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医事課の業務改善物語(現在進行形)③ただただ聴く

これは医療機関の医事課改革を命じられた一人の業務改善職の物語です。
事実をベースにフィクションを織り交ぜて進行していきます。
そして、物語は現在進行形です。
グッドエンドか、バッドエンドか、まだ誰にもわかりません。

話しを聞こう

医事課の改革といっても、何をすればいいのか…
何はともあれ、まずは当人たちの話しを聞くことからはじめました。

私「今の気持ちを聞かせてもらってもいいですか?」

(>_<)「自分たちの体力的にも今の働き方は限界!」
(´・_・`)「なんで人が辞めていくのか原因がわからない…人を育てる自信がないんです…」
(-"-)「自分が必死で仕事をこなせるように作り上げた今のやり方、どうやって引き継げばいいかわからないよ」
(´・_・`)「現状の業務でっぱいで業務を整理して受け渡す時間が取れないな」
(@_@)「何かを決める手順が決まっていないので物事がすすまない!」
等々、話をしてくれました。

その内容は自信喪失・混乱・不安等…そうです、医事課自身も困っているのです。

これは部分的に業務効率化しても解決しない根深い問題だと感じました。
一度医事課の全ての業務を洗い出して、整理して、可能なところはICT化して同時に属人化を防ぐ、といったように全体的な改善が必要だなと。

人間は自分の声を自分で聞く

話しをしてから10日ほど後、レセプト業務が落ち着いたころに話しかけました。

私「この前の件、少し具体的に話をしていきましょうか?」
(´・_・`)「ん?はぁ…」

おや?なんだかつれない返事だなと感じた私は質問してみました

私「ところで、そもそもなんで今回業務改善するんでしたっけ?」
(-"-)「…わかりません」

…なるほど。それではと聞き方を変えてみました。

私「今、皆さんが困っている事を教えてもらっていいですか?」
(>_<)「あぁ、それならかくかくしかじか」

この前話をしてくれた内容をなぞりながら、話は進んでいきます。
同じ分野の話を繰り返す度により詳細に話をしてくれます。
時間的に2時間半程度、繰り返し繰り返し話を聴いた頃でしょうか。

('_')「…もしかしたらあの時の対応を〇〇のように変えたらよかったのかもしれない」
(´・_・`)「仕事のこの部分は、あの人に振ればお互い時間が捻出できるのかもしれない…」

医事課さん達が自分たちの状況を自分たちで繰り返し話をするうちに、課題について客観視できた瞬間が訪れたのです。

これは私が誘導したわけでもありませんし、何かのノウハウでもないし、再現性のない現象です。

でも、人は自分の課題について自分で語りだす事で、自分の現状を、自分の行ってきたことを振り返る事ができるのかもしれません。

同じ話を繰り返し聞く。これは平面上の同じ位置をグルグル回っているのではなく、聞けば聞くほど自己覚知に近づく螺旋階段のようなものだと感じた体験でした。

次回は少し具体的な取り組みについてお話していきたいと思います。

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