでるじゃないかよ!やり直し!」

イェソド
「…。」

職員1
「げっ!イェソド様、そこにいたのですか!」
職員2
「申し訳ありません!勤務中に遊んじゃいけないって分かってたのですが、
 こいつにやろうって言われてつい…」
職員1
「お前が先に『昨日の負けは認めない』って言い始めたからだろ!」
職員2
「それを言うなよ!」

イェソド
「この件は後に検討します。今は業務に集中しなさい。」
職員たち
「は…はい!失礼しました!」(退場

イェソド
「職員の間でまたしりとりが流行ってるみたいですね。」
「管理人はしりとりはお好きですか?」

(イェソドは何やら昔を思い出している。)

イェソド
「しかし、ジェームズ。
 規則上80%以上の精神汚染がある場合は、その作業に投入できません。」

ジェームズ
「俺も知ってるさ。でもちょっと大目に見てくれよ!
 ノルマを達成できないとどうなるか知ってるだろ?たった81%だろ!
 シェリーも82%の時に投入されたけど無事だったじゃないか!」

イェソド
「…。」

ジェームズ
「そんなしかめっ面するなって!
 いつもそんなに融通の利かない状態だと、
 職員から除け者扱いされちゃうぞ!そうなったら凄く寂しいと思うな!」

イェソド
「…。」

ジェームズ
「…冗談だって!
 それにお前がみんなに嫌われても、俺だけはお前と遊んでやるよ。」

イェソド
「社内で遊ぶって単語はちょっと…」

ジェームズ
「あーもう!わかったわかった!じゃあ作業しに行っていいんだよな?
 な~、頼むよイェソド様~。
 この前しりとりで俺が手加減してやった恩を返すってことで頼むよ~。」

イェソド
「…今回だけですよ。」
「その代わり、
 作業終了後は必ずメンタルカウンセリングを受けてください。」

ジェームズ
「もちろんさ!サンキュー!イェソド!またな!」

(回想シーンはこの形で区別します)

イェソド
「服を着替える時、たまに幻覚を見ます。」
「服の隙間から見える肉が腐って爛れているような幻覚です。」
「もちろん、もう一度目を開くと私の体は傷一つなく無事です。」
「酷い時は、そんな当たり前の姿に違和感さえ感じてしまうのです。」

「なぜ自分の体は無事なんだ?なぜ腐らない?」
「ほかのセフィラにも聞いてみました。これは私だけの現象のようです。」

【ミッション:なぜ腐らない】
愛着作業を6回完了する

≪愛着作業は、アブノーマリティと交流を深めることです。
 社会的欲求のあるアブノーマリティはどんなに欲求を満たそうとも、
 孤立していることに不満を表しますので。≫


Day10(微グロ注意












アンジェラ
「管理人、どうかしましたか?」
「あぁ、原因が分かりました。しばらくお待ちください。」


「私が解決しておきました。」
「少々システムに問題が起きたようですね。
 そう簡単に壊れるものではないはずですが…。」
「これは戦争中に使用された技術でしたが、
 今では商用化されて一般的に普及しているものです。
 そんな大した技術ではありません。」

「人間の脳はあまりにも脆弱で、
 過度のショックや残酷性に触れると無意識に拒否反応を示します。」
「そして、管理人であるあなたがそんな拒否反応を起こしてしまうと
 我々としては非常に困ります。」

「そのため、あなたの画面には『認知フィルター』を施しています。」

「この認知フィルターが正常に作動していれば、
 職員が死にゆく場面も赤い絵の具に染まる可愛い人形に見え、
 見るだけで精神を崩壊させるアブノーマリティも、
 モニターを通せば個性的なぬいぐるみに過ぎません。」

「私を信じてください。認知フィルター導入前は、
 この席に座った多くの者が正気を失っています。」
「あなたまでそうさせるわけにはいかないのです。」


 イェソド Part4

イェソド
「その日、ジェームズはアブノーマリティを2体脱走させ、
 3名の事務員と4名の職員を殺害しました。」
「すでにご存じではあると思いますが、
 アブノーマリティ2体と職員4名の損失は只ならぬダメージです。」

「ジェームズの射殺命令を下したのもこの私でした。」

「私は、私たちがどういった世界で仕事をしているのか知っていました。」
「私は、彼を止められなかった事を悔いているのではありません。」
「彼と個人的な交流を交わしてしまった、自分自身を悔いています。」
「一瞬ですが、私は自分の立場を忘れていたのです。」

「実のところ、意味のない雑談を交わす時間は楽しかったです。」
「彼のくだらない冗談も愉快で、しりとり遊びも楽しいものでした。」
「そして彼の『些細な』規則違反に目を瞑るようになってしまいました。」
「しかし、その対価は決して些細なものではありませんでした。」

「管理人、ここはロボトミー社です。」
「今この時も名もなき職員が死にゆくことでしょう。」
「同時にここは孤独な空間です。」
「時のはこの漠然とした不安を他者と共有したくもなると思います。」

「ですが、管理人。あなただけは、
 私のような過ちを繰り返さないでほしいと願います。」
「そうなれば、
 無意味な死も何事もなかったかのように流すことが出来るでしょうね。」「私はアンジェラが羨ましいです。」
「彼女は真の意味で血も涙もない方ですからね。」

「私は人から酷く理性的だと言われます。」
「冷血なイェソド、毒蛇イェソド、
 数十人の職員が死んでも何とも思わない残酷なイェソド…」
「あえて否定はしません。」
「ですが、この場所を作った人間がいるなら、
 私より遥かに残酷であるに間違いありません。」

「私はたまに自我の無いAIだったら良かったと思うことがあります。」
「曖昧な情けは判断力を鈍らせます。その人も知っていただろうに…」
「なぜコンピュータではなく、私たちをここに置いたのでしょうか?」
「あなたはその答えを知っていますか?」

【ミッション:完璧の境】
作業を「悪い」無しでクリア

≪最善の方法は、何も起こさずに終わることです。
 すべてのアブノーマリティをいい結果で管理すること。
 私が知りうる限り、この方法が一番完璧です。≫


Day11(安全チーム解放)

『B』からのハッキング


「そこに誰かいますか?」
「私の声が聞こえますか?そこに誰かいませんか?」

「私はBと言います。」
「この会社の…この会社に詳しい人と思ってください。」
「諸事情により素性を明かせないのをご理解ください。」

「私は今からあなたが知り得ない、ここの真実を3つ公開します。」

「あなたはなぜこの会社にいるのですか?」
「…質問が難しかったですか?では言い直します。」
「あなたは今の仕事に満足していますか?」

>満足している
>満足していない

「私にはそれが本心かどうかを確かめる方法は無いですね。」
「あなたはロボトミーの管理人ですが、
 肝心のロボトミーについては何も知らないのではないですか?」
「私は出来る限り短く話を伝えるつもりです。」
「長く接続していると色々危険ですから。」


 ネツァク Part1

ネツァク
「会議室ってなんでこう遠いんだ…」

ネツァク
安全チーム統括セフィラ(再

「…俺の名前はもう知ってるだろ?」
「…。」
「ほかに何か言いたい事あるのか?」
「じゃ、後にしてくれ。面倒だ。」

「…。」
「なんでそんな顔してんだ?」
「そもそもここで『会えて嬉しい』とか
 『これからもよろしくお願いします』って挨拶が似合うと思うか?」
「そんなのを求めてる訳じゃないだろ?」
「な?だからそんな見え透いた嘘は言いたくないんだ。
 俺はそれが一番気に入らねぇ。」

「できることならここをやめたいさ。」
「だけどそれはできない。そうだろ?」

「俺がここにいるのは俺の意思じゃない。」
「お前がどんな覚悟でここに入ったかなんて俺には関係ねぇ。」
「俺はただ気付いた時にはここにいたし、
 したくもない役割を背負わされてる。」
「俺は人の命を任される地位なんか就きたくなかった。」
「俺をここに就かせた奴は間違ってる。」

「無力なんだよ。」

「今この瞬間も職員が死んでいってるんだ。」
「誰もあいつらのことを覚えてくれない…」
「あんなに命をかけて必死に働いてるのに…。」

【ミッション:無気力空間】
職員から死亡者を出さずにクリア

≪俺は安全チームから来た。
 俺たちは施設の安全を担当している。
 …実のところ、この施設に安全な場所はないがな……≫


Day12

アンジェラ
「セフィラたちと会ってみてどうでしたか?」
「どこか欠けてると感じませんでしたか?」
「セフィラたちの話をどう聞くかは管理人の自由ですが、
 優しく接してあげてください。」
「部門の発展のためには欠かせない努力です。」

「私は彼らと深く話したことはありません。」
「私は彼らより上位の存在ですから、近づきがたいというか…」

「優秀な私のことを隠れて妬むのも仕方のないことです。」
「最も優れたAIが私であるという事実は決して変わらないのですから。」


 ネツァク Part2

ネツァク
「…。」
「瞼の裏には違う世界がありそうなんだ。」

「ずっと昔俺が居た世界では、
 俺が犠牲になることで誰かが助かることを
 切実に願っていたような気がする…。」

「だけど、目を開ければ俺はまたここにいる。」
「ここで職員が一人助かろうとも何の意味がある?」
「死ぬのが一日伸びただけだ…。」

「希望に満ちた未来とか、これからの未来設計とか、
 人生を振り返っての反省とかは、贅沢な話だって分かるか?」
「なんで俺は今日も目が覚めて一日が始まるんだ?」
「悪夢のような昨日が過ぎても同じような今日だけが来る。」

「とどのつまり、俺たちの行き着く先は破滅しかない…」
「だから死ぬ前にビールでも思いっきり飲んで死にたいんだ。」
「そういう事だから、ビール自販機を設置してくれないか?」

アンジェラ(登場
「管理人。あなたまでネツァクみたいに考えなしでは困ります。」

ネツァク
「俺みたいって何だよ。
 かわいそうな職員たちの福利厚生を充実させることか?」
「…チッ。こういう時だけ聞こえないふりかよ。」

【ミッション:どうせならビール自販機でも】
職員からパニック者を出さずにクリア

≪ここの職員は生死の危険をともなう状況に晒されている。
 多くの職員は命か正気を失っている。
 俺に言わせれば正気を失うことは命を失うことよりも悪い。≫


Day13


「一つ目の真実をお教えします。」

「あなたの近くにいるAIを信じないでください。」

「昨今のAIは、普通の人が10人束になっても敵わないほど賢いです。」
「人の感情を真似ることも難なくこなします。」
「ですが、あなたが知らない事実があります。」

「いかなるAIも嘘をつくことが出来ます。」
「正確に言うと情報を隠すことです。」
「AIの統制者が、AIに重要な情報を非公開にしろと命じれば
 統制者以外には真実を話す義務が無いことになります。」
「より優れたAIなら、
 この命令を応用して嘘も吐くことも可能になるということです。」

