雑記:私が「ゲーム実況」を受け入れていった過程と変化

だらけです。

そもそも私は「ゲーム実況」というものにとても否定的でした。その根っこには「ゲームは商品だ」という気持ちが強くありました。つまり、ゲームはそれを買った人だけが遊べるものだ、体験できるものだ。それをお金を払ってない人が、よくわからない動画サイトでどこぞの者が喋って遊んでいるのを見ただけで「ゲームを遊んだのと同じ楽しみを味わえる」ということが、とても不平等に感じたからです。ゲーム会社にお金を落とさないなんて!という怒りの気持ちと、ゲームを遊んでいないのに、見ただけでゲームを遊んだような顔をするのが腹立たしいという気持ちですね。

とはいうものの、多くのゲーム実況動画が生まれていくと、そういった気持ちを持ちつつも、私にとっても魅力的に思えるゲーム実況動画が色々出てきて、そしてそれを見るようになっていきました。

どんな実況動画が面白かったのか、一つ目は「自分の知っているゲームを、他の人が楽しそうに遊んでいる動画」です。これは私自身がそのゲームの魅力をよく知っているだけに、他の人が自分が楽しんだのと同じところ、もしくは別のところで、あれこれ楽しさを見つけて楽しんでいる様子が、とても嬉しく楽しく思えたからです。友達とゲームの面白さを語り合う、あの感じに近いものがありました。
二つ目は「自分の知らないゲームを、その面白さをわかりやすく話してくれる動画」です。自分の趣味の感性や観測範囲外にあるゲームの面白さを教えてくれる動画は、実に新鮮で、動画をみた私はその面白さに引き付けられて、新しいゲームを買って自分で遊びたくなりました。
三つ目は「ゲーム実況をしているその人が面白いから」です。いわゆる実況者の遊び方、リアクションなどがとても面白いから見続けるもの。テレビのバラエティ番組を見て楽しむ感覚に近いものだといえるでしょう。

ここまで振り返ると、つまりは「ゲーム実況動画」で出来ることの面白さを網羅したような感じですが、自分でゲームプレイするとはまた違った魅力に引き込まれていったという感じになります。けれども、こうやって動画を見ることに対しての後ろめたさが消えたわけではありません。「ゲームは商品」という気持ちがある以上、ゲームを作ってくれる企業への後ろめたさは残ったままでした。

こうした気持ちに変化が起きたのは、企業が「ゲーム実況」に対してオープンな姿勢を徐々にとってきたことがあります。いわゆる「実況者」をイベントに呼んで、そのまま実況プレイしてもらったり、もしくはゲーム会社のイベントでそのまま出演者が実況プレイしてみるなどの催し物が行われるなどがあったこと。また以前は海賊版や違法ダウンロード等への対応もあり、動画サイトへのゲームコンテンツ関連の対応は厳しいものでしたが、動画サイトでのコンテンツ使用に関するガイドラインを策定する企業も出てくるなど、企業側からのゲーム実況への態度が緩和した流れがあります。

ここには様々な思惑があったと思いますが、私が感じたのは「ゲームは体感型のエンタテイメントだ」ということの再発見があったのではということです。例えばゲーム関連動画と同じような目で語られるものとして、テレビドラマや映画などがあります。これらが動画サイトへの転載等を厳しく罰している以上、ゲーム実況等も同じような立場であるべきではないかという取り組みがあってしかるべきだと感じていました。
しかしながら、ゲームはあくまで体験してその面白さがしっかりと伝わるものだ、ということなのだと思います。作られたゲームの作品としての魅力と、それを遊ぶプレイヤーの遊び方によって、ゲームそのものが持つ魅力が生まれるのではないか、ということです。
その立場から考えれば、「どうやってこのゲームの面白さに辿り着いてもらうか」ということが大切になってくるのも、わかるような気がします。もちろん、ゲームには様々なジャンルのものがあり、例えばRPGのような「遊ぶことで物語を体験してもらう」といったジャンルのものは、その物語のオチをネタバレされてしまう危険がある為、ゲーム実況動画との相性は決して良いものではないかもしれません。

ゲームは見るものではなく、遊ぶもの。いうならばテーマパークのアトラクションのように、自らが体験して初めてその魅力が伝わるもの。そのように考えれば、近年の「ゲームプレイの様子を多くの人に見てもらう機会を増やす」という流れは理解できるような気がします。動画サイトでゲーム実況プレイの生放送を行う人たちがいたり、ゲームの面白さを考察してそれを動画に仕立て上げる人もいる。もしくはe-Sportsのようにゲームの上手い人たちが真剣に勝負しているものを、コンテンツとして支援してゆく。とにかくゲームに触れる人を増やしていこうという大きな流れがあることが、健全なふうに感じてきた次第です。

こうやって変わっていくのは不思議な気持ちですが、その変化に常に敏感でいたいと思った次第でした。帰ったら私もまた「リングフィットアドベンチャー」で身体を鍛えて遊ぼうと思います。では。

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たくさんのゲーム音楽演奏会に参加して、たくさんレポートを書いてゆく予定です。