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セッション前にちょっと待って!バルダーズ・ゲート3とD&D5eの細かい違いいろいろ

例えば、あなたが『バルダーズ・ゲート3』(以下BG3)をある程度遊んだので、原作『ダンジョンズ&ドラゴンズ』第5版(以下D&D5e)のルールもバッチリだぞ!ちょっと遊んでみるか!と思い、意気揚々とオフラインでもオンラインでも、手近なグループに向かおうとするとします。
ですが、ちょっと待ってください。

確かに、BG3はD&D第5版のルールを大きく踏襲していますが、コンピューターゲームとしての遊びやすさやバランス調整の関係上、D&Dとは細かい点で変更がされています。

そこで本記事では、『バルダーズ・ゲート3』と原作『ダンジョンズ&ドラゴンズ』第5版のそういった変更点を紹介しようと思います。
とはいえ変更点は多岐にわたるので、まず間違いなく紹介しきれません。詳しい内容はD&D5eのルールをしっかり確認してください。

ただし、TRPGという極めてファジーなゲームの性質上、GMによってはハウスルールとして認められる可能性もあります。なので、そういった相談の際にもこの記事を使ってもらえると幸いです。

全般的なルール

キャラクター作成について

キャラクター作成の段階で多数の変更点があるため、列挙します。

  • BG3ではキャラクター作成は27点の割り振り(『Player's Handbook』における「選択ルール:能力値のカスタマイズ」、通称ポイント・バイ/Point Buy)で固定だが、D&D5eのルールでは他にも標準的な能力値セット(27点割り振りに準拠)や4d6のうち高い値3つの合計を6つ用意し、それらを割り振る方法も紹介されている。

  • BG3における27点の割り振り後に能力値に直接+2と+1のボーナスを割り振るのは『ターシャの万物釜』に収録された種族による能力値上昇を無視してカスタマイズしてもよいというルールに準拠するものである。これ以外にも+1を3箇所に割り振るルールも選択肢にあるが、BG3では採用されていない。

    • このため、D&D5eで合計4点以上の能力値上昇を持っていたヒューマンとハーフエルフはBG3で独自の調整がされている。

  • D&D5eではBG3にもある武器、防具、技能以外に、道具、乗騎、言語への習熟も存在する。

  • シナビによる能力の振り直しも厳密には独自要素と言える。

レベルアップについて

  • キャラクターレベルの上限がD&D5eでは20までだったが、BG3では12に制限されている。キャラクターレベルはキャラクターの能力の規模、ひいてはキャラクターが挑む物語のスケール感とも関わるためだろうか。早くてキャラクターレベル13から使用可能になるレベル7呪文は、好きな転送用の魔法陣にテレポートする、異次元に屋敷を召喚する、広い範囲の地形の外見を変えるなど、収拾のつかない呪文が増えてくる。

  • BG3ではマルチクラスが能力値に関わらず行えるが、本来D&D5eではマルチクラス先の主要な能力値が13(修正値+1)以上でなければ行えない。

  • BG3ではレベルアップの際に上昇するヒット・ポイントは固定値だが、D&D5eではクラス別に種類が決定されている「ヒット・ダイス」を振るという選択肢もある(例えばバーバリアンは1d12、ウィザードは1d6)。固定値はその平均値(端数切り上げ)である。どちらの場合でも耐久力修正値は加算される。

技能判定のクリティカル成功/失敗(ファンブル)

BG3では戦闘外の判定でも1が出ればクリティカル失敗(ファンブル)、20ならクリティカル成功となりますが、D&D5eの正式なルール上は攻撃ロール(BG3で言う攻撃時のパーセンテージの判定)にのみ適用されるルールです。
既に『クトゥルフ神話TRPG』など状況に関わらず一律で最善値・最悪値によるクリティカルやファンブルが発生するシステムを遊ばれている方もご注意ください。

ただ、技能判定らしき場面でもファンブルを起こしているようなネタを扱う海外のTikTokなどもあり、ハウスルールとして実際に採用されているというケースも少なからずあると思われます。

インスピレーションでの振り直しもハウスルール

BG3におけるインスピレーションポイントは技能判定を振り直すことができますが、D&D5eではd20を用いたあらゆる判定(技能判定、攻撃ロール、セーヴィング・スロー)を行う前に消費して、有利を得るためのものです。
ただ、これも利便性のために(攻撃、セーヴィング・スローでの使用も含め)ハウスルールとして採用されているケースを見た事があります。

