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アークノヴァ:新たなる方舟【ルール読み】

エッセン2021のスカウトアクションで一位に輝いた注目作。来年初頭にはテンデイズゲームズから日本語版の発売が予定されているということで、BGGに公開されているルールとカードテキストを読んでみた。自分なりに理解したことを言語化し、まとめてみる。

注意:筆者は未プレイであり、本記事は公開されているルールから得た情報の整理と推測であるため、実際のプレイ感とは異なる可能性があります。

1.アクション選択の順番の最適化 ~いつまで溜めるか~

オールユニークのカードゲームで、手札からカードをプレイすることがゲームの中心かとも思われるが、そうではない。
カードを獲得するにも、プレイの前提条件を整えるのも、カードをプレイするのも、1ターン1回のアクションとして選択しなければならない。アクション選択は、5種類のアクションカードから1つを選択することによって行う。

プレイヤーボードの下には、左から右へ一列にX=1から5までのカード置き場があり、この数字が大きいほどアクションカードの性能が変わる。基本的には数字が大きいほど強くなると捉えて良い。選択したアクションカードはX=1のスロットに戻し、残りのカードは、空いたスロットを埋めるように1つずつ右へずらす。使われないカードほど強くなるということだ。

例えば初期の動物アクションはXの数に応じてプレイできる動物カードの数が変わる。X=1ではプレイできず、X=2~4のときは1枚、X=5のときは2枚プレイできる。X=5の動物カードを1回プレイするよりも、X=2の動物アクションを2回とした方が、動物カード1枚当たりのターン数は短いが、溜めたということは他のアクションを実行したということであり、またX=2のカードをプレイしてもX=1のアクションしか溜めることしかできないため、基本的にはX=5まで溜めた方が効果的だと思われる。

それではX=5のカードを使い続ければ良いかというと、そういうわけではないだろう。大は小を兼ねるものの、溜めすぎはターン数を無駄に消費する。
例えば初期の建築アクションはX以下のマス数の囲いを1つしか作ることしかできない。動物カードをプレイするには各カードが指定するマス数の囲いを作っておかなければならないが、3マスを要求する動物カードをプレイしたいなら、X=3の建築カードで囲いを作ればよく、X=5の建築カードで3マスの囲いを作ったならば、建築カードを2つ分余計に溜めていたということになる。同じ溜めでX=3の囲いをもう1つ作ることができた。

このように、ターン数を圧縮できるようにアクションを溜めつつ、しかし必要以上に溜めないようにするにはどういう順番でアクションを選択していったらよいか、ということを考え続けることになるだろう。

5種類のアクションはいずれも一回だけアップグレードすることができる(アクションカードを裏返す!)。
どのアップグレードもターン数を圧縮できるようになるが、溜めの融通が利くようになることも見過ごせない。すなわち、初期状態で溜めておいて損のないアクションは、カード引く枚数を増やすカードアクションと、動物カードをプレイする枚数を増やす動物アクション(プレイできる条件が整っていれば)の二種類だけであり、他の三種類のアクションは必要以上に溜めては無駄になるが、アップグレードするとこれらのアクションも融通が利くようになる。
例えばアップグレード後の建築アクションは合計Xまでのマス数の複数の建築を一度に行うことができるようになるため、建築アクションの溜めが無駄になりにくくなるだろう。手持ちの動物カードの指定がX=3の囲いであったとしても、X=5の建築カードはX=3の囲いと同時にX=2の囲い作ることができ、2マスを要求する動物カードのために割り当てることができるようになる。

2.得点方法 ~トラック上のレース~

メインボードの周囲には保存(conservation)トラックと魅力(appeal)トラックの2つのトラックがあり、それぞれのカウンターコマが互いに出会い、またすれ違うように進む。プレイヤーの得点は2つのトラックのカウンターがすれ違った後の距離である。

動物を招き入れて園の魅力を上げる一方、動物保護のための活動にも参画する。現代的な動物園の2つの役割を反映したテーマ性溢れる得点方法だ。

いずれかのプレイヤーの2つのトラック上のカウンターが出会うことがゲーム終了のトリガーであり、トラックの進捗が遅れれば得点はマイナスとなる可能性もある。ゲーム終了には各自の目標達成ボーナスとして保存トラックを進めることができるが、得られるボーナス最大でも保存トラックを8進めること(得点としては24点分)であるが、各自の目標は秘匿されているため、ゲーム終了時に何点伸びるかはプレイヤー本人以外にとっては不確定要素である。

つまり、自分の目標を狙いつつも、2つのトラックのカウンターをいかに早く進めるかという競争がこのゲームの肝となる。そして、いずれのトラックの進捗も、どれだけ多くのカードをプレイできるかということにかかっている。
結局、アクションの選択の順番をいかに最適化できたか、というゲームになるのではないだろうか。

3.カードのバランスは?

上に述べたとおり、基本的には自身のアクションの順番を最適化するゲームだと思われるが、オールユニークのカードゲームなので、各カードの能力がどのようなバランスで、ゲームにどのように影響するか、すなわち引き運に左右されないかは、実際にプレイしてみないと判断は難しい。

テラフォーミングマーズで取り入れられているようなブースタードラフトは初期手札にしか取り入れることができない。公開札から取得できる方法もあるが、伏せた山札からの引く場面の方が多いように見受けられる。

個人的に、引き運に左右されて構わないファミリーゲームと割り切るには、プレイ時間がミスマッチである。
今後出てくるであろう実際のプレイレビューに注目していきたい。

※画像は全てBGGから引用しました。

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