普通の風邪と今回のコロナは何が違うか

 自分は医療関係者でも無ければ詳しい人間でも特にない為、あくまで一個人の感慨や私見でしかありません。それでも、自分の見解を見てみたいという奇特な方のみご覧下さい。


(あくまで、家族や知人が誤情報に惑わされにくくなるようにと、まとめたnoteです)


 一般的な情報や疑問に対するQ&A等は、厚労省サイト等にまとまってます。そちらを先ず一読した方が良いです。



 結論から書くと、現状は平時での臨床データが不足しており、他感染症との単純な比較は難しいです。(あくまで、旧来のコロナウィルスやMERS、SARS1、新型インフル等との経緯と比較した推論の域を出ない)

 その上で現在時点で出ている統計や医療系レポートの記述/論文等をなるべく抑えながら、SARS2(SARS-CoV-2)と旧来のコロナウィルス(CoV)らとの差異を考えてみたいと思います。

ウィルス性疾患とは?

・一般的に菌やウィルスは、血清型によって有効な免疫抗原が変わり、この対応を便宜的に「型」と言う
・一般的にウィルス性疾患は、何度でも繰り返し罹る事がある(但し、免疫を獲得していく事で、基本的には弱毒化していく)
・一般的な感染症では、幼児期から何度も繰り返し疾患している事で免疫記憶により対応できる抗原種も増え、効率よく反応できるようになっている

・新型の風邪ウィルス(RNAウィルス)は毎年何種類も出現している、RNAウィルスは増殖の際に遺伝子配列のコピーミスが起こり易く変異し易い
・新型は旧来獲得していた免疫が機能せず、同様に従来のワクチンなども効かない為、免疫獲得まで時間がかかり長引く結果となりやすい
・抗ウィルス薬はウィルスを消滅させるものでなく、増殖を抑える薬である
 → あくまで人体が免疫を獲得するまでの時間稼ぎ

そもそも肺炎とは?

国内だけで例年であれば、10万人強が亡くなる(打ち分けは、持病があるなどの高リスク者が多く、高齢者世代が中心)
・インフルエンザや、その他風邪ウィルス/菌疾患からの合併症として肺炎になるケースも多い(誤嚥性肺炎など)
・既に何かの疾患や持病などがあり、免疫力が低下していると致命率が高くなり危険な疾患となりやすい

風邪とは

風邪(かぜ)は、正式には「風邪症候群」といって、上気道(鼻やのど)の急性炎症の総称です。原因微生物の約90% はウイルスが占めており、残りの約10%は細菌、マイコプラズマ、クラミジアなどウイルス以外による感染です。
風邪(かぜ)ウイルスの数は200種類以上といわれており、どのウイルスが原因で起こったのかを特定することは困難です。また、同じウイルスでもいくつもの型があり、それが年々変異します。
このため、一度感染したウイルスに対抗する免疫ができたとしても、次々に新しいウイルスに感染するため、繰り返し風邪(かぜ)をひいてしまいます。
細菌による二次感染や合併症が起こることも

人が1年間に風邪(かぜ)をひく回数は平均3~6回です。風邪(かぜ)は4日から1週間程度で治ることが多く、発熱が3日以上続くことはほとんどありません。しかし、風邪(かぜ)をひいている間に別の細菌に二次感染し、色のついたたんが出たり熱が続いたりすることもあります。
また、風邪(かぜ)がきっかけになって中耳炎や副鼻腔炎、さらに気管支炎、肺炎、脳症などの合併症を引き起こすこともあります。
また、抵抗力の弱い子供や高齢者の場合、風邪(かぜ)をひく回数は多くなる傾向があります。
風邪(かぜ)を引き起こす主なウイルス(インフルエンザ以外)

・ライノウイルス - 風邪(かぜ)の原因の約30~40%を占めるのがこのウイルス。秋や春に多く、主に鼻風邪(かぜ)を引き起こす。

・コロナウイルス - ライノウイルスの次に多く、主に冬に流行する。鼻やのどの症状を起こす。

・RSウイルス - 年間通じて流行するが冬に多い。乳幼児に感染すると気管支炎や肺炎を起こす場合がある。

・パラインフルエンザウイルス - 鼻やのどの風邪(かぜ)を起こすウイルスで、子供に感染すると大人より重症になりやすい。秋に流行する型と春~夏に流行する型がある。

・アデノウイルス - 冬から夏にかけて多い。プール熱の原因もこのウイルス。咽頭炎や気管支炎、結膜炎なども起こす。

・エンテロウイルス - 夏に流行するウイルス。風邪(かぜ)の症状のほか下痢を起こしたりする。

CoV(コロナウィルス)の特徴

・CoVはエンベロープ(外側の膜状構造)を持つ為、消毒用アルコールは効き易い
・ウィルスには、DNAウィルス(ゲノムのコピーミスを防ぐ機構がある)とRNAウィルス(ゲノムのコピーミスが多く、その分変異が早い)があり、CoVは後者となる
・一般的なCoVによる感冒は冬季流行性である
J-STAGE 特集 Positive Strand RNA Virus のウイルス学  3.コロナウィルス

CoVはアーテリウイルスと共にニドウイルス目に属するウイルスであり,ゲノムは約 30 kb(+)鎖でエンベロープを持つ RNA ウイルスである.
CoV の多くは,家畜,ペットなどに,主に消化器系と呼吸器系の疾病を引き起起こす

