見出し画像

どこまで断熱するのが良いのか。

今年(正確には10月から)、断熱等級が4が最高等級だったものが、5、6、7まで引き上げられることになった。では、この先、8、9、10となるのだろうか。答えはそれ以上はないと考えるのが一般的である。断熱等級が7だとほぼ無暖房になるからである。無暖房が良いかと聞かれるとそこまでする必要はないのである。寒い時、暑い時に少しだけ冷暖房をすることが無理のない計画である。さて、この等級は断熱だけに特化している等級で、それだけで家のエネルギーが決めるわけではない。他にも色々な要素が住宅のエネルギー消費には関連している。

例えば、方位。南側に大きな窓があれば、冬季にはそれが暖房機の役割を担うくらいの熱を取り入れる。同じものが北側にあれば、熱が逃げていく。また、建物の気密、これは隙間風があるかないかの指標だが、これが違うと全然違う。いくら断熱が厚くなっても、隙間があってスカスカだと空気が動いて、寒さは防げない。やはりこれもコントロールする必要がある。あとは換気。新鮮な空気を取り入れる必要があるが、この回数もエネルギー量に大きく影響する。これら全ての要素を取り入れれれるのは、建物の㎡あたりのエネルギー量をあらわす kWh/㎡という単位になる。これらは断熱だけの時と同じようにシミュレーションで計算できる。ただし、これは敷地ごとに違う。または周囲の状況によっても違う。周りに建物がたくさん建っていれば、日射が取りにくくなる。

なぜ、あり方検討会ではこちらの数字を使わないで等級の議論をしたか。それは住宅業界全体の問題である、ハウスメーカーの型式認定というものが影響している。ハウスメーカーは構造計算など個別の計算をしなくてもいいように、こういう建物を作りますよという型式で認定をとっている。これを個別解にすると手間が大いに増えることになる。だから、ハウスメーカーがついていけなくなってしまう。それでは包括的にならないので、ある意味、議論のグレードを落として、共通解が得られることを目指したのである。このこと自体は悪くなかった。同じモノサシで建物が測れるようになったのである。

ただ、等級4ごときを高断熱高気密とう呼ぶのはやめてもらいたい。大したレベルでない誇大広告である。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?