メイキング!
さて、この前の絵のメイキングです。
昨今のアニメを見ていると、美しい背景に目を奪われ、思わず「これ写真だろ」とツッコんでしまうことがありますが、それ、写真かも。写真を加工したやつ。デジタルで簡単に加工できます(今はAIとやらが全部やってくれるんだろうな)。もちろん美しく処理するには特有の技術が必要でしょうが、ゼロから描いたのでは作れない表現がある。時短にもなるでしょう。
いいなぁ、自分でもやってみたい。せっかく桜もきれいに咲いてるし……そうだ、桜並木を歩く女の子でも描いてみようか……などと妄想したオタクは、家族を連れ、カメラを手にお花見へ出かけたのでした。
初、ロケハン!
結局200枚か300枚くらい写真を撮りまして、こちらの写真をチョイス。もう散り始めですね。
この写真を背景として、作品を作っていきましょう。ちなみにお絵描きソフトは「プロクリエイト」を使ってます。
だだっ広い広場の桜もきれいですが、いい感じに写真を撮るのは難しいですね。奥行きのある構図にするため、川沿いの歩道を利用することにしました。
このペットボトルはなんだって? これはですね……と、その前にキャラクターを用意します。
「恋する小惑星」のイノちゃんに登場してもらいましょう。
公式絵、ポーズモデル集などを参考に想像を膨らませ、ポージング、髪型、服装などを決めていきます。
ペットボトルはこう使うんですね。2リットルのペットボトルはおよそ30センチ。イノちゃんはたぶん155センチくらいだからこんなもんだろ。
線画。
塗り。
う、うま……自分で描いたとは思えん。
さて、いつもならここで満足して終了ですが、今回はまだまだいきますよ。
元の写真を加工していきます。まずは明るさや彩度を調整。そのほか「トーンカーブ」だの「グラデーションマップ」だの機能がいろいろあってよく分からん。とりあえず試してみましょう。やってみる。そして調べる。その無限ループです。
桜はこんなにピンクじゃないけどイラストだしこんなもんかな。
次に遠近感を強調します。
遠景(画面内でいちばん遠い場所)を設定、切り抜いてぼかし(ガウスぼかし)、青のフィルターをかけます(青色系のレイヤーを「スクリーン」ではさむ)。遠い景色は空気の厚みによって青みが増すそうです(空気遠近法)。
中景(遠景よりも少し手前)を設定し、やはり少しだけぼかし、弱くフィルターをかけます。
ペットボトルがキャラの立ち位置です。そこにピントを合わせるイメージで、手前にある右下の草むらなどをぼかします(前ボケ)。
さらに、草の葉や木の柵の模様を「ぼかしツール」であいまいにします。適度に情報量を落とすことで、イラストとなじみやすくなるそうです。
ちょっと不自然なところもあるけど、今回はこれくらいにしておきましょう。知識もないのに細かいところにこだわったって時間の無駄です。先に進みましょう。
キャラを置いてみます。ペットボトルはキャラで隠しました。ロケハンではペットボトルありの写真となしの写真を撮っておいたほうがよさそうですね。
おぅ、いい感じだ。
あとは仕上げです。キャラの色を調整し、影を落とします。
そのままだとキャラがくっきりしすぎなので、「スクリーン」のレイヤーや「オーバーレイ」のレイヤーをはさんでキャラの色合いをぼんやりさせます。間に空気がある感じですね。
このへんはネット記事を参考にいろいろといじりました。今回は白っぽい色のスクリーンレイヤーと、紺色っぽい色のオーバーレイレイヤーを使い、適宜、色合いや不透明度を変更します。デジタルはあとから自由に調整できます。
ラスト、影です。
木漏れ日の表現はネットで調べてもよく分からなかったので自分で考えました。今回はプロクリエイトにデフォルトで入っている葉っぱの形のブラシを使って影をぽんぽんと置く感じで。そのままだと葉っぱ感が強く、ガウスぼかしでぼかしています。
また、地面にほんのり影を落としました。
よし、これで完成!
本当はさらに「差し込む光」や「舞い散る花びら」も置きたいけど……それは宿題にしましょう。靴もド下手だな。というか塗り方が分からん。それも宿題。
スクエア(正方形)のキャンバスで作画してきました。縦横比を変えて遊びましょう。横長・全身。
縦長・全身。背後に続く道と頭上の桜の花が強調されて見えますね。こっちのほうが断然いいな。
ちょいアップ。もも上。
アップで見るとポニテ部分の陰影が寂しいですね。アップにしたときは描き込みの密度を上げないとなんだな。
しかしめっちゃかわいいな。