小休憩に回数制限はない、ですが…

BG3では一日の合間の小休憩には「一日に2回まで」の制限が課されていますが、D&D5eでは小休憩の回数に関して制限はない一方で、フレーバー上や、HPの回復に関して制約が課されています。

D&D5eの小休憩は基本的に最低1時間の、飲み食いや読書、傷の手当てなどの行動として設定されており、GMが安全に休憩できそうな場所と説明しなければとることもままならないでしょう。
この際にキャラクターがクラスレベルに対応した数だけ持っている「ヒット・ダイス」を消費して初めてHPを回復できます。そしてヒット・ダイスが尽きてしまえば、大休憩時に半分回復するのを待たなければいけません。

大休憩のアイテム収集

大休憩時にキャンプ用品としてアイテムを消費する必要がある点はBG3の独自要素です。コンピューターゲームとして連続で大休憩を取り回復される事を防ぐためのシステムですが、D&D5eでは異なる形で制約が課されています。

D&D5eにおいて、大休憩とは最低6時間の睡眠を含む最低8時間の休憩とされており、休憩できそうな場所ももちろんですが、小休憩共に激しい行動を挟めばやり直しになってしまいます。
もちろん、食事に関するルールがない訳ではなく、『Player's Handbook』では、別の項で一日に十分な食事の量や、食事抜きで耐えられる日数に関して触れられています。

呪文全般に関するルール

BG3では呪文名が和名になっている

UIやわかりやすさの関係上か、BG3ではD&D5eの日本語版のルール上参照される英語の音写の名前ではなく、ルールの呪文情報に記載されている日本語訳の名前を使用しています。このため本記事では両方の名前を記載しています。

「エンハンス・リープ/強化跳躍」が「ジャンプ/跳躍」になっている

D&D5eでは元々跳躍距離を高める呪文は「ジャンプ/跳躍」でしたが、BG3ではボーナス・アクションとして「Jump」のコマンドがあるため呪文側が「Enhance Leap」に変更されています。

「ボーン・チル/骨凍え」が「チル・タッチ/負力の接触」になっている

元々「チル・タッチ」という呪文は遠隔攻撃であるにもかかわらず呪文の射程にもある「タッチ」(接触、BG3内では1.5mとして扱われる)が使われており、その上死霊ダメージを与える呪文であるのに「チル」(凍える)は冷気ダメージと紛らわしいとして英語コミュニティでは混乱を招くとされていました。
これを受け、BG3では英名が「チル・タッチ」から、より死霊ダメージを想起させる「ボーン/骨」を使った「ボーン・チル」に改名され、同様に日本語版でも変更されています(D&D5e改訂版で同様かは未判明)。

最高呪文レベルの制限

BG3では最高キャラクターレベルが12のため、最低でレベル13にならないと使用できないレベル7以上の呪文が登場しません(一部の強力なNPCは使用しています)。

初級呪文のダメージ増加タイミングが違う

D&D5eではレベル11で初級呪文のダメージダイスが3個になっていた(ファイアー・ボルト/炎の矢なら2d10が3d10になるタイミング)のに対し、最高キャラクターレベルの関係上か、BG3ではキャラクターレベルが10になった時に増加しています。
エルドリッチ・ブラスト/怪光線も同様に3発撃てるようになるタイミングがレベル10になっています。

呪文の構成要素と焦点具

BG3でオミットされている要素の一つとして、呪文の構成要素があります。
構成要素には動作、音声、物質の3つがあり、呪文を発動するにはこのうち呪文が指定している要素を満たす必要があります(動作と音声が指定されている場合がほとんどです)。

  • 動作:最低でも片手が開いている、または焦点具(杖や水晶などの特別なアイテム)を持っていて、動かす必要がある。BG3でもフレーバー要素ではありますが、呪文発動時のアニメーションとしてキャラクターが手を動かしている様子がみられます。

  • 音声:発声やそれに類する行動を行う必要がある。日本語の一般的な感覚で「呪文」と言った場合、この部分を指す事が多いでしょう。動作同様に、BG3でも演出として「Ignis(火)」、「Tormentum(砲台)」などのラテン語で呪文を唱えている様子がみられます。

    • 沈黙/サイレンスの呪文の効果中に発動できない呪文はBG3では個別にそうと明記されていますが、これはD&D5eのルール上、それらの呪文の発動に音声要素を含んでいるためです。

