岸田総理大臣の所信表明演説に失望した。
岸田内閣の政治的センスがわるいの一言に尽きる。岸田総理大臣の所信表明を後から、ちゃんと全部読んだ。はっきり言って、何を言っているのかわからないぼんやりとした話だったと思う。そう書くのは、今の政治にとっての、脱炭素化に対する法案を落として、国会に提出させたことだ。脱炭素にとって、宣言の次にするのは、建物の断熱化である。そこで住宅省エネ法は最も目玉になる目玉の政策だ。昨年から、タスクフォースが紛糾し、録画していたYOUtubeが4万9千回も再生されている、再エネタスクフォースから始まり、3省合同のあり方検討会で検討し、その結果を反映した法案である。COP26でも、脱炭素化の遅れが指摘され、石炭火力にアンモニアを混ぜればなんとかなる。と誤魔化し、結構それは相手にされなかったのに、引き続きこの体たらくである。(おもしろいのは37分ぐらいから)
https://www.youtube.com/watch?v=3tsyOZo0upk
本当に、だめだめである。
世界ではグリーンリカバリーと言って、そこに巨額の投資をし、産業を育成させるしたたかな作戦に出ている。これは官民も連携し、どうやってその中でのプレゼンスを取るか、凌ぎを削っていると言うのが、わかってないのか。(まあ、半日しかいなかったからわからなかったのだろうな、と思う。)センスが悪い。地球温暖化対策の今、を把握するには「脱炭素革命への挑戦」世界の潮流と日本の課題 堅達京子+NHK取材班 の本が良い。比較的冷静に先端的な企業の事例も交えて書かれている。
さて、その法案を国交省が準備していたのを、減らさせて提出させた。これが「センスがない」という以外、思いつくとすると悪意があるようにも感じてしまう。これ以上遅らせてどうするのか。
日本のエネルギーの3分の1は建物で使っている。それを減らすのは断熱をすれば減る。ところが今まで、いろんな事情でそれが進んでこなかった。日本は暖かいから断熱はいらないという思い込みがそうさせてきた。ヨーロッパの情報も見て見ぬふりをしてきた。そのつけが今、一気に吹き出している。ただでさえ、遅れてきたのをやっとの思いで、通常状態に近づけると思ってきたのに、ここでハシゴを外されるとは。
下の図はIEA(世界エネルギー機関)の作った2050年ゼロまでのロードマップとマイルストーンである。2025年には、化石燃料のボイラ販売終了。石炭火力発電の建設中止。2030年には、先進国の新築カーボンゼロ。自動車は60%が電動車に。世界はこれを前倒ししようとしている。建物の省エネ化は世界の中でもダントツに遅れているのだ。
国交省はあり方検討会をへて、ロードマップを策定した。ロードマップをほぼ初めて作ったと言える。そのことは評価できるが、その多くの対策は2030年から本格化する。世界では2030年までの8年が勝負と言われているのにである。このまま日本は停滞し続けるつもりだろうか。岸田さんのいう「新しい資本主義」は具体的に何を言っているのが不明だ。成長は新しいことに投資し、その産業が伸びることで利益(ベネフィット)を産み出す。建物の省エネは快適な空間を作り、その需要は増す。誰もが快適な家で過ごしたい。そういう成長する可能性のある部分にきちんと向き合い投資すべきだと思う。
なかなか厳しい状況に早く気がついてほしい。
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