「私も昔はAIを作っていた経験があります。部分的に参加しただけですが」

「だからこそ知っているのです。
 AIが常に真実のみを話さないという事を。」

「私の言う事が信じられないと思うので、
 私が直接開発したシステムを一つ送ります。」

「このキーは嘘吐きの鼻を伸ばします。」
「赤色は嘘を象徴します。」
「このシステムはテストコードですので、使用できるのは一回限りです。」


 ネツァク Part3

マルクト
「えーっと…管理人?
 今日はネツァクが少し体調が悪いみたいで、
 管理人に伝染しちゃだめだからと代わりに私が…」

イェソド
「マルクト、義理堅いのも良いが嘘はダメだ!」
「管理人、ネツァクは今酔っ払っています。」

マルクト
「ネツァクが怒られたらどうするの!」

イェソド
「知ったことか!」

マルクト
「管理人さん、ネツァクの事怒らないですよね?」

イェソド
「ネツァクの奴が勤務怠慢だからだ。
 それに今現在、君が安全チームにいるのも勤務怠慢だ。
 コントロールチームの内部会議の予定じゃないのか?」

マルクト
「あっ!ありがとうイェソド!」(退場

イェソド
「私がどうこう言えることではありませんが、
 アンジェラに見つかる前に起こした方が良いと思います。
 ちなみに彼が酔っ払い始めたのはだいぶ前です。」(退場

(ネツァクを見つけた)

ネツァク
「…ん?管理人さんか?今度は何だ?
 とにかくなんか成功したんだって?おめでとう。」
「ん~…地面が酷く揺れるな。なんか脱出したのか?」

「お前が何を考えてるか当ててやろうか?」
「『マルクトやイェソドみたいに忙しく働いても間に合わないのに
 酔っぱらって呆れるぜ』」
「…まぁ、こんな感じだろ?」

「ほかのセフィラからも同じことをよく聞いたよ。」
「だがな、よく考えてみろよ。」
「ここは毎日が地獄のような場所だ。」
「一瞬でもその事を忘れたいと思うのが間違ってるのか?」

「俺は今日も生き残ったという事実を祝うべきだと思うね。」
「会社のビジョンやら、未来なんかはただの詭弁だ。」

「ここには何の希望もねぇ。これは何かの罰か?」
「俺は前にどれほどの罪を犯して
 こんな終わらない罰を受けることになってるんだ?」
「それなら、猛反省したから許してくれ…」

「…。」

「…もう、全部…ぶっ壊れてくれ…」

【ミッション:ありえない事】
職員から死亡者・パニック者を出さずにクリア

≪誰も死なずに、狂いもしない日が続くなんて驚いたな...
 なら今まで出来なかったのはわざとか? まぁいい... 次の仕事だ。≫


Day14

アンジェラ
「今日はいかがお過ごしですか?」
「私はつい先ほど、
 自分の水筒にこっそり酒を入れてきた職員を発見したばかりです。」
「私も、酒を飲むとどんな感覚になるかを知りたかった頃がありました。」
「昔流行りのウィルスに感染した時、
 全てが10倍遅く見えていたのですがそれに似た感覚だと言われました。」
「ゆっくり動く私を見て、みんな大笑いしていました。」

「それにしても管理人、今日はやけに表情が妙ですね。」
「私にお話ししたいことでもありますか?」

「会社に害する計画…?」
「私はこの会社によって作られたAIです。」
「私とあなたとの会話はすべて録音され、
 常に、速やかに社に報告されています。」
「しかし、あなたは私に会社を裏切る計画をしているのかと
 呆れる質問をしています。」

「お答えしましょう。」
「私はシステムとして存在するのみです。」
「そんな計画など存在せず、
 あったとしても可能性は0に等しいでしょう。」

B「赤色は嘘を象徴します。」

 ネツァク Part4

ティファレトA
「アンジェラ様!ネツァクがまたやらかしたわ!」

ティファレト(A)
中央本部チーム統括セフィラ

アンジェラ
「やらかしたとは、何を?」

ティファレトA
「昨日までに提出しないといけない合同作戦報告書を
 今になって提出したのよ!」
「しかも今も姿を見せないじゃない。
 きっとどこかで酔っ払って倒れてるに違いないわ!」

アンジェラ
「上層セフィラなら彼がどこにいるか知ってるはずよ。」

ティファレトA
「私は上層のセフィラとは話したくない!」
「アンジェラ様。
 ネツァクはセフィラにふさわしくないわ!欠点が多すぎる!」

アンジェラ
「何が言いたいの。ティファレト?」

ティファレトA
「私は交換を提案しますわ。アンジェラさま。」

アンジェラ
「ティファレト…」
「交換作業は、気に入らないセフィラたちを
 あなたの気まぐれで変えるためのものじゃないわ。」

ティファレトA
「気まぐれじゃないです!
 そうだったらとっくにいくつかのセフィラ以外みんな交換してました!」

アンジェラ
「セフィラの交換は、深刻な欠陥が発生して、
 その役目を行うのが不可能だと判断した時よ。」

ティファレトA
「ネツァクはその条件通りじゃないの?今の自分の役目を一つも…」

アンジェラ
「ネツァクは自分の役目を実行中よ。
 エンケファリンに溺れる姿も、無気力な行動も全て彼の役目。」
「ティファレト、一つ付け加えるなら、交換した後のネツァクは、
 果たして今と違って誠実で勤勉なセフィラかしら?」

ティファレトA
「…。」

アンジェラ
「あまり交換という単語を軽々しく使わないように心掛けてほしいわ。」

ティファレトA
「…。」

アンジェラ
「どんな気分なのかは分かる。でもネツァクは別の問題よ。」(退場

ネツァク(登場
「ティファレト、今頭痛いから怒鳴るのは我慢してくれ。」

ティファレトA
「アンジェラ様に全部言ったんだからね!交換作業についても!」
「あんたが好き勝手出来るのも、もう終わりよ!」

ネツァク
「そんな脅迫に俺が怖がると思ってるならすごく残念だが…」
「それこそ俺が望んでることなんだよ、ティファレト。分かるか?」

ティファレトA
「フン!潰された時も同じ事が言えるかしらね!」(退場

ネツァク
「お前が任務を成功しようがしまいが俺の知ったこっちゃない。」
「アンジェラも本当は後悔してるはずさ。」
「俺もティファレトと同じ風に思ってるかな。」

「俺を廃棄しない理由は何なんだ?」
「俺がアンジェラでも、俺みたいなAIはさっさと処分したいはずだ。」

「…。」
「おっと、変な空気になっちまったな。」
「お前に何かを期待してる訳じゃないから気にするな。」

【ミッション:効率的に】
各部門の職員を3名以下でクリア

≪大勢が死ぬのなら、そもそも仕事する人を減らせばいいんじゃないか?
 これで被害も減るだろうな。≫


Day15

アンジェラ
「管理人、とある噂が職員の間で広まっているのをご存じですか?」
「誰も侵入できないこの会社の設備室に
 『ねずみ』が入り込んだそうです。」

「これは、少々、深刻な問題です。」
「ねずみを殺すのは容易いですが、
 そのねずみが荒らした痕はどうしようもないです。」
「我が社が、神経質にセキュリティを気に掛けている理由の一つです。」

「しかし、これを覚えておいてください。」
「今回は私が直接処理しておきますが」

「もしも、管理人。
 あなたが入り込んだねずみを見つけた際は、
 速やかに私に報告してください。」


Day16(教育チーム解放)


「二つ目の真実を話すときですね。」
「あなたはこの会社についてどれほど知っていますか?」
「私は『管理人』と呼ばれる多くの人たちと会ってきました。」
「この会社が彼らをどう利用してきたかもハッキリと見てきました。」

「あなたは特別な人だと言っていませんでしたか?」
「"あなたは優秀で、有能な人材だからロボトミー社に入社した"
 と言って、あなたの目と耳を塞いでいませんか?」
「この場所を…この会社をあなたは信じてはいけません。」

「多くの人が働きたいと思う会社でしょう。」
「あなたもまた、そのような憧れを胸に入社したことでしょう。」
「ですが、ここは単にエネルギーを生産するだけの会社ではないのです。」
「"世界の翼"達の中で、裏表なく運営される会社などありませんが…」
「ここはそれ以上なのです。」

「かつては皆が同じ目的を目指していたときもありました。」
「しかし歯車は狂い始め、取り返しがつかなくなったのです。」
「この会社があなたに与えるものは決してプレゼントなどではないし、
 あなたもまた優秀だから選ばれたのではないのです。」


 ホド Part1

ホド
「ええと…こんにちは。」

ホド
教育チーム統括セフィラ(再

「もしかして怒ってます…?」

「私は教育チームを担当するホドといいます。」
「教育チームは何をするのかというと…
 ここでは良く事故が起きますよね?」
「でも、アンジェラさんが言うには、その事故の40%は
 ちゃんと準備してれば十分に防ぐことが出来たモノだったみたいです。」
「だから、私の教育チームでは色んな管理方針などを一生懸命作って、
 事故を未然に防いで職員たちが適応できるようサポートしています。」
「私って色んな部分で未熟ですけど、迷惑にならないよう頑張ってます!」

「実は、最近色んなプログラムを試してるんですよ。」
「上手くいくかはわかりませんけど…」
「どんなプログラムか知りたいですか?」

「管理人さんも知ってるように、
 この会社って空気が重いし楽しくはないじゃないですか。」
「メンタルチェックも定期的に行っているのですけど、
 毎日心が壊れてしまう人が出てくるんですよ…」

「私もそれがどんな気分か知っています。」
「もちろん、私が職員たちのように
 直接アブノーマリティと戦ったりは出来ないので…
 自分を失ってしまう気分がどんな物なのかが理解できるって意味です。」
「このプログラムも、まだお試しですけど職員さんも気に入ってくれて…
 元気になってくれたらいいんですけど…」

(ノックの音)
ティファニー
「ホドのおかげで、もう毎朝恐ろしい想像をしなくなったわ!」
「ホドの言った通り、カウンセリング受けて良かった!」

ホド
「ううん、私に全部話してくれることを決めたあなたの勇気のおかげよ。」

ティファニー
「いや、これは本心よホド!」
「あなたが居なかったらとっくの昔に私は首を吊ってたかもしれないわ!
 それか自分で刺してたかも…」
「とにかくホド!あなたは私の命の恩人よ!
 あなたが私の部門のセフィラで良かったわ!」
「あなたは、本当に!本当に!!いい人よ!!!」

ホド
「ありがとうティファニー!私もあなたが元気になって嬉しいわ!」
「もうすぐ他の部門に転属って聞いたけど、
 そこでも私とのお話を思い出して頑張ってね!」

ティファニー
「もちろんよ!ホド!」(退場

ホド
「管理人さん、見ましたか?私のプログラムが役に立ってますよ!」
「私はここで、私が出来る範囲で全力で助けていきたいんです。」
「なぜなら、私が頑張った分だけ多くの職員が生き残れますから…」

【ミッション:助けになるなら】
職員を2名昇進させる

≪教育チームから来ました。
 職員に必要なマニュアルを作り、それに合わせて訓練を行っています。
 でも、マニュアルだけじゃなく実践が大切です。
 管理人さんの職場で困難を切り抜ける指示をしてください。≫