  • 物質:呪文の触媒となる物体が必要になる。多くの呪文で「構成要素ポーチ」に入っていた事にする、もしくは焦点具で代用することができます。

儀式発動はクラス能力だし10分かかる

儀式発動が呪文スロットを消費しない事、戦闘外での使用を前提としている事は変わりませんが、クラスによって儀式発動の可・不可があり、10分の追加の発動時間がかかります。また、ウィザードは呪文書にさえあれば準備していなくても儀式発動が可能です。
また、BG3では戦闘を重視したバランス調整のためか、元々D&D5eで儀式発動できなかった呪文が新たに儀式発動に対応しています(変身/ディスガイズ・セルフ軟着陸/フェザー・フォールなど)。

呪文の準備は大休憩時に

呪文書から呪文を準備するウィザードや、神に祈りを捧げ呪文を入れ替えるクレリックなどは、BG3では戦闘外でいつでも呪文の準備を行うことができますが、D&D5eでは大休憩の終了時に行わなければなりません。

呪文の巻物はクラス別だし修正値&難易度も固定

D&D5eでは、呪文の巻物(スクロール)は自身のクラスが使用できるものしか使用できません。同様にウィザードが巻物から呪文を覚える際も同様です。
さらに、能力修正値はプレイヤーの能力を参照するのではなく、呪文のレベル毎に固定値になっています。

呪文や能力の細かい仕様変更

ゲームシステムの制約の都合上、BG3は各種能力に関して細かい変更が数多くあります。すべてを紹介するには時間が足りないので、代表例を紹介させていただきます。

  • 複数の呪文にまたがる変更

    • 36m(120ft)など長距離に遠隔攻撃できた呪文の射程が18m(60ft)に統一されている。

    • 効果時間が8時間や24時間の呪文はおおむね「大休憩まで」に統一。

    • 厳密には変更ではないが、効果時間1分の呪文はBG3では「10ラウンド」と表記されている(D&D5eのルール上は1ラウンド6秒のため)。

  • 呪文個別の変更(低レベルからの一例)

    • ソーマタージー/小奇跡は自動的に威圧や芸能に有利を得るのではなく、声量を増加させたり、炎を揺らめかせたりなどの小さな奇跡あるいは怪現象的なものを起こす呪文である。BG3での変更はそういった奇跡を起こした結果であると解釈できる。

    • フェザー・フォール/軟着陸はボーナス・アクションではなくリアクションとして後出しできる。

    • ブレード・ウォード/防刃トゥルー・ストライク/百発百中は2ターンとあるが、D&D5eと異なり2ターン継続するのではなく、発動したターンも込みで2ターン、つまりD&D5e同様に次自ターンまでのため、結果的に大きな差はない。)

そもそもバルダーズ・ゲート3にない呪文

BG3ではD&D5eの基本ルール『Player's Handbook』収録の6レベルまでの呪文が登場しますが、シナリオ展開やシステムの関係上、その中でもそもそも存在しない呪文がいくつか存在します。こちらも一部例を紹介します。

  • アニメイト・オブジェクツ/物体操り:周囲の物体に命を宿し、浮遊させる。戦闘に参加させることもできる。ゲーム中には多数の物体が登場するため、技術的、バランス的に問題があったことは想像に難くない。

  • ディスペル・マジック/魔法解呪:生物や物体にかかった魔法などを解除する。シナリオ展開の幅が煩雑になってしまうため削除されたと、公式のインタビューで触れられている(https://www.youtube.com/shorts/ni-ZYM6_-G8)。

  • テンサーズ・フローティング・ディスク/テンサーの浮遊盤:魔法の円形の浮遊盤を召喚し、物体を運ぶ。

  • レヴィテート/空中浮揚:目標が6メートルの高さまで浮く。また、術者は毎ターン高さを6メートル分上下させることができる。

クラス個別

バーバリアンのサブクラス「バーサーカー」の名前が「狂戦士」

この相違点は日本語版のみとなります。
厳密にはD&D5eでのバーバリアンのサブクラスは「○○の道/Path of ○○」という名称で、英語原文ではこの○○にあたる部分が「Berserker」となっており、BG3で「○○の道」が外れた格好になります。

バーバリアンのサブクラス「ワイルドハート」の名前が「トーテム戦士」

この名称の変更は2024年に英語版が発売されるD&D5eの改訂版基本ルールブックと共通のものになります。

現行のD&D5eのルール(英語版は2014年発売)では、デフォルトのフレーバーが動物のトーテムを持つ部族という非常に狭いものだったため、より広いイメージで使えるようフレーバーが変更されています。

現状「Wildheart」としてはBG3のみ訳名がついている状態で、D&D5eのバーバリアンのサブクラス名の慣例(カタカナ語ではなく訳す)からも外れるため、2024年版の日本語訳が出た際、訳名が変更される可能性には留意してください。

