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アニメのカタチ

Aパート、Bパート、Cパート……

アニメの骨組みを指した言葉です。業界用語から派生したのか、オタクのスラングだったのか。ご存知の方いらっしゃいますか? いつから、どのような経緯で使われているのか知りませんが、シンプルで便利な言葉ですよね。


現在われわれが鑑賞できる新規のテレビアニメ作品は、各話ごとに、以下のような構成をとるのが標準的です。

アバンタイトル
⇒ オープニングテーマ
⇒(CM)
⇒ Aパート
⇒(CM)
⇒ Bパート
⇒ エンディングテーマ
⇒ Cパート
⇒(CM)

30分の枠をきれいに埋める、まさに不動のカタチ。見ている側も、この形式で来ると分かっているから理解しやすい。いつものお弁当箱に、おかずとご飯が敷き詰められているような感覚。意図的にこのカタチを乱した回が来るとぞくぞくします。特に第1話、最終話の構成は注目ですよね。

このアニメのカタチに慣れていると、1時間枠のテレビドラマがどうにも長く、冗長に感じられてしまう。「ハコヅメ」は原作ファンなので今ドラマちょいちょい見てますが、まぁ頑張ってはいると思うけど、構成がやはり気になる。


アバンタイトル

アバン。フランス語の前置詞 avant(~の前に)から来るのでしょうか。タイトルコールの前に挿入されるプロローグ的な映像。数秒~数分。前回のおさらいだったり、今回の導入だったり。

比較的新しく、斬新な技法ですが(たとえばサザエさんにアバンはない)、近頃の作品では、アバンのない回は少なくなってきました。

視聴者を自然と作品世界に入り込ませる大切なパートです。


オープニングテーマ

OP。タイトルコール。作品世界にふさわしいアニメソングが、作品世界にふさわしいアニメーションとともに供されます。

視聴者の食欲を上げるためでしょう、アップテンポで疾走感のある曲が多く使用されます。少年バトルマンガならクールでちょっと不穏な。青春ものならしっとり切ない。かわいさを推す作品なら爽やかで元気いっぱいな楽曲が、90秒の持ち時間をぴたりと埋めてくれます。

OPアニメーションも見どころ多い。最近は、本編の内容に応じて毎回わずかに絵を変えたり、ちょっとしたメッセージを組み込んだりと、小洒落た仕掛けが施されることが増えています。楽しい。

何度も繰り返し聞かされるのもあって、もうその曲のメロディーラインが、作品そのものの思い出と結びついて離れないOP曲。ドラマや映画にも主題歌はありますが、アニメのようにしっかりと時間をとって曲が流れることはないですし、アニメ特有の文化かと思います。


Aパート⇒Bパート

作品の本体。前半がA、後半がBです。

通常は間にCMが挟まる。CM前後、すなわちAパートの終わり、Bパートの冒頭に、止め絵などとともにジングルが鳴らされることがあり、この部分をアイキャッチと呼びます。

AパートもBパートも約10分。この短い中で見事な起承転結が見られると、とてもうれしい。この回は苦労したんだなと思うときもしばしば。

尺というのは難しいです。


エンディングテーマ

ED。OPと対照的に、ゆったりと落ち着く楽曲が定番ですが、作品によっては明るくコミカルな曲も使用されます。スタッフ、キャスト紹介にも注目。

優れた作品の優れた回は、エンディングまで一分の隙もありません。視聴者を放心状態でEDまで導いてくれたら、その回は大成功です。

第1話、最終話、その他ここぞという山場の回では「特殊エンディング」が見られます。いくつかパターンがあり、

・OP曲をEDでかける。
・BパートラストのBGMとしてED曲をかぶせる。
・通常のED曲でない曲をEDでかける。

などが有名です。


Cパート

エンディングテーマのあとに、エピローグ的に挿入される数秒から数分の短い映像。いわばおまけ的なパートですが、実はその回のオチだったり、世界観の謎を解くピースが提示されたり、次回への引きだったりと、決して見逃せない。

見逃さないよう、残り時間を意識しましょう。EDも通常90秒です。それ以上の時間が残されたとき、なんらかのCパートが存在するはずです。


その他

・CMが約5分。OP、EDがそれぞれ90秒。30分枠とはいえ、アニメ本編は実質22分/1話です。尺をのばすために、OPやEDがあえてカットされることがあります。

・次回予告:ネタバレに配慮しているのか、作るのが手間なのか知りませんが、最近のアニメに次回予告はありません。せいぜい次回のサブタイトルがさらりと流れるのみ。「さ~て、来週のサザエさんは?」みたいなのはまずありません。

・エンドカード:最近の流行りでしょうか。さまざまなマンガ家やイラストレーターの先生が描いたその作品への応援イラストが、ラストに提示されることがあり、エンドカードと呼ばれています。

・提供絵:「この番組は、ご覧のスポンサーの提供で、お送りします」の背景の絵は、たいていアニメ本編の切り取りですが、たまにふざけたパロディーのような動画が出てきて面白い。

・CM:アニメのDVDや原作マンガのCMばかりなので、作品の一部のような気もしてしまいます。健康食品のCMなどもあるけれど、あれ見て喜ぶ層はアニメ見てないと思う。最近はテレビ放送でなくて有料配信サービスを利用することも多く、その場合CMを見ません。