アレンジクロノ「回想シーン」リライト


【兵士は重い武器と鎧を装備している。逃げるのには有利な条件は揃っていた。】という文脈以降の回想シーンを以下の内容に変える。

ルッカから無線機を渡されたクロノ。テレポート装置にテスターが入る度、装置から変な匂いや異音がしないか等のトラブルの兆候や装置にテスターの落とし物はないか等のチェックをしていた。問題がないと判断する都度、それを無線でルッカに報告する。それがクロノの夏休みバイトだった。


そのクロノが被験者の一人と共に空間の裂け目に呑み込まれてしまった。ルッカは青ざめた。この転送テストは全世界に同時生中継されていて各国政府や国連も強い感心を抱いていた。

今世紀最大の発明の披露と共に最大のトラブルを披露してしまった。会場にどう言い訳(説明)しようか悩んでいたルッカは、ワシントン大統領を思い出した。ワシントンは父親の大切にしていた桜の木を斬るも堂々と自分がやったと告白することで正直者と大物感を演出し許された。とされる。

ルッカは叫んだ。『失敗は成功の元なのよ!サイエンスに失敗はつきものなのよ!』

幸いクロノと被験者の死体は見つかってない!殺人罪は適応されない! 怯えなくていいのだ!そうルッカは自分に言い聞かせて平静を保った。


ルッカは二人が消えた瞬間を冷静に思い出していた。まるで映画の様なワンシーンだった。空間の裂け目がどこか異世界に通じているとしたら? もしそうなら更なるサイエンスの発見である。事故の際にペンダントが異常反応し、転送装置の出力が振り切れてショートした事を思い出したルッカ。

そのペンダントはちょうど空間の裂け目があった場所の地面に落ちていた。


ルッカはペンダントの石の成分、波長に原因があるのではないかと思った。転送装置は、あらゆる貴金属を試していて危険は無い事が判明していたが、未知の金属に関しては例外であり検証できなかった。

それを検証する為に、転送装置の出力を限りなく0にするところから始めた。ペンダントがゲートの先に吸い込まれない様に紐で結びつけて一回目の実験をした。電力出力が少しでもあれば同様のゲートを再現できる事が判明する。つまり携帯可能な小型の転送装置でもゲートの再現は可能になり、仮に向こう側の世界に電力設備がなくてもゲートを開いて戻ってくる事も可能なのかもしれない。

ルッカはペンダントと小型の転送装置を合体した物(ゲートホルダー)を作った。小型の転送装置は大型機を作る為の模擬機(サンプル機)として、以前作っていたので、それを流用した。自宅に置いてあったのでタバンに取りに行くようにお願いした。

30分後、サンプル機は到着し、ゲートホルダー試作機が完成した。

ゲートホルダーでゲートを開け続けながら、カメラ付きのドローンを入れる。温度計や酸素チェッカー、放射能測定器も備え、向こう側が安全な世界なのかを確認してみた。安全そうなので、入ってみることに。

ルッカはドキドキしていた。実験の最中の一部始終をテレビで全世界に報道されている事。カメラ写りを気にして髪をかき上げたり、カメラ目線のままゲートに入った。


後ろ向きでゲートに入ったせいで、魔族が目の前にいるとは気付かなかった
青いエイリアンと目が合い、絶叫した。
その声のデカさに青いエイリアンも絶叫した。驚いたエイリアンは茂みに隠れた。


ルッカはすぐさま千年祭会場に戻った。異世界で見た状況をマスコミに伝えるべきか悩んだ。クロノとマールがエイリアンに殺されているとしたら自身の責任問題になりかねない。今の状況でそれを公言する勇気はルッカにはなかった。


ゲートの先には危険な生物がいる。武器になるものはないか探したルッカ。千年祭会場にいた刀鍛冶屋さんで日本刀を購入(身分証提示義務あり)しつつ、。サバゲーショップでエアガン(威力が高い物、身分証必要になる)も手に入れた。クロノを捜すのに必要になるだろう無線電波増幅装置も買っておいた(無線機ブースにて)