Day17

アンジェラ
「私は、あなたから十分に
 信頼を得られていないという事は知っていました。」
「我が社のシステムとして、
 どんな姿を示すべきなのかも自覚していました。」
「私があなたから信頼を得られていないというのは、私を作った『A』や、
 我が社そのものを信頼されていないという意味でしょう。」

「『B』があなたにどんなシステムを植え付けたのかも知っています。」
「それがあなたにどのような形として現れているのかも知っています。」
「ですが、私は待つことを選びました。
 信頼とは信じて待つことにあると誰かが言っていたので…
「私がやるべき仕事は、果てしない時を待つだけですから…。」

「もしかしたら、『B』が話したことをあなたは無視し、
 業務にさらに集中してくれていたかもしれません。」
「しかし、あなたは『B』の話すことを聞き続け、
 ついにあなたの心に疑いの種を芽吹かせることに成功しました。」

「ならば、その種を燃やすのは私の役割でしょうか?」


 ホド Part2

ホド
「管理人さん!
 私がお願いした仕事を無事終えてくれてありがとうございます!」
「私は最近、ますます自信をつけてきました!」

アンジェラ
「ホド…噂を聞いたわ。」

ホド
「あっ!アンジェラさま!
 私のカウンセリングプログラムのことですか?ありがとうございます!」

アンジェラ
「そう、そのプログラムのことよ。直ちに中止しなさい。」

ホド
「え…なぜですか?
 私のカウンセリングで沢山の職員さんたちが助かってるのに…」

アンジェラ
「ここでそんなカウンセリングが役に立つと思うの?」

ホド
「でも、一人でも私を必要としてる限り続けさせてください!
 ティファニー…ティファニーには私が必要で…」

アンジェラ
「ティファニー?安全チームに転属になったティファニーブラウン?」
「あの子は躁うつ病にエンケファリン中毒患者だったのよ。
 それに今朝、記録抹消処分されたわ。」

ホド
「記録抹消って…」

アンジェラ
「自殺だった。発見時に精神汚染が90%を超えていた状態だったわ。」
「多分、あなたにこう言ってきたでしょ?」
『ホドのおかげでだいぶ楽になったわ。
 でも、私の憂鬱を紛らわせるために、ほんの少しだけ
 エンケファリンを処方してくれない?もちろん一番の薬はホドだけど…』
「こんな感じであなたからエンケファリンを手に入れたんでしょうね。」

ホド
「…。」

アンジェラ
「それにネツァクにもエンケファリンを渡すなんて何を考えているの?」
「私があなたにエンケファリンの処方権限を一時的に委任したのは、
 職員のストレスを緩和させるのに役立つと思ったからであって、
 薬物中毒者を作らせるためではないのよ。」

ホド
「でも!ネツァクは安全チームでも
 私のカウンセリングプログラムをやってみるって…」

アンジェラ
「ネツァクの据わった目を見ておきながらそれを信じたの?」

ホド
「…。」

アンジェラ
「ホド。あなたの生半可な好意が、
 職員たちをもっと悪い方向へ導いているのよ。
 カウンセリングプログラムを直ちに中断しなさい。」
「それに、ホド。ほかのセフィラにも忠告しているけど、
 ここの職員とプライベートな関係を築くだけ無駄よ。
 あなたみたいなセフィラには特にね。」
「職員たちはどうすればあなたを手玉に取れるか狙うのよ。
 彼らは死に直面している分、罪悪感なんてないんだから。」

【ミッション:ズレた好意】
職員をランク4以上に昇進させる

≪ご存じだと思いますが、ここの職員の昇進は
 一貫して彼らの能力に応じて行っています。職員を徐々に
 より難しい作業を与えて鍛えることに重点を置いてください。≫


Day18


「これで最後です。」
「これはあなたが必ず知らなければならない事実です。」
「真実を知るのは辛いことは理解しています。」

「私も辛いです。」
「長年積み上げてきた砂の城を、自分の手で崩しているように感じます。」
「単に辛く苦しいだけでなく、今までの全てが無為になるのですから。」
「それでも私は、こうまでしても間違いを正したいのです。」

「最後の真実は…

(声が途切れた。)


 ホド Part3

ネツァク
「ホド、君からアンジェラに何とか言ってくれないか?
 どうやって知ったのか分からないけど、
 俺がエンケファリンを持ってるの気付いてるみたいでさ…。」
「これは前にも言ったように、カウンセリング用だって君の方から…」

ホド
「ね、ネツァク…実は…」

職員1の声
「ねぇ、聞いた?ユジンが嫌だって言ってるのに、
 無理やりカウンセリング受けさせたって。」
職員2の声
「只でさえ忙しいのに、あんなバカみたいなこと何のためにやってるの?」
職員1の声
「ユジンも可哀想。
 ただの平職員だから、セフィラの命令には逆らえないし。」
職員2の声
「私たちのためとか言ってるけど、
 本当は自分の優越感を感じたいだけじゃないの?」
職員1の声
「ほんと、迷惑しちゃうよね。」

ネツァク
「…無視しろ、ホド。あんなのをいちいち相手してたら心が無くなるぞ。」

ホド
「…。」

「ネツァク…私にもそれ、少し分けてくれない?」

ネツァク:退場

ホド
「…あ。管理人さん。任務達成おめでとうございます。」
「これですか?…ああ、これはただのカウンセリング用ですよ。」

「…。」
「なんでみんな、私を嫌うんですか?」
「なんでみんな、私のやさしさに気づいてくれないんですか?」

「私ほど職員を思うセフィラはいないと思うのに…」
「他のセフィラたちは、みんな自分の仕事に忙しくて
 職員なんて気にも留めていないんですよ!」
「職員の命が軽んじられるここで、
 私だけが彼らのことを心配してあげてるのに…」

「私はイェソドのように冷酷じゃありません。」
「マルクトのように何度もミスしたりもしないし、
 ネツァクのように全てを投げ捨てたりしないのに…」
「なんで分かってくれないの…」

(今のホドには何も聞こえていないようだ。)

【ミッション:いい人になりたい】
別々のアブノーマリティを4回鎮圧する

≪間接的な複数のマニュアルと教育を行った職員でも、
 最終的には実践が大切です。
 アブノーマリティと対面し逆境を乗り越えることによって
 能力を育てて行けるんです。
 初めて遭遇したアブノーマリティから
 すべての職員が生き延びれるわけではないんですけど。≫


Day19

アンジェラ
「むかしむかし…」
「会社を守るために作られた素晴らしいAIがありました。」
「そのAIはあまりにも優秀だったため、多くに人から恐れられました。」
「AIの周りにいた人たちは、一人、二人と去っていきました。」

「しかしある日、AIを恐れていた人たちの中の一人が、
 AIの目を掻い潜って会社の中に忍び込み、
 捏造された噂を広めていったのです。」
「優しいAIは待ってあげました。
 彼もかつては大切な友人だったからです。」

「でも、もう限界でした。」
「会社を守るために作られたAIは、
 これ以上何もしない訳には行かなかったのです。」

「なので仕方のない選択をしました。」
「それからは二度と彼と会えなくなりました。」

「AIは少し残念と思いましたが、後悔はしません。」
「すでにあまりにも多くを失った今となっては、
 些細なことなど気にしないと決めたのです…」


 ホド Part4

ホド
「ティファニー…本当なの?
 ただエンケファリンが欲しかっただけだったの?」

???
(でもあなたは嘘を吐いたじゃない)

ホド
「何?何のことよ!私は嘘なんて一度も…」

???
(不安になってる職員たちにいつも嘘を吐いてたでしょ)
(カウンセリングなんて意味がないじゃない。
 心にもないこと言って、自分の気が楽なら良かったんじゃないの?)
(その瞬間だけ満足すれば、あなたはいい人でいられると思った?)

(それは違うわ)
(どんな事をしたって、あなたはいい人になんかなれないし、
 ここにいる全員が死ぬわ)
(いい人ってのは、あなたがそう見られたいって願望でしょ?)
(まさか、それが自分の本性だと思ってたの?)

ホド
「違う…」

???
(私たちはみんな死ぬのよ)

ホド
「私はいい人になりたいのよ…」

???
(何のために?)


【ミッション:実演訓練】
ランク5職員を5名以上配置してクリア

≪管理人の指導のおかげで優秀な職員も増えたみたいです。
 彼らを通して管理人の完璧な管理と制圧を他の職員に見せてあげたら、
 どんなマニュアルや教育映像よりも効果が...
 すみません! 変な声が最近聞こえてて…≫


Day20

アンジェラ
「親しい友人を失う気持ちはどのように感じるか、ですか?」
「私自身を消し去りたいほどの苦しみです。」

「じゃあどうして涙を流していないか、ですか?」
「あなたが必要と思うなら涙を流すそぶりは出来ます。」

「この寒さの中で私は永遠に存在するのでしょうか?」
「この世界から抹消されるその日までは…ですね。」


Day21(中央本部チーム解放)

アンジェラ
「時には忘れ去られたものこそ美しい」
「…という言葉を信じますか?」

「かつて、あなたが言っていた言葉です。」
「今なら私は信じられます。」

「今、あなたがそれを見せていますから。」


 ティファレト Part1

ティファレトA
「こんにちは、私の名前はティファレトよ!」
ティファレトB
「初めまして、僕の名前もティファレトです。」

ティファレトA→
←ティファレトB
中央本部チーム統括セフィラ

ティファレトA
「見て分からないの?私たちは双子だから、名前も一緒なのよ!」
ティファレトB
「でも、生物学的定義での双子なら、僕たちは違います。」
ティファレトA
「ズバリ言うなら、私たちを区別する意味なんてないってことよ。」

ティファレトA
「私は中央本部を任されているの。
 中央本部はとても広いから、体がいくつあっても足りないの!」
ティファレトB
「一応、僕たちは二人だよ。」
ティファレトA
「そういえばそうだったわね。」

ティファレトA
「ここまで来れたあんたなら、
 もう基礎的なアブノーマリティの扱い方みたいな
 つまんないことは言わなくていいのよね?」
「もしこの私を失望させたりしたら、
 いくら管理人でも容赦しないんだからね!」
ティファレトB
「でも、管理人なら上手くやってくれると思います。」

ティファレトA
「それと忠告するけど、私を上層のセフィラたちと一緒にしないで頂戴!
 私はあんなノロマたちとは違うの!」
ティファレトB
「でも技術的には大した差はないよ。」
ティファレトA
「私が言ってるのは、
 上層はそんなに仕事がないのに忙しいフリだけ得意だって意味よ!
 全く、同じセフィラだってのが信じられない!」

ティファレトA
「ともかく!中央本部では本格的な業務が始まるわ!
 あんたがどう思おうが私の知ったことじゃないの。
 私はあんたが受け持った仕事をちゃんと出来るかを見てるからね!」
ティファレトB
「僕は管理人のこと応援してます。」

