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JIAでのカーボンニュートラルへの議論

(今日は建築家の方たちへ向けて少しきつめです。)

能代の西方先生とお会いした時に、JIAでカーボンニュートラルの話をしている中で、アンチ太陽光発電の方が非常に多いと聞いた。私もそう感じているので、そのことについて一言申し上げたい。

まずはいくつかの確認を。

①地球温暖化問題は喫緊の非常に重要な問題で、今までとは違い、社会全体でCO2の削減をするが必要なこと。
②日本は2050年までに脱炭素を実現することについて異論がないこと。
③建築でエネルギーを減らすことはできること。
④建築でエネルギーを作る方法はあまりなく、太陽光発電はその一つであること。

さて、以上の前提が崩れると議論が成立しなくなってしまう。ひょっとすると、温暖化懐疑論とか温暖化陰謀論の人もいるかもしれない。まあ、キリがないからその辺はもう相手にしない。

建築の歴史を一旦整理したい。建築は時代の産業の上に成り立つ。鉄骨やガラスやコンクリートができることになって、近代建築が発展した。社会の変化や時代の要請によって、潮流を持ちながらさまざまな建築を作ってきた。ならば、この地球温暖化の流れに呼応しながら建築は作られ、その表現が次の建築を作っていく。

世界にはいろんな建築家がいて、それぞれが色々なことをやっている。ドイツのヘルマンカウフマンは断熱に優れた木材を豊富に使った建物を設計している。高層ビルの設計も行なっている。断熱に優れているかどうか見た目にはわからないが、作品集に平米当たりのエネルギー消費量が小さく書かれている。わざわざ主張すべきではないけど、やっているというサインである。チリのアラヴェナは空調のいらない大きなコンクリートの塊で蓄熱をとるような建物を作っている。シンガポールのWoHAはトリプルガラスのビルは建てたくないと考え、建物の周囲に緑を生やし、消費エネルギーを抑えている。ヨーロッパで建てている建築家は、EU司令に従っているのであれば、基本的にゼロエネルギーである。ノーマンフォスターはBBCのインタビューで、「温暖化に答えながら、建築をデザインするのは大変でしょう」という質問に対して「そんなことは大変と思ったことはない。むしろ、それを前提としながら新しい建築を作ることが建築家の使命だ」という意味のことを言っていていた。流石である。

さて、日本に戻って、いろんな建築家の議論を聞いているとちょっと呆れる。まあ、建築が何にもしなくても、日本で作るエネルギーが全て再生可能エネルギーになれば、何もしなくて良いのである。これに近い国はあって、アイスランドのような国がそうだ。アイスランドは地熱100%の国で、そこで電気を作りまくれるから、家の断熱なんて大したことはない。ガンガン電気で建物を暖めている。でも、日本ではそんなことは無理でしょう。東北の地震で福島あたりの火力発電所が止まっただけで、電力逼迫と騒ぐ国である。

2050年、いや世界の国々からは「2030年に石炭火力発電をなくせ。」と言われているのが日本なのをご存知だろうか。今、よく言われる洋上風力は2030年からの実用化しか目処が立っていないことをご存知だろうか。

日本のエネルギーの3分の1を使っているのは、住宅・建築の分野である。その分野を引っ張る建築家協会(JIA)はそういう意味で責任が重いと思う。私は住宅はそのエネルギーを自給すべきと考える。だから、当然屋根に太陽光発電が載るべきだと思っている。

もう少し、普通にちゃんと考えたらどうか。脱炭素社会が何を意味し、建築がそれにどう貢献できるか考えるべきである。


もし、そういう方と議論をするならオルタナティブを出して欲しい。そうでなければ、ただの駄々っ子の集まりである。社会的意義を掲げながら、社会的責任を全うしないから、社会から軽んじられてもしょうがない。そんな組織は不要である。





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