日本の自動車会社は自動車を売るだけの会社のままなのか。
昨年のあり方検討会でご一緒させていただいた経済学者の諸富徹さんの著書「新しい資本主義の形」で、現在の産業の主軸はハードからソフトに移っているにもかかわらず、日本はものづくりにこだわりすぎて、成長できていない。脱炭素社会への対応をきっかけとして、ものだけではなくそのあり方やソフトに産業を振り分ける必要があるのではないかと書かれていた。
さて、今日は日本のメインの産業である自動車産業の可能性とその対応の遅さを、FMラジオの連休の特別番組、具体的にいうとJーWAVEのホリデースペシャルを聞いて、そのスポンサーがヒュンデだったこともふくめ、なんか日本のクルマメーカーは大丈夫かなあと思ったので、文章を描いてみた。
さて、さて、
自動車産業は脱炭素社会、あるいは未来に何を見ているか、ダイムラーベンツが考えた概念、CASEがある。
C Connected コネクテッド
A Autonomous 自動運転
S Share & Service シェアとサービスとしてのクルマ
E Electric 電動化
の略語である。コネクテッドは全ての車がインターネットにつながり、渋滞の予想もほぼできるようになるというもの。(すでにその恩恵受けている。)
シェアとサービスに関しては、クルマ自体を個人が所有する時代は終わり、社会で持ち合うようになるというもの。自動運転はテスラが相当得意だし、ヨーロッパではどんどん電動化が進んでいる。サービスやシェアに関してはダイムラーベンツは別会社を設立し、個人にクルマをうるというオルタナティブを提出している。自動車会社、自らがその方向性を考えているということなのだ。もちろん、トヨタもKINTOというリースで、所有の概念をひっくり返すようなことをやっているが、クルマ社会の概念を覆すようなイメージには程遠い。
一方、ヨーロッパの都市はウォーカブルな都市を目指し、町の中心部にクルマを入れないようにしつつある。都市間の交通は高速道路も発達しているから、すぐにクルマがなくなるわけではないが、中心市街地の中まで車に頼っているというわけではない。パリなども自転車レーンができたり、シャンゼリゼを緑の歩行空間にしたりと色んな変化が見られる。
さて、JーWAVEのホリデースペシャルは、ヒョンデ(昔はヒュンダイといった)のイオニック5というゼロエミッションビークルの宣伝番組だった。原宿にお店を構え、サスティナブルな材料、例えば植物由来の材料や塗料などを使い、ゼロミッション。電気で走りV2Hで、非常時には家の電源に繋げる。売り方もテスラっぽくって、試乗するのもサブスクで、友人を紹介すると、そのサブスク料金が安くなるというものだった。この辺の話は、ラジオを聞きながらなるほどねーと思って聞いていたので、正確さに書くかもしれないが、概ねは合っていると思う。家人に聞くとなんとBTSが応援していて、それだけで若い女性が原宿のショールームに集まっているそうなのである。
なるほど。
それ自体の話はテスラみたいだなとか、いろいろツッコミどころは多々あるのだが、冒頭の諸富先生のハード産業をソフト産業にする点での、日本の自動車メーカーの後進性が非常に気になった。
簡単にいうと、グループ会社にトヨタホームまで持っているトヨタは、さっさと太陽光発電を乗せることとして、V2H のコンセントを持ち、家で発電をして、それを自動車に貯め、動く時はそれを使い、ネットワークする技術を合わせて、電力自給の町を作り、そのモデルを全世界に売るとすると、自動車というハードだけではなく、そういうライフスタイルを売る会社に脱皮できると思う。
この話は、実はGoogleもテスラもみんな考えている。テスラはテスラウォールという蓄電池を家に入れたり、太陽光発電の屋根を考えていたりする。(失敗、あるいは様子見だと思う)Googleはホームオートメーションにやたら熱心だ。(これもあまりうまく一定なんじゃないかな)
壮大なパズルを解けるカンパニーになれるのになあと思う。
とここまで書いて、トヨタが現在持っていないピースがあった。それは建物の省エネルギーに関しての知見が低いことである。どうしたら、どのくらいの性能にしたら、家のエネルギーの自給ができるか実感として持っていないのではないかと勘ぐってしまう。
そのピースさえあれば、最強になるのに。。。と思う。
そうなればトヨタは安泰だと思うが、そうなれないと終わっていくように思う。私自身は愛・地球博のトヨタパビリオンの設計をさせてもらい、会社としてファンなので、なんとかしてもらいたいなあと思っている。
ゴールデンウィークなので、多少誇大妄想気味な文章になってしまった。お付き合いいただき感謝である。
タイトル写真はフライブルグのヴォーヴァン地区。住宅地は中心市街地から離れているが路面電車が頻繁に走っている。軌道は騒音対策のために緑化されている。駐車場は住宅地の対角線に位置するところにまとめられ、住宅地の中で徒歩、自転車の空間になっている。
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