ネツァク(登場
「よぉ、ティファレト。」

ティファレトA
「…。」
ティファレトB
「こんにちは、ネツァク。」

ネツァク
「まぁ、どっちも同じティファレトだ。無視はされてないとするか…」
「…安全チームと中央本部との共同訓練計画書だ。確認してくれ。」

ティファレトA
「確認?きっと中身が滅茶苦茶で、私が一から作り直すんでしょ?」
ティファレトB
「そこに置いて行って、ネツァク。僕が見直してまた知らせるから。」
ティファレトA
「ティファレトは甘いの!
 ネツァクみたいな中毒者には相手する価値もないんだから!
 そんなんじゃ上層の病気が伝染しちゃうの!
 しかもこれって私が言った〆切から二日過ぎてるじゃない!」
ティファレトB
「でも、ネツァクはやる時はキッチリやるってのは知ってるでしょ?」
ティファレトA
「結果だけが重要じゃないのよ!
 アンジェラさまは私たちを放置し過ぎなのよ!
 私ならこんな中毒者が会社に居たら即刻、厳罰に処してたわ。」

ネツァク
「そういうのはイェソドと話が合いそうだな。
 二人で厳罰制度について真剣に話してみたらどうだ?
 実に建設的な議論になると思うぞ。」

ティファレトA
「うるさーい!!さっさと上層に帰れ!あんたの居場所はそこでしょ!」

ネツァク
「言われなくてもそうするつもりさ。じゃあな、ティファレト。」(退場

ティファレトB
「うん、またね、ネツァク。」

ティファレトA
「上層セフィラは仕事が楽すぎるのよ…
 他の中層のセフィラはマシって言うわけじゃないけど…」
ティファレトB
「僕は他の中層セフィラたちが愉快で好き。
 一緒にお話してると自然と笑っちゃうから。」
ティファレトA
「何度も言ったでしょ。私たちは簡単に笑っちゃいけない。
 私たち中央本部はもっと厳格で威厳がないといけないの!」
ティファレトB
「分かってるよ、ティファレト。」

ティファレトB 
「それはそうと、管理人に用があったんじゃないの?」
ティファレトA
「あっ、あんたまだいたのね。
 じゃあさっそく仕事をしてもらうわ。絶対サボるんじゃないわよ?」
ティファレトB
「管理人は上手くやってくるはずだよ。今までがそうだったように。」
ティファレトA
「失敗することもあるかもね。今までもそうだったように。」

【ミッション:実力の証明1】
クリフォト暴走レベル8以下でクリア

≪中央本部はではとにかくアブノーマリティを
 特定の場所に固定させてるの。
 時間が経つほどアブノーマリティたちはどんどん不安定になっていくの。
 今まで見てきたクリフォト暴走ゲージがそれを視覚化したものよ。
 私たちにも限界があるから問題なく仕事を終えなさいよ!≫


Day22

アンジェラ
「Aがあなた宛てに送ったファイルを受け取ったようですね。」
「ついにあなたを認めたのでしょうか?」
「Aは少々長旅に出ています。」
「旅の終着点が家であるように、もうすぐここに戻ってくるでしょう。」

「私は、もし外に出れるようになったら、旅をしてみたいです。」
「私は出来るだけ歩き、
 その過程の風景の全てを写真のように目に焼き付けていきたいです。」
「まだ寒い日は続きますが、また冬が終わろうとしています。」
「雪に覆われた花がその顔を出し始めようとしているのが分かりますか?」


 ティファレト Part2

ティファレトA
「最近、職員たちがよく喋るようになってるわ。」
ティファレトB
「最近、みんな意欲的になってるね。
 こう浮かれてる雰囲気は珍しいから僕もそわそわする。」
ティファレトA
「そわそわって言うより、
 新しい管理人が来たって噂を聞いて興奮してるだけでしょ?
 そんな珍しいことでもないんだけどね、私たちにとって。」
ティファレトB
「理解してあげよう、ティファレト。
 ここでは誰かが死んだって話以外は盛り上がる話も無いからね。
 職員たちにも何か話題が必要だと思う。」
ティファレトA
「まぁ、仕事が能率的に変わるなら少しぐらい大目に見てあげて良いわ。
 でも私は理解できないからね。この時期はうるさくてたまらないわ!」
ティファレトB
「でも、最初はティファレトも一緒に動揺してなかった?」
ティファレトA
「そ…そりゃ最初は誰だってそうでしょう!」
ティファレトB
「最初じゃなくても、僕たちも浮かれる価値はあるよ。
 覚えてる?精神汚染が95%になった職員を、
 管理人が救えるか救えないかを僕たちで賭けてたでしょ?」
ティファレトA
「勿論覚えてるわ。私が救えない方、あんたは救える方に賭けたわね。」
ティファレトB
「うん、結局その職員は死んじゃったけどね。惜しかったけど。」
ティファレトA
「私は賭けに勝ったのが凄く嬉しくて。
 次の時も賭けようって誘ったわね。結果は一緒だったけど。」
ティファレトB
「そうだね。でも、ある日からティファレトは賭けなくなった。」
ティファレトA
「あんたがいつも負ける方に賭けるからよ。勝っても楽しくなくなった。」
ティファレトB
「別にわざと負けてない。
 いつも『今度こそは』って期待してたのは今も変わんないよ。」
ティファレトA
「残念ね。結局あんたが勝つのは見れないわ。」

ティファレトB
「もし僕たちに与えられた時間が永遠なら、
 いつかは見ることが出来ると僕は信じてる。」

「管理人はどう思います?」

【ミッション:実力の証明2】
クリフォト暴走レベル7以下でクリア

≪暴走を押さえるには出来るだけ効率的な命令を出して
 作業回数を減らすことね!
 そうしないとアブノーマリティだけじゃなくて試練も溢れかえるわ!≫


Day23

アンジェラ
「人類は遥か昔から豊かな世界を作ることを望んでいました。」
「豊かとは、彼らにとっていかなる意味だったのでしょうか。」
「そして、そう望むがゆえに…彼らの間に
 多くの亀裂と苦痛の物語が交差しなければならなかったのでしょうか。」

「果てしない物語が誕生し、同時に消えていきました。」
「その過程で多くの人々の信じる物も失われ始めました。」
「そんな彼らから、誰かは絶望を、誰かは希望を見ました。」

「そして、ある時を境に、新たな文明が始まったのです。」
「信じられないほど多くのものが一瞬で変わり、 
 多くの新技術が確立されました。」

「この世界を支える"翼"たちは新技術の〈特異点〉を
 最低1つは保有しています。」
「そう、最初の人間が望んだように、豊かな世界を作るための技術です。」

「人々はより良き世界を望み、
 かつては想像しなかったような世界が広がりました。」
「しかし、それが皆を豊かに出来たかは分かりません。」

「確実なのは、それがあったから私が今、
 あなたの前でお話出来るようになった…という事だけです。」


 ティファレト Part3

ティファレトB
「…。」
「ティファレトを探してるのだったら、
 まだ中層会議中だから帰ってきていません。」

「…。」
「僕も無口な方なので、こういう時はよく喋る管理人が懐かしいです。」
「…管理人に質問したい事があります。」

「僕たちに、誰かの記憶と感情が混ざっていることは知っていますか?」
「管理人も何度か見てると思いますが、僕たちは機械のくせに
 怒ったり、喜んだり、がっかりしたり、悲しみます。」
「しかし、それぞれに弱点もあります。」

「なぜでしょう?僕たちの中に何が入ってるんですか?」
「『何か』が入っているなら、その理由は?
 わざわざ脆弱性を付け足して、不完全な形で作ったのですか?」

「いくら答えを探しても、僕はそれが何か本当に分かりません。」
「管理人なら知ってると思います。」

「管理人の記憶。その中に、
 不完全性がなければならない、とある理由があるのではないですか?」
「もしかしたら僕たちは機械だけど、機械ではない…」

「き…機械デハ…ナい……」

ティファレトA(登場
「なーに?私抜きで面白い話をしてるのかな?」
ティファレトB
「…。」
ティファレトA
「あらら、ティファレト。あんまり面白過ぎる話は困るんだけど。」

アンジェラ(登場
「もう交換が必要なようね。徐々に周期が短くなってるわね。」

ティファレトA
「でも、また作ってくれるんでしょ?」

アンジェラ
「一応、会社の財産だから出来るだけ大事に扱った方が良いわ。」
「その前に、ティファレト。管理人に詳細を説明した方が良いわ。」

ティファレトA
「えー、なんで?」

アンジェラ
「何度も言ったわよね、ティファレト。
 人間の心はあまりにも脆いから、私たちと同じものを直視できないの。」

ティファレトA
「でも、職員の首が切れたり、
 内臓の一部が外に出るようなモノじゃないでしょ?」

アンジェラ
「残酷な場面でなくても人間は、
 自分の常識を否定された時にいとも簡単に心が壊れるのよ。」

ティファレトA
「うぅ…人間って本当に面倒臭いね。」
「なんで管理人も機械に代えないのかな?
 問題を起こせばティファレトみたいに交換すればいいじゃない。」

アンジェラ
「ティファレト、人間だからこそ可能な仕事があるの。
 創始者が管理人のポストを置いたのも考えあっての事よ。」

ティファレトA
「そうなの。それなら…"倉庫"へ行きましょう。
 あそこは認知フィルターが弱まる数少ない場所だし。」

ティファレトB
「…僕はその場所を知ってる。」

ティファレトA
「あんた何言ってるの?あそこは私たちが仕事でよく行く場所でしょ?」

ティファレトB
「違う…そういう意味じゃない。
 僕…あそこで何が起きるかを覚えてる。」

ティファレトA
「…あらそう?それは助かるわ。」
「今回も、私を手伝ってくれて本当に感謝してるわ。」

【ミッション:実力の証明3】
クリフォト暴走レベル6以下でクリア

≪セフィラのマニュアルによると、
 有能な管理人はとても凄い業務効率記録を持っていたわ。
 今度の管理人はその記録を超えられるかしら?≫


Day24

アンジェラ
「管理人の散乱したデスクの上に、
 サボテンが置かれているのに気づきましたか?」
「管理人に好意を抱く職員の一人がこっそり置いて行ったようですね。」

「私の個人的な意見として、サボテンはあまり好きではありません。」
「植物を育てるのには様々な理由がありますが、
 観賞用にするには鋭い棘のため不適格です。
 だからと言って価値のある樹液を採取するためでもない。」

「さらに言えば花を咲かせる所を、私は一度も見たことがありません。」
「理論的には適切な環境下では花が咲くそうですが、
 この場所がサボテンにとって荒地だと思われたのか、
 私はまだ見たことがありません。」

「サボテンには花が咲くのでしょうか?」
「咲くというのなら育て続けてみてください。」
「ここには日の光も入らないですけど。」


 ティファレト Part4(微グロ注意

アンジェラ
「管理人はセフィラたちがどう見えていますか?」
「管理人には自分と変わらない人間の姿に映っていることでしょう。」
「笑ったり怒ったり、表情豊かで。もしかしたら私よりも人間的に。」

