映画感想 1408号室

 久々に映画を見て色々考えたくなったので。

というわけで『1408号室』(2007年)を見ました。サイレントヒル4のような部屋が怪異に変わっていくホラー演出が大好きなのであらすじに興味を惹かれ視聴。テンポもよく程よく怖く結末が割と好きだったので個人的にかなり好きな映画です。

 心霊スポットに足を運んではその時の体験を纏める売れない作家であるマイクは、いつものように心霊現象が噂されるホテルへ訪れる。支配人に強く止められるが(後始末が面倒だからと言われる点がさっぱりしていて良い)、心霊の類を信じていないマイクはかなり舐めた態度で宿泊を強行。1408号室へ入ります。誰も一時間もったことがないと言われ脅かされまくり、内心ビビッていた部屋は、入室してみると案外普通で、マイクも拍子抜けます。この時点でまだまだ元気ですし、マイクも終始舐め腐っているので見ているこちらとしては、これからどれだけ怖い思いをするのかとワクワクしていました。

 することもなくだらだらしていたマイクですが、1408号室からのアプローチは早く、勝手にラジオが付き、枕にチョコレートがちょこんと置かれていました。この擬音、チョコと被るからあまり使いたくなかったのですが、これしか表現方法が分かりませんでした。置き方がなんとも可愛らしく、お茶目なんだなと感じさせる好きなシーンのうちの一つです。

 その後も様々な手でマイクを脅かしまくります。心霊規模というか範囲はすさまじく、なんでもありです。少年漫画のめちゃくちゃ強い幻術使い並の手法です。そんなメチャ強幽霊(というか作中では邪悪といった概念で呼ばれている)は、自我のようなものがあると節々から分かりますが、ハッキリとは出てきません。そこもこちらの自由に想像できて、この映画を面白いと感じる層を広げている気がします。

 この映画では、”神を信じるかどうか”という点が大きなテーマだと思います。今までの犠牲者の宗教観などは一切分からないですが、作品を通して見た限り、どうやら途中で出てきたマイクの死別した娘ケーティは本物の幽霊のようです。その彼女が「もう行かなきゃ。叱られる。」と言います。誰に?というと、やはり、神や心霊、精霊といった類のものではないでしょうか。ケーティがいまだに苦しんでいるのか分かりませんが、辛そうなので多分いい思いはしていないでしょう。全て部屋が見せた幻覚だと思っていましたが、もしかするとあの部屋にいるのは悪魔で、結構好き勝手やって人間界で暮らしていたのかもしれません。悪魔にはまったくもって詳しくないのですが、地縛型悪魔、あると思います。

 なぜマイクが助かったのかというのは、色々考えましたが、恐らく運と意外とあった精神力でしょう。実際、恐怖現象を一回りした後のマイクの落ち着きようは凄まじく、歴戦の戦士、または霊媒の道のプロフェッショナルのようでした。なぜ飛び降り自殺までしてきた今までの人物が部屋を燃やさなかったか不思議ですが、極限まで追い込まれ、人によっては恐怖体験を何周もして、部屋に一矢報いようとは思わなかったのかもしれません。また、掃除に入ったメイドが失明するなど、入室者の怪我の程度や仕掛ける速さはまちまちで、かなり気まぐれさんなのかもしれません。今回は思ったより強かったやつを遊びすぎたケースかも。抵抗していたので火事は堪えたようですが、あの部屋の災厄がなくなったかは定かではないですが。

 問題のラストシーン。私は無事生還したが、恐怖はまだまだいきてるよ~完みたいな王道しめくくりが大好きなのでそれかと思いましたが、違うみたいです。最初はマイクが1408に乗っ取られたのでは?それでリリーも殺して三人で一緒に・・と考えましたが、様々な考察を読むと、どちらかと言うと、これの直前のセリフ、「この録音機は体の一部だ」に対する補足説明だとする説が主力のようです。言われてみると、そうとも解釈できます。どっちでも人によっていいだろうけど。一瞬原作を読めば分かるかも!と思いましたが、小説と映画はまた別物なので、切り離して読みたいなと思いました。よく一緒にして原作の相違点を見つけてはいちゃもんつける方がいらっしゃいますが、そもそも表現媒体が違う時点で同じものになりえるはずがない(監督など製作者側に原作へのリスペクトが足りないなどのよくある件も含め)ので、別媒体にされたときは別のものを見る感覚が必要です。それも人によって考えが違うでしょうから押し付けるわけではない。逆に別の考えを押し付けられたくもないですが。最近のこういった実写化叩きの風潮はやや苦手です。確かにひどいもんはほんとすごいけどね。

 ラストを見て記事を書きたくなったのに一番あっさりしてしまいましたし、映画と関係ない話も長くなりました。『1408号室』、久々にストレスなく面白く見ることができる映画に出会えてワクワクしました。

  

 蛇足 元々考えを纏めて文を打つことは時間がかかるので苦手ですが、あまりにも酷いので次回の記事ももし打つときが来たらもう少し考えてから打ちます。あと敬語かそうじゃないか統一しろ。

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