・但し、本来であれば動物とヒトがそれぞれ罹るCoVは別物である

コロナウイルス(CoV)は,SARS アウトブレーク以前は, ヒトの鼻風邪の原因ウイルスの一つとして知られているに すぎず,ヒトに重症の疾患を引き起こすウイルスがなかっ たため医学領域での研究は限られていた.一方,家畜のウ イルス性疾病としては大きな問題となるウイルスが多く, 畜産国では盛んに研究がなされていた.
SARS 勃発を機と して 1),CoV は医学領域に限らず多く分野で盛んに研究 がなされるようになった.特に,SARS に関係する研究は現在も続いていて,SARS-CoV 発見後には,人から呼吸 器病の原因 CoV が幾つか分離されたり 2),また,キクガ シラコウモリから SARS-CoV 様のウイルス遺伝子が見つ かったことから 3),コウモリが SARS のレゼルボアとし て有力となり,多くの CoV がコウモリから見つかってい る 4).残念ながら,培養細胞で増殖可能な CoV のコウモ リからの分離には至っていない.

SARS1(SARS-CoV)をおさらい

・中国を中心に8,096人が感染、内774人が死亡
・2002年11月16日の中国の症例に始まり、台湾の症例を最後に、2003年7月5日にWHOによって終息宣言が出された
・終息はしたものの、なぜ終息したかは不明とされている
・元々のCoVは冬季流行性である為、終息時期を鑑みてそれを受け継いでいるという仮説もある
・感染者の内1,707人(21%)が医療従事者である事から、医療施設、介護施設などヒト−ヒトの接触が密な場合に集団発生の可能性が高いと推測されている
・SARS-CoVでは、一般的なCoVと細胞侵入機構が違うというレポートもある → ウイルス第56巻 第2号 2. コロナウイルスの細胞侵入機構:病原性発現との関連

SARS2(SARS-CoV-2)では

武漢初期の臨床レポートやデータは、パニック状態で医療リソースが不足した状態(平時ではない偏ったデータ)と見做した方が良さそう
SARS1同様、院内感染の横行により、院内に存在した免疫低下した高リスクグループに疾患し死亡率が平時よりも増加した可能性が高い
・実際、医療リソースが充足した(?)現状の武漢での推移は初期とは全く違う経過を見せている
NHK News : WHO調査報告書 症状の特徴・致死率など詳しい分析明らかに

ことし1月1日から10日までに発病した患者の致死率は17.3%となっているのに対し、2月1日以降に発病した患者の致死率は0.7%と低く、感染拡大に伴って医療水準が向上した結果だと分析

・しかし、データから可能性としてインフルエンザの2〜4倍の致命率がある事は否めない(のでワーストケースを用いて扱う方が安全ではある)
・また、終息を早めたり後の経済復興を考えると、初期感染者数を抑える事はそれなりに重要と思われる
・感染力/再生産数に関しては、今の所インフルエンザとそこまで大差ないかそれよりも多少なり上というレポートが多い
・だが、風邪症状すら無い無症候キャリアも少なくない為、それが感染拡大に寄与しているとする専門家もいる(但し、一般的な上気道における疾患において、咳等の症状が見られない場合の感染率は極めて低いとされている)

(3/23追記)

コロナウイルスはRNAウイルスでは例外的に変異を起こしにくい。校正機能を有する酵素を持つので,変異が起きても,それを除去して正しく遺伝子を複製する(ライノ,インフルなど一般的なRNAウィルスに比べると変異しづらい)
一般的なウィルス感染症(インフルエンザなど)では飛沫感染は2m離れると感染しないとされている
しかし,湿気のある密室では空中に浮遊するエアロゾル中のウイルスは乾燥を免れるため,驚くことに,秒単位から1分ではなく,数分から30分程度,感染性を保持する
インフルエンザと同様の飛沫感染については,先に述べたように,咳やくしゃみの飛沫だけでなく,呼気の87%を占める1μm以下のエアロゾルも感染性を有すると考えられる11)が,コロナウイルスは,細胞中で産生されるウイルス量がインフルエンザウイルスの約100分の1であることから,インフルエンザほど感染能力は強くないと推定される

終息するには

A. 人類の大多数(特に医療従事者)が免疫を獲得する
B. 抗ウィルス薬、ワクチン血液製剤など、決定的な予防/治療薬が使用出来るようになる
C. SARS-CoV-2 も一般的なCoV同様に冬季流行性があって勝手に終息(楽観シナリオ)

Cはあながち無いとは言えないものの根拠に乏しく、また北半球/南半球と感染拡大してしまった為、楽観はできない(WHOもそう言っている)。

となると医療崩壊を招かないレベルに感染を遅らせながら、BそしてAを待つ必要があり、その場合、終息にはそれなりの期間が必要と思われる

医療現場におけるトリアージ(優先度)

画像1

↑上図は厚労省ページにある、今回の対策説明に用いられた図

・医療崩壊による院内感染を起こさない為に、医療リソースの優先度を考える事は特に重要
・そもそもとして、医療リソースが必要となるのはCoV関連だけでは無い
・例えば、よく知られるインフルエンザは年間国内だけで1000万人近くが疾患し、年3000人強(冬季は1日に数十人)が亡くなる可能性のあるウィルスである
(抗ウィルス薬やワクチンがあるにも関わらず)

・日本では上記の様な選別策の代わりに、電話での相談〜医療施設調整を一段階目に設ける事で、行なっているイメージ


その他参考にした文献やサイトなど

MSDマニュアル プロフェッショナル版 13. 感染性疾患

Coronavirus COVID-19 Global Cases by Johns Hopkins CSSE


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