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蒸着~透明度(可視化モデル)~

弊社ブログ『キリンノメ』に過去に投稿したものを再度のご紹介いたします。
2011年1月に投稿したものですが、今でも継続的にアクセスしていただいています。


キリンノメ『蒸着~透明度~』
https://ameblo.jp/kirineyes/entry-10767236938.html

閲覧いただき、ありがとうございます。

タイトルにある『蒸着(じょうちゃく)』の紹介ですが、蒸着とは透明にするのが目的です。

同じ形状のふたつを並べて置いてみました。

画像1

ちがいがわかりますか?

左側は白っぽくなっており緑のカッターマットにある白い線があるのは見えますが、くっきりとしていません。
右側は透明感があり白い線がハッキリ見えます。

左がbefore、右がafterになります。

同じ素材で同じ加工方法で、同じ工作機械で加工しております。
それなのにこのちがいがありますが、磨いているわけではなく蒸着しています。

材質はともに樹脂で、PC(ポリカーボネート)という素材。
耐衝撃性が強いことから防護盾に使用されることがあります。

硬さもありますから、この材質を磨くのはたいへんです。
磨いて透明にする、レンズのような透明品がほしいという場合にはこのPCではなくアクリルがおすすめです。

PCを蒸着する場合、レンズのように傷もない透明感ではなく向こうに何があるのかが見えるように可視化したいという場合に選択されています。


ここで、個別に拡大写真をお見せします。


まずは切削加工のみの削ったままの状態です。

画像2

白くすりガラス状で加工した跡もうっすら確認できます。


そして、こちらが削ったままのものを蒸着したものです。

画像3

透明感が出てきたため照明で光っているのがわかります。白い線もくっきりしています。
削った跡も目立たくなりました。


蒸着を簡単に説明します。
PC(ポリカーボネート)やABSなどは、貼り合わせで作る場合溶剤を使用します。

溶剤は、文字通り溶かすわけで樹脂を溶かして接着しております。
その性質を利用して、この溶剤を気化させてその蒸気で製品をあぶります。

つまり表面を溶かして透明にしています。


こちらのサンプルは加工したまま蒸着しておりますが、もう少し透明感がほしい。
傷ができるだけ目立たないようにしたいというご要望がございましたら、蒸着前に軽く磨いております。
磨くことで表面の凹凸が均一化されますので、蒸着すれば磨きレスより透明感が増します。


透明品をお考えになられている場合、以下の3つのことを聞かせていただきます。

①レンズのような透明感がほしい
②可視化したい、中が見えるようにしたい
③中が見えるようにしたいが、傷もできるだけ少なく透明がほしい

PCの蒸着でおすすめするのは②と③のケースです。
①では満足いただけないと思いますのでアクリルを磨いて仕上げることを提案します。

◎工法
①アクリルを加工後に磨いて透明にする
②PCを加工後に蒸着する
③PCを加工後、磨いてから蒸着する

コスト的にはどうなのか?
①(アクリル 磨き)>③(PC 磨き+蒸着)>②(PC 蒸着)

磨くことには時間がかかるため、その工程が度合いが大きいものが高くなります。
コストに比例して透明感も同じで①がいちばん透明になります。

①のケースでも材質がPCで作りたいというご希望もございます。
透明感はアクリルより見劣りし、コストも高くなります。

ですから、アクリルの①よりPCの①の方が高くなります。


[まとめ]

◇コスト
①(PC 磨き)>①(アクリル 磨き)③(PC 磨き+蒸着)>②(PC 蒸着)
◇透明感
①(アクリル 磨き)>③(PC 磨き+蒸着)①(PC 磨き)≒②(PC 蒸着)