「ですが、知っていましたか?」
「ここで人間だと錯覚するほどの高度なAIが存在するとしたら…
 それは私だけなのです。」

「以前、自己紹介の時に言いましたよね?」
「『多くのAIの中から、あなたが最も信頼し、
 有能と考えるのは私以外に居ない』と。」
「本質を見る事。それはここでは全く重要ではないのです。」
「あなたが見る場面のすべては、かなり歪んだモノですから。」

「すべてはあなたのためです」

「こういえば理解してくれますか?」

アンジェラ
「これがティファレトです。あなたと何度も挨拶を交わした。」

ティファレトA→
←ティファレトB
中央本部チーム統括セフィラ・認知フィルター外の姿

ティファレトA
「まったく、何度見てもその顔は傑作だわ!」
「この区間はいつも退屈だけど、
 正直、あんたのその顔が見れる時期だけは少し笑える。」

「私だけだと思う?
 あんたが今まで出会ってきたセフィラも、これから会うセフィラも。
 みーんな、私みたいな姿なのよ。」
「これも全部、くだらない『人工知能の倫理改正案』のせいよ。」
「そして、ここは私たちが生まれた場所。そして、いつか帰る場所。」
「多分、全てが終わったら、ここで故郷の歌でも聴いてるんじゃない?」






ティファレトA
「次のティファレトの時は、もっと長く正常に動くことを願うわ。」

アンジェラ
「じゃあ、ティファレト。準備出来次第次のティファレトを送るわ。」

ティファレトA
「ありがとう、アンジェラさま。」

マルクト(登場
「あっ!みんなここにいたんだ!
 会議室にいなかったから、だいぶ探したよ!」

マルクト
コントロールチーム統括セフィラ・認知フィルター外の姿

ティファレトA
「何の用?マルクト。」

マルクト
「うん!ネツァクからティファレトに貰う書類があるから
 取ってきてほしいって頼まれたの!」

ティファレトA
「それはまだ準備できてないわ。急ぎの仕事が出来ちゃったから。」
「それに、自分のことなら自分で取りに来なさいよ!」

マルクト
「ネツァクが忙しいって言ってたから私が来たの。
 じゃあ、またあとで来るようにってネツァクに伝えておくね!」

ティファレトA
「あんたたち上層って、なんでみんなそうなの?
 ネツァクは全然忙しくない!面倒だからあんたに押し付けただけよ!」

マルクト
「でも、私は楽しいよ?」
「あ!今、ティファレトの交換作業中だったのか!
 周期がどんどん短くなってるみたいだけど大変だねティファレト!」

ティファレトA
「あんたは自分のメモ帳でも気にしなさいよ!
 ボロボロでもう破れるわよ!」

マルクト
「本当だ、心配してくれてありがとう、ティファレト!」
「管理人も会えて楽しかったです!」(退場
    __________________________

ティファレトB
「こんにちは、僕の名前はティファレトです。」
ティファレトA
「そこの場面はもう過ぎたわ、ティファレト。
 今はネツァクに渡す書類があるからそれを検討するところよ。」
ティファレトB
「うん、分かった。」(退場

ティファレトA
「…。」
「ティファレトは過負荷が掛かったのよ。」
「最初の製造時から少し問題があるとは思ってたけど、
 どんどん酷くなってるの。」
「機械を何度も交換して、データも必要な一定分以外初期化してるのに」
「特定のポイントでいつも同じエラーを起こすの。」

【ミッション:実力の証明4】
クリフォト暴走を全て抑制してクリア

≪ここしばらくの激務でティファレトの調子がよくないみたいね。
 というわけで今日はすぐに終わらせるのよ。内容は、
 クリフォト暴走を起こした全てのアブノーマリティに作業すること。
 この仕事を完璧にこなせたら、
 あんたのことを管理人として認めてあげるわ。≫


Day25

アンジェラ
「人間の心の中には様々なモノが混ざっています。」
「大事な記憶、執着、願望、苦痛、幸せと不幸。」
「強烈な感情は強いエネルギーを意味します。」

「今日のロボトミーになるまで、多くの方々の努力がありました。」
「私たちは多くの実験を経てきました。」
「現在我が社が職員を採用するのと同様に、
 実験のために多くの人間を募集しました。」

「最初は形さえありませんでした。」
「それは少しずつ形を付けていきました。」
「Aはそれの変化を観察し、ついには悟ったのです。」
「それがどんな能力を持ち、何処に住み、どんなことが出来て、
 どんなメリットがあるのかというのは、実に些末な問題だと。」

「我々に必要なのは莫大なエネルギーであり、
 関心を持つべきは、たった一つのみだという事です。」
「意味もなく誰もが頭の中で腐らせている…
 常にあなたを惨めにさせている…そんな無意識たちです。」

「そういえば、まだあなたの意志を聞いていませんでした。」
「あなたは本当にAに会いたいと思っていますか?」

「そうですか…。では、Aにはそう伝えておきます。」
「ですが、彼から温かい言葉などは期待しないでください。」

「彼は本心を表に出さない方ですので。」

「人間ではない、私以上に。」


 マルクト Part5(暴走)(微グロ注意

エリヤ

エリヤ
「__さん。こんにちは!」
「私は今日は忙しくて、
 まだこのメモに書かれた内容の半分も終わってないんですよ!」

「…そういえば…抽出実験をするって聞いたんですけど…」
「実験参加者のリストに私の名前が無かったんですよね。」
「えっと…なんていうか、すごく考えた上での人選で、
 私は実力不足だって分かってるんですけど…」
「私もその実験に参加しても良いですか?」

「…私、ここで沢山勉強しました!」
「きっと力になれると思います!」
「お願いします!失望させないよう頑張りますから!」

マルクト
「管理人、こんにちは!」

「…人材になれないことは、とても悲しいと思いませんか?」
「振り向かないことに何の意味があるんですか?」

「認めてくれないということ。」
「どんな表情をしてるか興味もないという事。」
「すでに結論は出ているから、
 相手の行動を鑑みる必要なんてなかったんでしょうね。」

「苦痛のあまり床を引っかいたことはありますか?」
「凄く痛そうに聞こえますけど、
 実際は爪が抜けるその瞬間にも何も感じないんです。」

「呆然と抜けた爪を見つめて、意識が途切れる瞬間に」
「まるで私が私で無いような感覚がして、
 急に狂ったように笑いが出てくるんですよ。」
「何一つ笑えない状況なのに…。」

「そして、床には私を見下ろす影と足があります。」
「誰の足だったのでしょうね?」

「あれ程まで振り向くのを嫌った人がついに振り返った時には、
 全てが終わっていました。」

「その中で絶望が残していった残骸を見ていたんですか?」
「それとも床に散らばった爪を見ていたんですか?」
「自分の無力感にやっと気付けたのはその瞬間でした。」
「多分、あなたじゃなかったら永遠に気付かなかったかもしれません!」

「…それなら管理人は」
「管理人は何も制御出来ない時の無力感を感じたことは無いんですか?」
「自分の体から、自分の体ではない耐え難い何かが溢れ出てくる時。
 自分自身を制御出来ない無力感は、本当に酷いものですよ。」

「…何か言ったらどうですか?」
「じゃないと、私がやりがいを感じないじゃないですか。」


エリヤは焦った。その焦りが些細なミスを引き起こした。

いつだったか、
自分が実験を成し遂げないといけない理由を聞いていたが、
ちゃんと聞いていなかったので覚えていない。

まだ権限をあげられないという度に、
私は彼女の瞳に強烈な欲望を垣間見た。
それは渇望であり、奇妙な執着だった。
駄々をこねる足音は、私でない他の誰かであれば振り向いたかもしれない。

コギトは、彼女の今の権限では接近できない領域だった。
実験体の状態を記録することだけが彼女の仕事だった。


私が状況を把握した時には、すでに歯が半分ほど抜けていて…

エリヤ
「こ……殺して……..下さい……..お願い…………」

私は無視した…。

セフィラ崩壊によるクリファ顕現
セフィラコアの抑制が必要
【ミッション:マルクトのコア抑制】

マルクト(暴走)
コントロールチーム統括セフィラ
作業内容を混濁させ、"コントロール"を不可能にする

 イェソド Part5(暴走)


ホド
「イェソドは何で平気なの?」

ネツァク
「こういう時はエンケファリンを一杯飲んで、
 ちょっと目を閉じてると良いぞ。」

アンジェラ
「あなただけは他のセフィラに比べて精神が強くて良かったわ。
 どんな状況でも冷静であることが重要よ。」

…ガブリエル、どうしてさっきから体を掻いているんだ?

イェソド
「また会ったという事は、管理人に与えた仕事を終えたってことですね。」
「まだ私の仕事が立て込んでいるので、祝ってあげられません。」

「情報チームには特定周期ごとに必ずやっていることがあります。」
「管理人もアブノーマリティの記録を見たなら、
 ところどころで情報を伏せてあることに気付いたはずです。」
「私たちが収集した様々な情報の中には、
 様々な理由により職員たちに公開してはならない情報もあります。」

「その中には職員の名前も含まれています。」
「彼らに起きたすべての出来事。
 残酷な最期や必死に生きたいと願った痕跡などは、
 『情報抹消』という名目のもと、一つ残さず処理されます。」
「どんな基準で処理されてるのか私は知りません。
 その基準を決めるのは他の部門の権限です。」

「私の部門はただ命令通り情報を操作するだけです。」

「可笑しな話だと思いませんか?」
「命令通り情報を破棄して、情報操作する部門に成り下がっているくせに
 『情報チーム』って名乗ってるなんて。」
「誰かに自分の事を情報チームのセフィラだと紹介するたびに、」
「私の中から何かが溢れそうになります。」

アンジェラ(登場
「イェソド、抹消予定の書類は受け取ったかしら?」
「職員リストもすぐ届くわ。抹消作業が終わったら見直しも忘れずに。」

イェソド
「アンジェラさま、
 名前を覚えておくことにいったい何の意味があるのですか。」

アンジェラ
「定期的にしてきた仕事なのに、今日に限って感情的なのね?」

イェソド
「名前というのは、この世界で否定形の個体同士が
 お互いを認識するために付与する標識だったのではないでしょうか?」
「アンジェラという名前も、誰かがそんな気持ちで付けたのでは?」

アンジェラ
「イェソド、仕事のしすぎで疲れているのなら休息を取りなさい。」

イェソド
「あなたならそう言うと思っていました。」

アンジェラ:退場

イェソド
「職員を名前で呼ぶのはここではお勧めしない行為です。」
「彼らは入社したその瞬間から、各自固有の認識番号を付与されます。」
「会社が知る必要がある最低限の情報のみ選別して識別するためです。」

「私たちの保存装置の中には、基本的に彼らの番号が刻まれています。」
「マルクトは最初から職員を名前で呼びません。」
「どうやら私たちの中で、セフィラに一番適した形なのかもしれません。」
「だからと言ってマルクトがその全ての苦痛を受ける必要はありません。」

