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お絵描きと著作権

描き始めて間もない頃にこういう記事を上げました(懐かしい!)。

以降もときおり頭をよぎる著作権問題。絵のクオリティも確実に上がってきて、模写も二次創作も、どんどん描いていきたいこの頃。あらためて整理します。


二次創作は違法

まず基本的な前提として、コピー(スクショ・写真撮影含む)、トレス(トレース;元の絵をなぞって描く)、模写(元の絵を横に置いて見ながら描く)、二次創作(イラスト、マンガ、小説など媒体問わず)は、全て違法です。著作権法違反です。人のものを勝手に使ってあれこれしちゃダメってことです。


個人的使用はOK

ただし、自分で作るだけ作ってニヤニヤして、あとは机にしまったり、自室の棚に飾ったりするだけなら違法ではない。家族や友人に見せるのも大丈夫。

その他、なんかいろいろと許されています。


違法ではあるが見逃されている

SNSにアップしたり(私もこれをやっているわけですが)、あるいはコミケなどの場で「販売」したりすることは、個人的な使用を逸脱していますから違法です。しかし、この「違法」ってのがどういう意味合いなのかが問題。なんでみんなやってるの?

著作権法違反は「親告罪」だそうです。著作権を持っている作者が、「この人つかまえてください」と訴え出てはじめて罪になる。たとえば殺人は殺したその瞬間に罪になるけれど、著作権に違反してもただちに「罪」となるわけではない。逮捕もされないし、裁判にかけられたり、刑を科されたりすることもない。

私がぼっちちゃんの絵をnoteにアップした時点ではなんの罪にも問われないが、ぼっちざろっくの著作権を持つ人、おそらくは作者のはまじあき先生や芳文社が、「こいつをつかまえてくれ」と言えば罪になる。著作権を持っていない第三者には関係ない。グレーというよりは、白でもあり、また状況しだいで黒にもなるといった感じ。

これをどう考えるか。

親告罪だろうがなんだろうが、やっちゃいけないならやらない。それもいいでしょう。正しいです。ぐうの音も出ない。

若干のうしろめたさを感じながらも、度を越さない程度にやる。私もそうだし、他の多くの方々もそうでしょう。この程度で訴えられるわけねぇだろと高をくくっているところもたしかにあります。でも、みんなもやってるからいいよねと、あんまり開き直るのはよろしくないですね。お目こぼしされてるだけということを十分に認識するのがよい。謙虚に。

作品の世界観から外れた二次創作を発表する。これ、どうなんでしょうね。この前、大阪なんばのアニメイトに行ったら、上の階に同人誌をたくさん置いているお店があって、ちょっとのぞいてみたんです。健全なやつもたくさんありましたけど、奥のほうにですね……まぁここにはとても書いちゃいけない肌色多めのあれやこれやが並んでて……入ってはいけない魔境でした。許可が下りそうもない過激な二次創作。あれは著作権的にどういう扱いなのか。ひっそり(?)やってるからセーフなのか。

二次創作でお金儲けする。映画を勝手に短く編集した「ファスト映画」を配信してつかまった人たちがいましたが、あれは単に作って発表したからというより、それで大儲けしたから目をつけられた、という感じなのでしょう。中国やブラジルで、マンガやアニメを無料配信していたサイトが閉鎖に追い込まれた事件もありましたね。

というわけで、つかまらない程度にほどほどにやります、という結論は変わらないのですが。プロのイラストレーターや漫画家さんならともかく、素人が名もなき零細アカウントで細々と頑張っている分には大丈夫でしょう。それで罪や、社会的な道義性を問われてしまったら、まぁしょうがないとしか言えん。

実際、イラストレーターや漫画家さんも、けっこう模写や二次創作をツイートして評判になってたりするんですよね。全てが許可のもとやってるとは思えないですので、だからまぁ、微妙な問題なのです。


よくある「誤解」など

模写はよいがトレスはダメ:著作権の観点からはどちらもダメはダメでしょう。

そういえば「トレパク」という言葉があります。トレス+パクリでトレパク。イラストレーターや漫画家が、他人の作品の構図やコマ割りをマネて描いた際、「トレパク」として糾弾されることがあるようです。部分的にマネているだけでなく、数ページまるまる一緒、みたいなときに炎上するみたい。まぁトレパクについては、マネしているからというより、マネしたことを明らかにせず、「自分のもの」として発表している点に炎上ポイントがあるのでしょう。

二次創作はよいが模写やトレスはダメ:二次創作のほうが模写やトレスよりも罪悪感は少ない気がします。でも著作権的には同じでしょう。

「引用」だからOK:著作権法で「引用」はOKとされます。出典元を明示し、必要最低限の分量だけ、自分の論説を補強するために表示する行為が「引用」です。しかし、アニメのワンシーンや公式ホームページの画像をスクショしたものを、自身のブログやツイッターに貼ることが「引用」なのかどうかはよく分かりません。引用の主旨を考えれば、単に見栄えをよくしたいから、という理由だけでは不十分ではないかと思います。


出版社や作品によっては、独自に「二次創作ガイドライン」のようなものを設定して、「この範囲だったらいいですよ」と明示してくれている場合もありますね。むしろ積極的に活動して作品を宣伝してほしいという意図もあるのでしょう。

現代日本において、法令を守ることは何より優先されます。しかし、法の解釈や運用は時代や社会的要請によって変化しうる。「模写や二次創作をネットにアップすること」はいずれ厳しく規制されるのか。ひとりの描き手としてはそうならないようにと願っていますが、コンプラ重視の世の中で、今後一定のルールを策定する流れになることは十分ありえるでしょう。注視していきたいと思います。


NEW GAMEの5巻、表紙絵。キャラが複数いる絵もすんなり描けるようになってきたかな。

「これは模写です」「これは二次創作です」とことわっておくことは大事な気がします。でも最近、模写・二次創作とオリジナルの境もよく分からなくなってきたんですよね……それについてはまた機会があれば。