バーバリアンのサブクラス「荒ぶる魔法」の名前が「荒ぶる魔力」

細かい相違点ではありますが、BG3の翻訳作業当時は同サブクラスが収録されている『ターシャの万物釜』の日本発売以前であったと思われるため、サブクラスの能力名含めこのような相違点が生じています。ドルイドの胞子の円環に関しても同様ですが、こちらはサブクラス名は辛うじて一致した格好です。

バードの「休息の歌」が変更

小休憩時の仕様の違いから、D&D5eでは小休憩時のHPの回復量を増加させるのに対し、BG3では単純に小休憩の回数が増加するようになっています。

パラディンのサブクラスの選択タイミングが1レベルではなく3レベル

本来D&D5eでは3レベルでサブクラスにあたる「誓い」を選びますが、キャラクターに大きな影響を与えるため、BG3では1レベルから選ぶように変更されています。

ドルイドの「自然の化身」の選択肢が自由

BG3ではゲームシステムやバランス調整の都合上、自然の化身の選択肢は使用可能レベルに独自のバランス調整がされていましたが、元々D&D5eではレベル別に特定の脅威度(NPC生物の強さの指標)や指定された移動能力(歩行、飛行など)を持つ「野獣」タイプ(一般的な動物やそれが巨大化したものなど)から自由に選ぶことができました。

また、「月の円環」のサブクラスではこの制限がさらに緩和されたり、特別に変身先が野獣タイプ外から追加されたりします。

ドルイドの「自然の化身」の選択肢にアウルベアがない

アウルベアはゲーム上の分類では一般的な動物(サイズの違い問わず)が属する「野獣」ではなく、マンティコアやヒュドラのような現実を逸脱した生物が含まれる「怪物」に属しており、一方でD&D5eにおける自然の化身の変身先は、先述の通り野獣タイプの生物を指定しています。

ですがここだけの話、D&D5eのデータ上、アウルベアは同脅威度の野獣タイプと比較して大きく逸脱した能力は持たないため、私としてはGMとの情状酌量の余地は大いにあると考えています。とはいえ、先述のD&D5eにおける「自然の化身」の選択肢の性質上、月の円環のドルイドでなければアウルベア程強力な生物(脅威度3)には変身できません。
ただ、本当にこの辺りはGM次第なので、しっかり相談の上行ってください。

なお、この件については映画『ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り』の予告編に合わせて公開された米公式の記事でも同様の事が紹介されています。

ちなみにこの事が発表されたのは2023年1月24日と、英語版の発売が同年8月31日に迫る中の事でした。映画『D&D アウトローたちの誇り』が3月31日に公開された当時、その中でもドルイドがアウルベアに変身する事と関連付けてBG3の公式から紹介されています。

ローグの「急所攻撃」の細かい仕様の違い

BG3の特殊な武器攻撃アクションではなく、D&D5eでは1ターンに1度(リアクションでも!)攻撃に上乗せされる追加効果になっています。

シーフ(ローグのサブクラス)の能力「器用な指先」の内容が違う

D&D5eでは、シーフは本来アクションを使用するアイテムの使用や罠の解除、鍵開けなどをボーナス・アクションでできますが、BG3ではボーナス・アクションでできる事が増えている(他項参照)ためか、ボーナス・アクションを2回行えるというものに変わっています。

レンジャーの「得意な敵」「自然探検家」などの能力が大幅に変更されている

D&D5eでは「得意な敵」は特定の系統の生物、「自然探検家」は特定の地形にしか効果がないという、元々ニッチすぎて使いどころの少ない能力だったのもあり、BG3ではフレーバーを維持しつつも、選択肢によって様々な能力が得られるよう、抜本的な見直しがされています。

一方でD&D5e側でも、サプリメント『ターシャの万物釜』において、独自の再デザインが行われており、選択ルールとして採用することができます。

モンクの気の仕様が変更

元々D&D5eでは気ポイントの消費量が多く扱いづらいとされていた点が、BG3では大きく改善されています。

ウォーロックの「剣の契約」に命中補正と武器ダメージの魅力依存化を追加

剣の契約はウォーロックとして武器を扱いやすくなる恩恵がありますが、D&D5eではウォーロックの魅力とは別に武器を扱うための筋力か敏捷力を追加で伸ばす必要がありました。BG3では剣の契約の効果に武器の命中率やダメージ補正に魅力を使える能力が追加されており、筋力や敏捷力を伸ばす必要性を減らしています。
なお、D&D5e『ザナサーの百科全書』収録のウォーロックのサブクラス「ヘクスブレード」も同様の能力を持っています。