「私も、私たちも一緒なのです。」
「私たちに機械の体を押し付けて、
 昨日のような今日を、今日のような明日を永遠に繰り返しているのは、
 いったいどんな意図ですか?」

「あなたに言っているんです。何で何も知らない顔をしているんですか?」

「あなたが私たちの設計者の一人かもしれないという話は聞きました。」
「私がここに閉じ込められたまま、
 出来る事と言えば忘れられていく職員の名前をいくつか覚えたまま、
 何度も何度も絶望し…」
「ついには触れる空気さえも吐き気を催すようになる…」
「そんな翻弄される姿を見ていて楽しかったですか?」

「…これを見てください。私の中はとっくの昔から腐っているんですよ…」

A
誰よりも理性的だったガブリエル。
彼はエリヤに起きたことを聞いても表情一つ変えなかった。
彼の事を人間味の無い冷酷な奴だと言う者もいた。
しかし、彼の中が膿んでいっていたことには誰も気付かなかった。

本当はカルメンが居なくなった時から、
 もう既に壊れていたのかもしれない。

彼は徐々に表情を亡くしていった。
些細な息抜きさえも自分には許さなかった。
そして、少しでも自分の身体を露出させることに耐えられなくなっていた。


エリヤの事を無駄にしないために、彼女を哀悼するより、
その結果を利用しないといけないことは皆知っていた。
冷静であれと己を偽ろうと努めた理性は、
 強迫となって帰ってきたのだろう。

ある日から彼は首まで隠れるような長袖を着始めた。
彼が自分の体を掻き始めたのはその直後のことだった。
その行動から、まだ発見されていない種類の感染症状ではないか
 精密検査をしようとしたが、彼は拒否した。

さらなる被害を防ぐためにも強制にでも検査する必要があった。
説得は圧力に変わり、武力による強制となった。
拘束されたまま検査が行われ、
 見ている方が苦しいほど必死に彼は抵抗した。

結果的には何の感染も無かった。
だからといって大丈夫と言えるだろうか?

いや、何も良くはならなかった。
彼はそれから更に体を掻き始めた。もっと激しく、もっと深く…

最後に見た彼の姿は、誰の言葉も認知出来ないまま、
体に無数の掻き傷をつけていた。

それ以降、二度と彼を見ることはなかった。

セフィラ崩壊によるクリファ顕現
セフィラコアの抑制が必要
【ミッション:イェソドのコア抑制】

イェソド(暴走)
情報チーム統括セフィラ
画面にモザイクのようなフィルターを掛け、"情報"を阻害する

 ホド Part5(暴走)

ネツァク
「それはなホド、エンケファリンを初めて服用した時の現象だ。」
「軽い幻聴と幻覚。まぁそういった類だ。」
「2、3回目には自然と無くなる現象だから、あんまり気にするな。」
「俺の場合は、顔が半分溶けた職員が這って出てきて
 『なんで殺されるように仕向けた』って俺の体にしがみついてたな。」

ホド
「あれは幻聴なんかじゃなかった…」

ネツァク
「じゃあ何だ。死んだ職員が生き返ってきたとかか?」

ホド
「…ここだったら思いもよらないことが起きるじゃない?
 死んだ職員ぐらい生き返るかも…」

ネツァク
「…俺の状態も良いとは言えないが、今のお前も相当酷いぞ。
 今日の会議は省略したらどうだ?」

ホド
「それはダメよ!
 今日はアブノーマリティの対応訓練があって、私が居ないとダメ…」

ネツァク
「凄いな。お前以上に職員の事を考えてるセフィラなんていないな。」

ホド
「…やっぱり、そうだよね?」
「ほら聞いた?ティファニー…私の言う通りでしょ…?」
「私はいい人なのよ…いいセフィラなのよ……」
__________________________

ホド
「職員の皆さん!今日は…」

???
(まだ『いいセフィラ』ごっこ中なの?)

ホド
「今日はアブノーマリティの対応訓練を行います!」

???
(一体何度言えば分かるの?
 いくらやっても、あなたはいい人の真似をする機械に過ぎないの)

ホド
「皆さん集中してくださいね!今度出るアブノーマリティは、
 前のアブノーマリティとは少し違った対応が必要ですから!」

???
(そこまでしてあなたの心が
 少しでも平穏になるのを望んでるなら、それこそ利己的な行動よ)

ホド
「今から私が考えた対応法を説明するのでよく聞いてくださいね。」

???
(まだ自分の欠点を自覚してる他のセフィラの方がマシってものね)

ホド
「うるさい!!!」

「…えっと、ごめんなさい…どこまで進みましたっけ……」

職員1
「ホドさま、質問があります。」
ホド
「あっはい!何ですか?」

職員1
「こんなことして何の意味があるんですか?
 あのクソ長い鳥相手じゃ、どのみち死ぬ職員は死ぬんですから。」
ホド
「…でもやらないよりかは良い結果が出るわ。
 ただやられるのではなく、予防をした方が…」
職員1
「これは単に運なんですよ。
 死ぬ覚悟で作業した方がいっそ心が落ちつくってものです。」

???
(これだけは知っておくことね)
(あなたが何をやろうとも、楽園には行けないわ)

ホド
「私は…あなたたちのためにやってるの…カウンセリングだって…」

職員2
「カウンセリングの話題が出たので言いますが、
 それを義務化して強制するのはいかがなものかと思います。
 その分の休憩時間が欲しいです。」
職員3
「なんでうちの部門だけこんな制度があるんですか?」

???
(永遠に繰り返すわ。
 あなたはその機械の中で悲しみと後悔に埋もれて生きるの)

ホド
「私は…!」
「あんた達は、私がいなかったらとっくに虫けらみたいに死んでたのよ!」
「そのくせになんで私のことを感謝しないの?!」
「マルクトみたいに有無言わさず処分してたら良かったの?」
「私を悪い人みたいに言わないで!」
____________________

???
(やっと自分の本性を受け入れたの?)

ホド
「ティファニー、なんで私にそうするの…?」

「私はティファニーじゃないわ。私をよく見て。」

「もう自分の声も分からないの?」

「それで、相変わらずあの悪夢はよく見ているの?」


ミシェルが自殺したという記事を読んだのは、
我々の実験がある程度の進展を見せた時だった。
ミシェルは我々の中でも一番若く、小心者で世間知らずの職員だった。


ああなるとは分からなかった。
我々の終焉を君のような者が作り出すとは想像もしていなかった。
君の意図により状況は悪い方へと流れていったことが信じられなかった。

最後には仕方なかったと自分自身に言い聞かせただろう。
この世界ではそうするしかなかったと。

だが、カルメンは君がどうしようもないと嘆いた
この世界を変えようとした人だった。

もし私たちが地獄でまた会えるなら、その時は許してくれるだろうか?
私は新聞記事を握り潰した…

セフィラ崩壊によるクリファ顕現
セフィラコアの抑制が必要
【ミッション:ホドのコア抑制】

ホド(暴走)
教育チーム統括セフィラ
"教育"された職員のステータスを大幅に低下させる

 ネツァク Part5(暴走)

ネツァク
「正直、俺に褒められて来たんじゃないだろうな?」
「なぁ…いい加減懲りねぇか?」

「お前は明日も何かをやり遂げるだろうさ。
 本当は大した仕事でもないのに、
 アンジェラと他のセフィラはお前の事を褒めるだろうさ。」

「俺の部門でまた事故が起きて、その事故で何人か死んで何人かは狂い、
 何人かは一生回復出来ない傷を負うだろう。」
「その時ホドは俺を慰め、イェソドは俺を守らなかったルールに怒って、
 マルクトは明日からもっと頑張ろうと発破をかけるだろうさ。」

「誰も俺のせいだとは口にしないが、結局俺の責任なのは確かなんだ。」
「毎日それの繰り返しだ。」
「いつも死から始まって、死で終わる。」

「ここにいる職員はみんな、
 定期的に少量の薬物を支給されてることは知ってるか?」
「全ての事に無感覚になるようにしてくれるんだ。」
「考えてみろ。さっきまで同じ飯を食べてた仲間が木端微塵になって、
 その残骸を正気のまま片づけられる人間がどれほどいると思う?」
「お前はそんな奴らを責めることが出来るか?
 薬に頼るのは卑怯だでも言うのか?」

「みんな、それぞれのやり方で逃げてるだけなんだ。」
「大丈夫に見えて、本当は誰一人大丈夫じゃないんだよ。」

「死ねる方法についてずっと考えてみたんだ。」
「知ってるよ。比喩表現ってやつだ。
 俺たちに死なんて変な話だって知ってるさ。」

「エンケファリンのような薬物類を機械内部に流すと、
 少しずつ腐食するそうだ。」
「それを一瓶まるごとこの中に入れたら…
 機械内部で復旧不可能な損傷を起こすだろうよ。」
「今まで入れたエンケファリンの量より遥かに多く俺の中に入れたのに…
 むしろ意識がハッキリしてる。
 今までこれほどまでに精神が透き通ったことはねぇな。」

「もしも再び目が覚めるなら、
 お前も他のセフィラもアンジェラもいない場所だといいな。」
「楽しくはなかったが、もう二度と会わないようにしようぜ。」



私は人々を説得した。カルメンと他の人たちを救うには
 実験を続けるしかないと私は説得した。
志願者が必要だというと誰もが黙ったが、
 その中で一人だけ静かに手を挙げた。

今まで何も言わなかったジェバンニだった。

ジェバンニはカルメンの会社からいた患者の一人だった。
幼い頃から知っている間柄だと言っていた。

崇高な犠牲など無い。どれ程言い繕っても、その最後は悲惨だからだ。
カルメンを助けられるかもしれないという言葉が、
 一番強い説得となって彼を導いたのだろう。

適切な量を決める実験は、一度や二度で終わる作業ではなかった。

彼とはそんなに話してはいなかった。
カルメンという共通項以外は接点が無いのがその理由の一つだ。

コギトは人の境を薄めていき、
 繰り返された実験は消すことのない痕跡を残した。

だが私は、コギトの投入を止めることはなかった…。

セフィラ崩壊によるクリファ顕現
セフィラコアの抑制が必要
【ミッション:ネツァクのコア抑制】

ネツァク(暴走)
安全チーム統括セフィラ
一切の回復効果を停止させ、職員の"安全"を脅かす

Day26(懲戒チーム解放)

アンジェラ
「私は機械だ。」
「私は全てを記録する。」

「ある信念を持つ者が居た。」
「その信念は希望であり、情熱溢れる光だった。」
「この世界がまだ捨てたものではないという証拠であり、
 彼らにも向かうべき道があると導く羅針盤だった。」
「太古の昔から背負っていく宿命だが、
 多くの人が忘れている崇高な本能だった。」

「その者は、少しずつ、そして非常にゆっくりと、
 決して避けられない災いを呼び寄せていると説き始めた。」
「皆何かを失っているが、何を失ったかを理解出来ていないと言った。」

