授業動画における合理的配慮

聴覚障害の学生

 非常勤先から,受講者に聴覚障害の学生がいるので配慮が必要,という連絡を受けていた。補聴器を使っているが,見せる配慮が必要なようだ。
 必要な配慮を考えてみた。
 まず,顔出しが必要だ。以前はスライドに音声だけをつけていたが,話している口もとが見えるように顔出し動画にする必要がある。話し方も,口をはっきり大きめに動かして,ゆっくりはっきり話すように気をつけなければならない。
 字幕もある方がいいらしい。

YouTubeの自動字幕

 私は授業動画をYouTubeにあげているが,YouTubeには自動字幕機能があるらしい。それが使えるかもしれないと思い,以前作った授業動画の一つで自動字幕を使ってみた。…が,これは精度がよくない。
 多分これは,私の滑舌が悪いためだろう。もともとあまりハキハキしゃべる方ではないという自覚はあるから,YouTubeのシステムのせいにはしにくい。
 自動生成された字幕は,内容がかなり怪しくて修正しなければ使い物にならない。その方法を求めてググったら,ヘルプに関連記事があった。字幕の文字データをダウンロードしてきて,システムが聞き間違えて変な変換になっている文字列を修正して,「あー」とか「えー」とか「えーと」とかの意味のない発声の文字を削り,もう一回アップロードする。こりゃなかなか大変だ。思ったよりもずっと手間暇がかかる。

字幕テキストの挿入

 授業を音声や動画として収録するようになって,自分の行き当たりばったりのしゃべりの聞きにくさに絶望していた私は,スライドの発表者ノートにしゃべることを全部書き出すようになっていた(これが授業準備にとても時間がかかる大きな理由)。このシナリオには,当然スライドの文字や図を表示するタイミングを示すキューも入れてある。それを見ながら,話し,スライドを操作して収録するわけである。
 このシナリオはスライド1枚ごとについているが,このテキストをスライドの1枚1枚からコピーしてきて一つのテキストファイルにまとめてやった。これを,YouTubeの字幕メニューでアップロードしてやると,少し時間はかかるがこのテキストを字幕として音声に合わせて割り振ってくれる。
 これだと誤変換などは起きないので,せいぜいテキストから自動的に削除されてしまう句読点やカギカッコなどを補ってやったり,字幕の改行や切り替えの位置の不自然なところを少し直してやったりするだけでよい。この字幕の改行や切り替えの位置の問題も,もとのテキストで一文ごとに改行を入れてやることでかなり不自然な改行が少なくなった。

当面はこれで

 当面は,このテキストアップロード方式で対応することになりそうだ。字幕でスライドの本文の一部が隠れてしまったりするという問題もなくはないが,とりあえずこれでやっていってみようと思う。
 もしかすると,字幕は聞こえる学生さんにとっても飛ばし聞をするときに必要かもしれないな,と思ったり。

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