戦闘のルール

敵の能力を見られるかはGM次第

BG3では敵を選べば耐性や特殊な能力を一通り見ることができますが、D&D5eのセッション中で同じ事ができるかと言えばそれは完全にGM次第です。没入感のために能力値判定を振らせたり、キャラクターから相手に関する情報を得たことでGMからゲーム上のデータを開示される事もあるでしょう。また、BG3の仕様上登場していないバトル・マスター(ファイターのサブクラス)の特徴として、時間をかけて相手の能力の一部を知るというものがあります。

イニシアチブは1d4ではなく1d20

BG3では内部的にイニシアチブ(戦闘の行動順)が「1d4+敏捷力修正値+その他」で判定されていますが、D&D5eでは「1d20+敏捷力修正値+その他」で決定しています。
また、D&D5eではイニシアチブロールは敏捷力の判定という扱いですが、BG3では別の扱いのようです。

BG3では戦闘開始時に自動的に振られているので、既にD&D5eを遊ばれていた方でも気づかれる事は少ないようです。

「掴み」「援護」「待機」のアクションがある

機能的に煩雑だったり、バランス上問題があったためか、D&D5eでは攻撃アクションの1回として使えた「掴み」の他、他の生物の行動を有利にする「援護」、条件を満たすまで行動を待つ「待機」のアクションがBG3では消滅しています。

ボーナス・アクションの種類が少ない

BG3はD&D5eに比べ、押し出しなどといった元々アクションだった行動をボーナス・アクションに移動することで、戦略の幅を広げています。
他にも移動の一部という扱いだった跳躍が移動していたり、武器を火などに漬けるという独自のボーナス・アクションが追加されています。

元々D&D5eにない「漬ける」行動はともかく、他のルールとの違いは覚えておきましょう。

ボーナス・アクションで1レベル以上の呪文を発動した場合、アクションで使える呪文は初級呪文のみ(逆も同様)

BG3では特にこのような制約はありませんでしたが、D&D5eでは一度のダメージ量などを絞るため、このような制約が設けられています。少しわかりにくいので、例を見てみましょう。

  • ウィザードのゲイルはこのターンの移動距離を使い切ったので、ボーナス・アクションを使う2レベル呪文のミスティ・ステップ/霧渡りで位置を調整し、アクションの1レベル呪文、バーニング・ハンズ/火炎双手の呪文を発動して敵を一掃しようとしました。ですが、この場合いずれかしか使うことができません。どちらか片方がそのアクション枠の初級呪文であれば、使うことができます。

  • ソーサラーのサイモンは「呪文高速化」の呪文修正を使って、本来アクション用のファイアーボール/火球の呪文を、高速化したボーナス・アクションと通常のアクションで2連発しようとしました。しかし、D&D5eではこの場合もできません。どちらか片方が初級呪文、例えばファイアー・ボルト/炎の矢なら可能です。

ただ、世界観上の理由らしいものもない、ほとんどバランス調整のためだけのルールという事もあってか、実際のプレイでも忘れられがちで、サプリメント『ターシャの万物釜』の冒頭でも触れられるほどです。

クロスボウの再装填

BG3でオミットされている要素のひとつとして、クロスボウの装填時間があります。D&D5eではクロスボウは“装填“の特性を有しており、一発毎に再装填(他のアクション枠とは別の「物体の操作」枠)する必要があるため、先に装填していなければファイター等の連続攻撃があっても連続で射撃する事ができません。一方で、それを軽減する特技も存在します。

高所による命中率補正

BG3では高所からの攻撃の命中率に補正がかかりますが、D&D5eではマップやミニチュアを使用しないケースもあるためか、そのような細かいルールを省く傾向にあります。
そのため、このような状況に関して有利であると認めるかどうかは、GMに委ねられるところとなります。

遮蔽のルールが存在する

高所に関するルールがない一方で、D&D5eには遮蔽で隠れている量に応じて、アーマー・クラスが上昇するというルールが存在します。
高所による命中率補正と入れ替わりな辺り、個人的にはこの辺りはBG3の開発側の好みという印象があります。

ポーションの使用に消費するアクション枠

D&D5eではポーションを自身が服用する際、BG3のボーナス・アクションではなくアクションを使用するとされています。
ただ、少なくとも筆者の知る限りでは、戦闘のテンポのために海外ではボーナス・アクションで使用できたり、さらにアクションで使用するとダイスを振った際の満額を回復できるというようなハウスルールを採用しているグループの話はよく聞きます。GMと交渉する余地はあると思います。



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