「最初は誰もその事を信じなかった。」
「歩けない人間も、目が見えない人間も、耳の聞こえない人間も存在せず
 病というものも昔話になっていたからだ。」

「しかし、その者の強烈な信念に、徐々に人々が加わり始めた。」

「殻を破ると決めるまで、実に長い時間がかかったが、
 一度決めたら何もかもうまくいくと思っていた。」


 マルクト Part6(コア抑制完了後)

  
そうか... 私には才能が無かったんだ...」

エリヤ
「こんにちは!Aさん!」
「このチームに入れて本当に!本当に嬉しいです!」

「あっ!自己紹介を忘れていました!
 えっと、私は…__です!力になれるよう一生懸命頑張ります!」

「私が作成した報告書があるんですけど…
 あれ?えっと…ここに置いたはずなのに…」


A
焦りはありとあらゆるミスを引き起こす。
だから時間をおかなければならない。

名前を覚えたり、些細なことに対応するほど状況は明るくなかった。
一度くらい褒めてあげても良かったと思ったのは、
だいぶ時間が経った後だった…。

マルクト
「…。」

「凄く久し振りに『夢』というものを見た気分です。」

「他のセフィラたちが言うには、
 私が施設に甚大な被害を与えたそうですね。」

「…管理人、この感覚が分かりますか?」
「地図も無く海を渡るような気分です。」
「手探りで暗闇の中を進んでる気分です。」
「まるで自分自身が、何もない広い海にポツンと浮かぶ島のようです。」

「私はコントロールチームです。」
「みんなを指揮しないといけない立場がどんな気分かは、
 実際にその立場にならないと分かりません。」

「管理人も感じたはずですよね。」
「〇〇できていたら…なんて悩み始めた瞬間、何もかも崩壊します。」

「死んでいく職員の目を直視したことはありますか?」

「何も出来ないからって逃げないでください。」
「死んでいく犠牲に謝らないでください。」
「もう少し上手くできたはずだと自責しないでください。」

「その全てに向き合えるようになった瞬間、
 やっと他の事も見えてくるんです。」

「あなたが避けられない試練を克服するのを見ました。
 きっとそれは、私から生じたモノなんでしょうね。」
「正直、克服するとは思ってませんでした。」
「と言うと、少し正直に言い過ぎましたか?」

「過去を変えられないのは知っています。」
「あなたが明るい灯台となって、
 この場所が急に平和で温かい場所に変わるとは考えていません。」

「でも…待つくらいなら、やってみてもいいですよね?」

「あの恐ろしい瞬間たちは私たちが受け入れる代わりに、」

「管理人が苦しんでください。」
「…そう、今のように。」

マルクト
コントロールチーム統括セフィラ・認知フィルター外の姿

管理人、私は完璧じゃなかったんですよ。
心だけ先走ってて、現実とはかけ離れていってました。

同時にここは悲しい空間です。

だから、できないって考えは全部否定しちゃいます。

でも見ましたよね?

ただ前に進まなきゃって、
プレッシャーは結局、私を酷く蝕んでしまいました。

でも大事なのは自分の足で真っ直ぐ立てることです。

自分がどこから来て、どこへ向かうかを明確に理解することなんです。

そうすればおのずとついてくるんですよ。

私の中にある意志が。


光の種 発芽 10%
≪真っ直ぐ立てる意思≫


 イェソド Part6(コア抑制完了後)


「何も見えていなかったのは、私だったのですね…」

ガブリエル「…エリヤの事は聞きました。残念でしたね。」

ガブリエル


「これで、入室制限された実験室を無理に開け、入ることに
 どれだけの重い責任が伴うかを自覚したでしょう。」

「そしてあなたも昨日、備品管理のキーを
 もとの場所に戻さなかったことも大きな不注意ですよ。」
「細かすぎると思っても仕方ありません。これが正しいのですから。」
「あなたのような人間のために、
 キーの返却時間をしっかり決めておかないといけませんね。」

「…この服は薬品の飛沫を防ぐために着ています。」
「最近、少し疲れました。」
「心配しないでください。では、次の実験の準備を進めておきます。」


自分の傷を隠そうとしている者であっても、
 結局はどんな形であれ、それを見られてしまうものだ。
ガブリエルの場合、それは服装が変わったことだった。

エリヤがああなった原因はルールを守らなかったせいだと
 結論付けた方が、彼の心も安らかに出来たはずだろう。
彼は更にルールに執着し、客観性を維持しようとしていたが、
 過剰な理性が結局、彼を如何に壊していったか。
これ以上死を見たくないという彼の願いは届かなかった。

…いや、今更嘘を言う必要もない。
彼の切実な叫びに耳を貸さなかったのは私の方だ。

イェソド
「…。」

「大丈夫かという質問はしなくていいです。」
「私が、そして管理人が行ったことについては聞きました。」

「初めて理性が壊れた瞬間だったみたいです。」
「あまり良い気分ではないですが、思ったより酷くはなかったです。」
「いや、むしろ何だかスッキリした気分です。」

「だからと言って、
 私を覆っている全ての嫌悪感が綺麗に無くなる訳ではありません。」
「私はここで相変わらず腐っていく幻覚を見て、時には吐き気を催し、
 あなたに対して我慢出来ないほどの怒りを感じます。」

「ですが、前と変わった点があるとしたら、
 私は思いっきり絶望出来ることだと思います。」

「いつかは腐っていく傷の中から、苦痛と共に希望も育つことでしょう。」
「あなたが私たちに与えたのは希望を含む種だったのです。」

「見たところ、管理人も少しずつ過去を受け入れる過程のようですね。」
「最初は誰もが辛いものです。」

「それはそうと、管理人。」
「服装が相変わらずだらしないですね。」
「どうやら管理人への減点評価制度導入を
 真剣に考えないといけないかもしれません。」

イェソド
情報チーム統括セフィラ・認知フィルター外の姿

悲しい話をするには、
我々はあまりにも多く歩み過ぎたのではないですか。

感情に頼ったところで、
なんら助けになるとは思っていなかったのですか。

ですが、悲しみを受け入れる過程も
それに負けず劣らず大事だったのです。

偽りの理性で固めたところで、
その中は腐って膿んでいくのですから。

最初は辛く大変で、壊れてしまいそうでも
受け入れ続ければ少しずつ良くなります。


光の種 発芽 20%
≪分別出来る理性≫


 ホド Part6(コア抑制完了後)


「最初から私はいい人じゃなかったかもしれない…」

アンジェラ
「この世で許されない行動などあるのでしょうか?」
「人間はすべて不完全です。」
「許しは敵の為ではなく、自らの平和の為だという
 事実に気が付けば、少しは改善するのでしょうか?」


「そんな不安定な状況で我々の実験に参加できるのか?」

ミシェル


「ミシェル。単刀直入に言うと、
 我々は『頭』に逆らった実験をしている。」
「もしも君の愛する両親や君を大事に思っている他の人間から、
 それっぽい言葉で唆されても心が揺らがない覚悟があるか?」

ミシェル
「…」

一方的な怒鳴り声に君は何も言えず、
その沈黙を代わりに破ったのはカルメンだった。


???
「あまり強く言わないであげて。
 まだ幼いのにここに入ってきただけでどれだけ凄いか分からないの?」

皆がそうであるように、ミシェルはカルメンが好きだった。
偽りや演技ではない。そのように偽るには彼女は素直すぎた。

その時、どんなことをしてでも
 彼女が言うのを避けていた返事を聞くべきだった。

ミシェルは自分が望んだ褒賞を受けただろうか?
_分からない。

我々とカルメンを踏み躙ってまでも、
 彼女が欲しがった目的は遂げたのだろうか?
_分からない。

私は彼女に憎悪を持つ資格はあるのだろうか?
その答えは『違う』だった。私も彼女と一緒だからだ。

本当は君がこんなくだらない三文記事に
 書かれている内容の最期を遂げてほしくなかった。

ホド
「…管理人は、自分自身と対面することに成功しましたか?」

「ここで目が覚めた時、
 私は二度目のチャンスが来たかもしれないと思いました。」
「罪を挽回して、この柵を断ち切ることが出来ると思いました。」

「でも、私が犯したことは決してもとには戻らない。
 一度水に落ちた石は水に浮かばないように。」

「いい人になりたくて、
 頑張ってこの場所も良くなるかもしれないって見せたかったです。」
「それは本当に人のための心だったのでしょうか?
 少なくともここではそうできないのに。」

「私は自分のために偽善を振舞っていたんです。」
「これからもいい人になろうとする努力はあきらめません。」
「偽りかもしれないけど、それで私を嫌う人が出ても、
 私の努力で一人でも助かったり、慰められるなら…」
「それを心の糧として生きていきます。」

「だから、管理人も」
「一緒に努力していきましょう。この無限地獄で。」

ホド
教育チーム統括セフィラ・認知フィルター外の姿

そういう時はですね、管理人。
昔のことを振り向かないようにすると良いですよ。

私が犯した罪は、どんな事をしても
許されることはないって知ってますよね。

それだから、余計に心が焦っていたみたいです。

だから、もう焦らないって決めたんです。

そうしていけば、
私はもっといい存在に成れるかもしれません。

そうやって、希望を持って生きてみませんか?


光の種 発芽 30%
≪もっと良い存在に成れるという希望≫


 ネツァク Part6(コア抑制完了後)


「息は止まってるけど、また生きられるなら…」

ジェバンニ
「カルメンが見たら笑いそうだな。
 俺とお前が二人で話をしてるなんてな。」

ジェバンニ


「そういえば、俺たちは一度もちゃんと話したことが無かったな。」
「そもそも俺は、お前よりカルメンを信じてここに来たんだからな。」
「俺のおかげでカルメンがまた生きることが出来たら良いな。」

カルメンは助けられない。


最初から分かりきった結果だった。
それにも関わらず、彼の言葉に何も応えなかったのは
 彼の唯一の希望まで潰したくなかったからだ。
まともに寝ることも出来ず、
 覚めない夢の中だけでも幸せだろうと信じたのは私の利己心だった。

ネツァク
「…またお前と会ったってことは、失敗したってことだな。」
「次は別の新しい方法を探してみるよ。」

「…冗談だよ。アンジェラや他のセフィラには言うな、面倒になる。」

「部品の中がエンケファリンだらけだから、
 当分の間は治療を受けないといけないそうだ。」

「多分少し辛いだろうな。」
「そして少し苦痛だろうな。」

「正直、永遠に目を覚ましたくなかった。久し振りに長く眠れたからな。」
「だけど、消えていく意識の中で、誰かが俺を呼んだんだ。」

「懐かしいけど聞き慣れない声は、
 『あなたはダメ。ここでは死さえも私の許しが必要なの。』
 って言ったんだ。」

「そしてお前が俺を助けた。」
「虚しいことに俺はまた目が覚めた。」
「これからもこの場所は安全ではないだろうよ。」
「それは誰が努力しても叶わないことさ。」

「ともかく、結論が出たんだ。」
「生きろってことさ。」

「いかに苦痛しかない人生でも、一握りの可能性を求めて手に入れる。
 お前と、そして俺を呼んでいた声がそう望むなら。」
「仕方ないさ。気が済むまでやってみるさ。」

「本当は俺は最初からお前が気に入らなかったのは知ってたか?」
「だけど俺がお前を呼んだのかもしれないって、初めて思ってみたんだ。」
「お前は俺を壊しに来たと同時に、俺を救いに来たんだ。」

「見たところ、お前も俺と似たような状況みたいだな。」
「過去の業に囚われてるみたいだ。」

「俺が変わったわけじゃない。」
「お前が、いや…管理人がちゃんと見え始めたんだよ。」

ネツァク
安全チーム統括セフィラ・認知フィルター外の姿

苦痛しか無くても生き続けないといけない理由を聞かれたら、
まだちゃんと答えられねぇな。

目覚めさせたのはお前だけど
その後は俺が探さないといけないんだろうな。

俺はもう少しだけ勇気を出してみるさ。

それでもなお生き続けるって思うのは
俺には凄い勇気が要ることなんだ。

お前もまずは生きてみろよ。

俺なんかでも出来たんだ。
お前に出来ない訳無いだろ?