リュックにはゲートホルダーが壊れた際の修理に必要な工具類が一式入っている。ドリルや半だごて、工業オイルスプレー等、多様なものが入って10kgを背負う。

足りないものというより、あったほうが便利かもしれない双眼鏡を会場にいたルッカファンの一人から手に入れた。

クロノがゲートに入って2時間が経過していた。この間、マスコミや野次馬らは天才ルッカを信じて挙動不審なルッカの行動も温かく見守っていた。しかし現代に生き残っていたコウモリ魔族は違った。ルッカが準備をしている間にゲートの中に入る準備をしていた。コウモリはルッカがゲートに入る隙をついて自身もゲートに入った。このコウモリ魔族は絶滅していく魔族の歴史を変える決断をするのだった。

ルッカは刀を背負い、エアガンを構えて、さっきのエイリアン(魔族)に警戒しながらゲートに入る。魔族はルッカの様子を伺いながながら距離をとりながらついてくる。


滝の音がする。ルッカには見覚えのある風景だった。トルースの山の滝にそっくりだった。風景も良くに似ている。トルース山だとしたらガルディア城もここから見えるはず。


城下の景色はいつもの違う。道路と車がない。このガルディアは煉瓦調子の道で車の代わりに馬や馬車が走っている。双眼鏡を覗くと、人々の姿は中世紀頃の服装をしている。

ルッカの格好は現代的なスーツ姿だった。中世の時代に浮いている。このまま山を降りれば人々から不審者扱いされかねない。

もし 中世紀頃のガルディアであるなら、ヨーロッパ各地で起きた黒死病(ペスト)の流行の影響を受けているかもしれない。ルッカの知るガルディアの歴史でも国内はペストの影響により経済危機にみわわれ、飢餓で餓死者を多くだしていた。もしそうなら治安も悪い事が推測される。

だが街並みをみる限り、餓死者がいる様には見えないし、衛生状態も良さそうでペストが流行した形跡がある様にも見えない。

人口の三割がペストで死んだとされるので、もしそうなら沢山の墓があるばすである。

ルッカの考察は【あくまでここが過去のガルディアであるならば】である。エイリアン(魔族)がいる世界であるから別世界であり、歴史は地続きではないと思っている。

ルッカはリュックから無線電波増幅装置を取り出してバッテリーに繋いだ。クロノが持っている筈だろう無線と繋がる事を期待して言葉を投げ掛ける。

無事に繋がる無線。話を聞くとクロノは街中を逃亡中だった。更に詳しい話を聞くと、ルッカはマールがこの世界の王妃の子孫である事を考察した。マールを助けるには行方不明になっている王妃を探し出さないといけない。ルッカは王妃がどこにいるかを考えた。

もし自分が王妃だとしたら、王家のしがらみが苦しくて逃げ出して、どこかに保護を求めるかもしれない。修道院は世捨て人が集まる場所であり、身分を隠して王妃が逃げ込むという事もあるかもしれない。その王妃を王家に連れ戻せば、マールは無事に生まれる事ができる。ルッカが考察したのは、あくまでもこの世界が歴史で地続きでありタイムトラベルをした前提での事だった。
ペストは流行っていなさそうだし魔族もいる。歴史の辻褄が全く合ってない。

それともルッカの知るガルディアの歴史、世界の歴史がそもそものが間違っている可能性。ペストは流行らず、魔族は存在したが、その事実を世界は隠蔽した。

ルッカはあれこれと疑問を抱きながら、教会にてクロノと合流する為、山を降りた。
ルッカもクロノと同じように、こっそりと民家の庭に忍び込み、服を調達する。

とある家の庭でセンスのいい服を発見したルッカ。防具になりそうなヘルメットと防弾ベスト的なスーツ(原作のルッカの衣装的なものを)を発見し、拝借した。そこはルッカの先祖の庭であったが、ルッカがその事に気付くことはなかった。


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