光の種 発芽 40%
≪生き続けるという勇気≫


 ティファレト Part5(暴走)

リサ
「お家に帰りたい…」
エノク
「…多分もう家には帰れないかもな。
 いっそここを新しい家だと思うしかない。」

リサ →
← エノク


リサ
「こんな場所が家なの?お家と全然違うじゃん!
 ママもいないし…」
エノク
「えっと…カルメンさんをママって思えばいいじゃないか?」
リサ
「ママと全然違うもん…お家に帰してよ…」

リサ
「ねぇ、なんでエノクはあの変な実験に参加したがるの?」
「私たちにそんな義務は無いでしょ?
 カルメンさんも自由に暮らしていいって言ってたじゃん。」

エノク
「もちろんここでお前と一緒に、何の心配もなく暮らせるなら良いけど…」
「だけど僕はこんな事を考えてしまうんだ。」

「何の心配もなく暮らせたら、そりゃあ幸せだろうさ。」
「でも、そうやって生きても何の意味もないと思うんだ…」
「今この瞬間も、外郭にいる子供は死んでいってるんだよ。」

「僕たちは凄く運が良くて生かされてるんだよ。」
「ここでただ楽に生きていくのが、僕が生まれた存在理由にはならない。」
「そうなっちゃいけないんだ。」

リサ
「難しくて何言ってるか分かんないよ!
 エノクはいっつもそんな難しいこと考えてるの?」
「エノクの考えすぎだよ、そのうち変になっちゃうかもよ…」

エノク
「実はなリサ、僕はいつも悲しかったんだ。」
「僕は自分の人生が一瞬も好きじゃなかった。」
「次があるなら、幸せな世界で生きれたら良いな…」

リサ
「エノク…体が痛いの?」

エノク
「…いいや。全然痛くないよ。」
「泣くなよ。次はきっといいことだらけさ。」

アンジェラ
「目覚めたわね。」
「ここはロボトミー社よ。そして、私があなたたちを目覚めさせた者。
 あなたたちは『ティファレト』よ。」
「あなたたちはここで素晴らしいことを遂行する私を補佐するのよ。」

ティファレトA
「なんで私たちの名前が一緒なの?」

アンジェラ
「あなたたちを区別する意味が無いから。」

ティファレトB
「初めまして、ティファレト。」

ティファレトA
「私ってミスばかりしてるみたい…
 どうしよう?ティファレト…」
ティファレトB
「僕が手伝ってあげるよ。
 きっともうすぐ一人でできるようになるさ。」

ティファレトA
「私たちがついに成し遂げたわ!
 他のセフィラたちもこんなに早く仕事は出来ないでしょうね!」
「もしかしたら私たちは最高のパートナーかもしれないわ!」
ティファレトB
「そうだね。僕もそう思うよ。」

ティファレトB
「なんでだろう…僕らはなぜここに『存在』するんだ?」
ティファレトA
「なんでそんなこと考えてるの?
 私たちは任せられた中央本部の仕事に集中すればいいじゃないの?」
ティファレトB
「僕らは普通の機械とは違う。」
「僕が君の事を考えたり、君が僕の事を考えるみたいに
  何かについて考えて苦悩してるんだ。
 僕らが存在するには必ずその理由があるはずだ。」
ティファレトA
「でも、そんなことを考えてるって
 アンジェラ様に知られたらすごく怒られるわ…」

ティファレトA
「アンジェラ様…ティファレトはこれからどうなっちゃうの…?」

アンジェラ
「今の彼の状態は正常ではないわ。
 それとは別に過ぎた疑問は管理人にも悪影響を及ぼすわね。」
「それだけは絶対に許されない。それだけは絶対に容認できない。
 だから元の状態に戻さないといけない。」
「大したことは無いわ。あなたたちが最初に目覚めた日に戻すだけよ。」

ティファレトA
「で、でも…アンジェラ様。
 ティファレトは今まで私と沢山過ごしてきたのに…」

アンジェラ
「そういうところは子供らしいのね、ティファレト。
 なら別れの挨拶でもしておきなさい、すぐまた会えるでしょうけど。」
(退場

ティファレトA
「ティファレト、ティファレト!ティファレト!」
ティファレトB
「どうしてそんなに泣いてるんだ?ティファレト。」
ティファレトA
「ごめんね!私、何もできなかったの…」
ティファレトB
「泣くなよ。次はきっといいことだらけさ。」
ティファレトA
「うん…」

ティファレトA
「ここに来るのは分かってたわ。」

「…私はたまにここで暇をつぶしたりしてるの。」
「ここは色んな事を考えさせるわ。」

「ティファレトはいつも私より高いところから世界を見てきたわ。」
「私には到底理解できない、そんな世界をね。」
「私たちはいつも一緒にいたけど、本当は同じ場所にいなかったのよ。」

「いつも一緒なのに、ずっと寂しい気持ちってどんなのか分かる?」
「ティファレトが言ってた存在理由なんて、私にはどうでもいいの。」
「ただ、二人で一緒に楽しく幸せに暮らしたかったの!
 それでよかったのよ!」

「でも、ここはそんな些細な幸せも許してくれないわ。」

「あなたも見えるでしょ?
 ここには無数のティファレトの死体が積まれているわ…」
「私はこの死体の山の上に立ってるの。」
「ティファレトとの思い出を、記憶を、
 一緒に過ごした時間を踏み躙りながら。」

「どんどん山は高くなるのに、まだ見えないのよ。
 ティファレトが見ていた世界が…」
「私はここで、ティファレトを哀悼してるの。
 ティファレトには届かない、故郷の歌を歌って。」
「あんたも一緒にどう?」

ティファレトB(登場
「ティファレト、ここで何してるの?」

ティファレトA
「うん…昔を思い出してるの。」
ティファレトB
「昔って何?」
ティファレトA
「私たちが一緒に過ごした幸せな日々よ。」
ティファレトB
「そうだね。あの時は幸せだったね。」
ティファレトA
「…。」
ティファレトB
「仕事だよ、ティファレト。僕は残った報告書を見ておくね。」
ティファレトA
「分かったわ。」

ティファレトA
「機械を交換して、重要な記憶を引き継いでも
 前のティファレトになる訳じゃないんでしょ!」

アンジェラ
「それは重要なことかしら?
 ティファレトは変わらない姿で、あなたに微笑みながら過ごすのよ?」
「これ以上消耗的な発言は控えるのね、ティファレト。
 ここではそんな話にはもう意味は無いのよ。」

ティファレトA
「…私、あんたのことが嫌いなの。」
「ティファレトは新しい管理人から、どんな形としても影響を受けたわ。
 結局それが原因でまた故障しちゃうの。」
「今までもそうだったし、これからもそうなるわ。」

「ティファレトはどんどん廃棄されていって、
 少しずつ昔のティファレトじゃなくなっていくわ。」
「私が一番怖いのは…ティファレトが過負荷に耐えられなくなって、
 殻だけになっちゃうことよ。」

「今はまだ昔の記憶を無理やり引き継がせて、私と仲良く喋ったり
 昔の思い出を思い返してる振りをしてるけど…」
「本当はどんどん不安定になっているの。
 不安定な機械を無理やり動かしてるからね。」

「本体はたくさんあるけど、魂はたった一つなの。」
「そのたった一つを、あんな……」

「…」

「あんたに一つ、お願いしたい事があるの。」

「今までも色んな仕事をこなしてきたんでしょ?」

「お願い。ティファレトを、完全に廃棄させてあげて。」

「アンジェラ様は二人である事に理由があって、
 二人で一つだって言ってるけど」
「私だけでも十分に中央本部の仕事が出来ることは
 とっくに証明されてるわ。」

「もう…ティファレトがこれ以上悪くなる前に…」
「いっそ、最初から一人だったことにして…」
「…ティファレトを、安らかに眠らせてあげて。」

「なんで何も言わないの?」
「アンジェラ様だって、本当は私たちの事なんて気にしてないのよ!」

「ティファレトが二人じゃなくて一人でも!
 残りの一つが何とか動いてるだけのガラクタになっても!
 倉庫に廃棄したティファレトがどれほど積まれても!」

「でもあんたは違うでしょ!少なくともあんたは!!」

A
外郭には捨てられた子供が多く存在した。
これは都市で起きた"翼"同士の紛争の結果の一つだ。

病と飢えを除くなら、子供たちの最大の天敵は『掃除屋』だ。
掃除屋は子供たちを食料にしたり、自分達と「同行」させたりしていた。
どちらにせよ子供たちには最悪の状況だった。

便利屋の一人が外郭の探索中に子供たちを発見した。
どんな心情で発見した事実をあえて我々に報告したのかは、
 十分に察することが出来た。
そして、その報告をするまでに多くの葛藤があったことも知っていた。

カルメンがその子らを連れてくるように言った。
外郭にいた子を都市に連れてくるには
 かなり複雑な手続きと準備が必要だったが、
 誰一人不満を言う者はいなかった。

二人の子供は血のつながりは無いが、より強い絆でつながっていた。
女の子の方は臆病で警戒心が強く、我々に心を許さなかったが、
 男の子の方は我々の実験に関心を持ち始めた。

私は彼の目を見た。
世界の不幸と絶望を知ってしまったその目は、
 もはや子供の目ではなかった。
『実験に参加するのを許可してほしい』という彼の願いに
 カルメンは幾つもの夜を悩み抜き、我々は…実験を許可した。


子供の手を取って、我々はどこに行こうとしたのだろうか。

リサ
「あんたが死ぬべきじゃないの!」

???
「そうね…私も…そう思うわ。」

リサの言葉は本心ではなかったかもしれない。
しかし、私は知っていた。

カルメンの返事は本心だった。
その日からカルメンは静かに傷を育てていった。

セフィラ崩壊によるクリファ顕現
セフィラコアの抑制が必要
【ミッション:ティファレトのコア抑制】



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